書道の基本だね。
「永」という字には、書道の基本が詰まってる。
点、ハネ、左払い、右払い、縦画、横画、と習った。
調べると永字八法もあるらしい。
中国の方法で、なんでも八にしたがる中国っぽいな。
で、タイピング六法みたいなのがありそうだな、
という話。
自分の打鍵を観察していると、
撫で打ちメインとは言いながら、
それだけではないものもあるような気がしている。
そもそも「撫でる」動作は、
指が目的の場所にいない時に、
指を曲げ伸ばししながら、
あるいは手首の小指側の骨を支点に手首を回転させながら、
あるキーへ指を伸ばしているとき、
Z方向(高さ)の変移よりもXY平面(水平面)の変移が大きいから、
打つというより撫でるっぽいな、
という事から生まれた言葉だ。
ホームポジションに構えているとき、
Jを撫で打ちするかな?
単に一文字だけ打つなら、
撫でずにそのまま押し下げた方がエネルギーは少なさそう。
だけど、たとえばJIを打つことが事前に分かってれば、
中指を伸ばす力を使って、
Jは斜め右上に撫でながら打ち、
その勢いでIも右上に撫でながら打つだろう。
JIは最強のアルペジオのひとつで、
薙刀式では「ある」が当てられている。
こうした、撫で打ちでの連接で、
日本語のよく使うフレーズが当てられているのが、
薙刀式の特徴だ。
たとえばこのあと、
手が上段に開放されたから、
再びJを打つよりも、人差し指はUを打つ方が速い。
この時、奥に撫でるようにUを打つだろうね。
人差し指の中で、JUの動きが繋がってるからだ。
それが事前にわかっていれば、
Jは右上に撫でずに、次のUを目指して撫でるだろう。
こんな風にして、
撫で打ちとは、
「他の指や手との軌跡」「前と後のその指の繋ぎ方」
に影響を受ける曲線である。
タイパーたちは「打鍵組み立て」なんていうけれど、
一連の手の動きを想像してから動くらしい。
僕はそこまで考えてなくて、
よく打つ言葉なら無意識にシークエンス化してるだけだろうね。
同じキーを打つにしても、
前後関係によって撫でる方向が違う。
オールコンベックスキーキャップは、
まさにそれを意識して、
どの方向にでも撫でられるように考えたものだ。
だけど、撫で打ちと言いながら、
撫で的でない打鍵もある。
たとえば、
そこに指が置いてあった時の単独打鍵(上の例)、
次に人差し指伸ばしキー(右手だとHN。Yは不使用)へ行くときの他の指の打鍵、
人差し指伸ばしキーから通常ホームポジションに戻る時の打鍵
下段→上段に行くときの下段、
なんかは、
わりと強めに下に押す感じになる。
ステップワークでいうところの、
急激なターンのきっかけみたいな。
こういう時は、
割と強めに打ち、
その力を使って撫での軌道を変えて、
次の撫で軌道へ行く感覚がある。
いろは坂配列では「折り返し打鍵」と呼んでいた。
打鍵列がなるべく内→外へ、外→内へ、
と流れるように設計するパターンと、
内→外→内など、ジグザグに打つ打鍵を、
組み合わせていたはず。
そのターンをなるべく外のキーに置いて、
そのジグザグがいろは坂に似ていたのが名称の由来。
薙刀式では、
なるべくこのターン、折り返しが、
語頭や文節の切れ目に来るようになっている。
だから、基本撫で撫でしていて、
たまに強くターンのキックが入る感覚だな。
あともう一つ強めの打鍵があって、
それが「現在の指の位置から始まる言葉の語頭」。
これはいきなり撫でられないから、
きっかけのキックを作るんだろう。
たいていホームポジションのカナから始まる言葉で、
ホームポジションのカナは頻度が高めのを集めてるから、
自然と多いことになる。
習字にたとえれば、
始画、曲げはやや強めに、
その他は撫でて、
終画は大抵払いっぽく柔らかい。
そんな感じが薙刀式の、タイピング六法だろう。
(6ないけど)
で、それをやりやすくするための、
オールコンベックスキーキャップ→ドームキーキャップと、
指の当たる面が進化してきたんだね。
そうそう、以前自キアドカレでも書いたけど、
指の腹は、指を伸ばして揃えたとき、
掌を真下に向けると各指は違う角度を向いてるんだよ。
中指が真下、薬指、小指は徐々に内側回転、
人差し指は逆方向に内側回転していて、
ここから指を曲げると、
どの指も内側に徐々に回転しながら曲がる。
これは、球のようなものを掴めるような、
関節の形になってるということ。
その、指の角度に合わせて触れるように、
ドームキーキャップは球型になっているのだ。
もりやんさんのTwitterから。
> 語頭が強打って、大岡さんそれ撫でてんじゃなくて登ってんじゃないの? 純粋な撫で打ちなら、手首つけるのもプレトラベル縮めないのも不思議な話なんだよね
語頭が必ずしも強打になることはないけど、
なるとしたら語頭、という感覚は、
撫でるはずみ車の、最初の勢いをつけるためのものっぽいな。
手首をつけるのは、あくまで軸足(支点)を固定するため。
そして全指は常に浮いていて、
ホームポジションにすら触っていない。
打つ時だけ接触するので、
手首をつけて支点にしてるっぽい。
もちろん無意識にはホームポジションに指を触れてて、
そのキーが語頭に来る時、
一回指を浮かせて叩くっぽい。
(この「浮いてる指」は、
同時打鍵配列の癖かもしれない。
押したらなるべく離すのを意識すると、
離しのほうが重要になるので)
トラベルを縮めるのは昔散々やって、
プラ板を仕込んで、
アクチュエーション0.8mm、
フルトラベル1.5mmくらいまで詰めたけど、
(それ以上詰めるとチャタリングが増えた)、
3Dキーキャップとの相性が悪かった記憶がある。
3Dキーキャップが結局鉛直に落ちるわけじゃなくて、
斜めにこすれながら落ちるから、
キースイッチの擦れ感がないスイッチを求めて、
フルウムピエのPealio→HPEのBlue Sky→HPEのTecsee RAW
にたどり着いた。
Pearlioの底打ちの、わざと反発させてる感じが気持ちよくて、
底に真鍮を仕込み、
さらに底打ちを気持ちよくさせたので、
トラベルが多いのはあまり気にならないかなー。
そもそも30g+摩擦少ないので、
触ったら即底まで行くんよね。
よほど撫でが上手く行ってる時は、
底打ちをしなくなるので、
今逆に戻りの振動を気持ちよくする方向で、
工夫してる感じ。
底打ちの真鍮は質量が多いほど気持ち良いので、
ボトムハウジングを金属で作れない限りは、
ハウジングに真鍮を仕込んだとしても小さくて意味なさそう。
という感じで、
底打ちは、打鍵が調子良くなればなくなるし、
そもそもHPEの滑りの良さで、
プレトラベルが0.5mmでも2mmでも、
あんまり変わらない気がする。
あ、そもそもトップハウジングの戻り部分に、
現在は真鍮+養生テープMODなので、
プレトラベル1.5mmくらいにはなってるかな。
たぶんこれは3Dキーキャップを使ってるからで、
仮にMagic Keyboardが、
分割格子配列かつ球形になってたら、
0.5mmプレトラベルでいいのかもしれない。
で、
昔chocで3Dキーボードを設計しかけたんだけど、
chocの打鍵感よりも、Pearlioのほうがいいよな、
と思ってやめた。
HPE素材でのロープロか、
Magic Keyboardの打鍵感の軽めスイッチが出たら、
プレトラベル0.5mmの球形を作るかもしれない。
X-switchが出た時に少量買ったんだけど、
重たかったんよね。
バネ切れば軽くなる構造でもなかったので、
仕方なくchocで作り始めたらPearlioが出たんよなー。
ということで、
MX系のスイッチの進化のほうが速かったので、
ロープロ系には今は興味がない。
Lofree Ghostもいいけど、
POM系の擦れが気持ちいいのは、
現在のHPEの擦れすら感じないのに負けてると思う。
Tecsee RAWから見たらGhostすら擦れてるからね。
あとはストロークや低さと、どっちを取るかなんよな。
というわけで、
現在は、
タイピング六法+全方向撫で打ち対応のためのドームキーキャップ
+30gバネ+HPE素材のスイッチ
で対応してるって感じかなー。
軽くて滑るロープロスイッチが出たら、
乗り換えるつもりなのだが、
Ghostの次はあり得るのか?
(そもそも15g前後のバネを量産しろ)
このへんは、論理配列×タイピング法×そのための物理、
が絡んだ話になるよなー。
永字六法に戻ると、
漢字は筆という物理に最適化した文字だと思う。
文字が先か筆が先かみたいな感じで進化した。
タイピングもそういうループが今まさに起こってる、
ルネッサンス期じゃなかろうか?
2024年02月18日
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