驚き方には色々ある。
その強弱について。
なんとなく、
弱い順から強い順に並べてみようか。
え
え、
えっ
えっ?
えっ!
えっ!?
えええ?!
はあ?
はあっ?!
はああああ?!
うそおおおお?!
最後の方はコントかもしれない。
コントとは感情を増幅して大袈裟にやることだ。
もちろん、
「え」「はあ?」以外にも表現の仕方はあろう。
上の表はあくまで例だ。
で、本題だ。
あなたのストーリーで驚くところは、
このどれくらいにあたるか、
という話をしようとしている。
最初のやつを驚きレベル1としようか。
驚きの量は前後の文脈から決まる。
レベル1で書いたということは、
その程度の驚きだとリアリティで判断した、
ということだね。
ところで、
起伏はなるべくつけるのが良いのであった。
ゆるゆるした坂よりも、
急激な坂のほうがアップダウンして、
気持ちのコントラストがつきやすい、
メリハリの効いたものになる。
ということは、
レベル1の驚きを、レベル2や3にできないか?
を試すとメリハリがつき、
強いストーリーになる可能性がある。
「妊娠してるの」
「えっ」
よりも、
「妊娠してるの」
「はあ?!」
のほうが、メリハリのついたストーリーになる。
もちろん、前後の文脈はあろう。
そんなことでそんなに驚かんやろ、
というリアリティを失ってもいけない。
だから、
メリハリのつくように、
前後の文脈を変えてしまうのだ。
設定の変更もよかろう。
「一生妊娠しない傷を負った、
ずっと子供が欲しかったのに」
という設定をうまく足せれば、
「えっ」じゃなくて「えええっ?!」
になるよね。
そういえば昔オーディションで、
レギュラー役に決定した女性が妊娠してることがわかり、
遠くまでロケに行かなければいけなかったので、
彼女が降板し、
再オーディションしたことがある。
「彼女妊娠してるらしく」
「お、おう、おめでとう」
としかリアクションしなかったけど、
たとえばロケ前日発覚なら、
「はああ?!ロケどうすんの!?」
ってだいぶ驚くだろうね。
前後の文脈で、
驚きのレベルはだいぶ変わるわけだ。
そして、
前の文脈では、
オーディションやり直しという比較的傷の浅い対処で済むけど、
後の文脈では、
飛行機ホテル全キャンセル(前日キャンセルだから全額払いだなー)、
スタッフ全キャンセルなど、
連絡関係が地獄になりそうだ。
そんなこんなで、
驚きとは、事態が動くぞといううねりの大きさに比例するわけ。
だから、
別に驚きのリアクション部分だけを書き換えても、
驚きの量が変わるわけではない。
前後の文脈、設定、事態のうねりの大きさが、
驚きの量を決めているわけだ。
これはクレショフのモンタージュ実験から明らかだ。
リアクションが問題なのではない。
それまでの文脈で驚きの量が決まり、
どんなリアクションをしたとしても、
いい感じにリアクションしている、
つまり文脈の量だけ驚いているように見える。
だから、
脚本で書き換えるべきは、
「えっ」を「ええええ?!」にする所ではない。
もっと前の設定やら文脈やらを、
書き換えるべきなのだ。
リアクションひとつとっても、
基盤ごと変えなければ、
リアクションなど変わらないってことだね。
リライトが難しいのは、
どこからどこまでをどう変えれば、
目的のこと、この場合驚きのレベルを1から3にあげる、
を実現できるか、
やる前から読めないところだよね。
だから、
やってみるしかないし、
経験がものをいうわけだ。
沢山書いてないと、
自分の作業量は読めないだろう。
出来れば最小の労力で書き換えたい、
と人は思うものだけど、
ツギハギになってしまって醜くなるなら、
根本からやり直したほうが背骨がスッキリすることは、
まれによくある。
さて。
驚きは、ストーリーを展開する上で、
とても良いスパイスになる。
適量を見極めて、起伏をつけていけばよい。
今回は驚きについて書いたけれど、
別の感情ポイント、
たとえば喜び、悲しみ、失望、怒り、いらつき、
正義感、好きと言う気持ち、嫌悪感、
などについても同様だろう。
驚きっぱなしの映画はない。
飽きてくるからね。
別の感情をなるべく入れて、
七色の起伏のジェットコースターにすることだ。
もし感情の萌芽があれば、
そこを伸ばしてもっと豊かにできないか、
と考えることは、
脚本をより良く改良することになるだろう。
2024年04月18日
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