打鍵感向上メソッドシリーズ。
打鍵感をよくするには、
余計な振動を消して、
「ただ一つの振動」にすることが理想だ。
コン、という入力に対して、
コン、となるべきということ。
ビイィンとか、スカとか、ブニョとかが、
混ざるべきではないということだ。
有効なアプローチのひとつは、
質量を増やすことである。
f=maなのだから、
mが大きいほど、同じ力fがかかっても動きにくい、
すなわちaが小さくなる。
これで余計な振動をしなくなる。
ケースを重くしたり、
PCBを重くしたり、
今僕がやってる金属をスイッチの色んなところに仕込むのも、
このアプローチである。
別のアプローチもある。
柔らかいものを挟む方法だ。
これは衝撃の伝わりを遅くして、
ピークを減らし、鋭い打鍵感から、まろやかな打鍵感にする効果がある。
シリコンやゴムなどでダンパーをつくるんだね。
また材料のたわみそのものを板バネとして使う方法もある。
これはピークは下げられるが、
振動エネルギー自体は減衰しないため、
長く振動が続くという欠点がある。
これを質量で無理矢理振動をしないようにしているのが、
今流行りの、
ガスケットマウント(柔らかいシリコン)
+金属ボディ(質量で振動を止める)
というアプローチだね。
僕はガスケットの柔らかいものよりも、
カツンと跳ね返ってくる、
硬めの打鍵感が好きなので、
このアプローチはイマイチ好みじゃない。
で、発見したんだけど、
「パーツの合いを馴染ませるアプローチ」
を忘れてたなと。
自作キーボードはいくつものパーツに分かれている。
これらが振動エネルギーを得た場合、
各パーツが個別に振動する。
その時、固有振動数の高い、
小さくて軽いパーツがビビリ振動を起こしやすい。
このパーツの振動を、もっと大きな質量のパーツにくっつけて、
つまり合いを増やして、
吸収合併できるぞ、
と思ったわけ。
具体的にやったことは、
スイッチフィルムだ。
だけど手持ちのDESフィルムだとイマイチなので、
自作してみた。
両面テープでだ。
これまで自作フィルムはマステでやっていた。
加工が簡単だし。
しかし上下ハウジングをつなぐ部分の、
両方を貼り合わせるような感じの、
両面テープなら上下を一体化できるのでは?
と思ったらものすごくよかったよ、
というメモです。
ちなみに0.2mmの真鍮板を挟み、
質量を増やそうとしてみたのだが、
0.2では爪が閉まりきらなかった。
それより薄いやつないかなーと考えて、
質量よりも粘度で止めてしまえば?
と気づいてやってみたら当たりだったよ、
というレポです。
もちろん、
それぞれのファクターがどれだけ効果的かは、
それぞれの個別の組み合わせで変わってくるだろう。
だがチューニングのアプローチの手数は、
持っておくといいよね、という話。
というわけで、
今Tecsee RAWの状態をメモっておく。
すんげえ手が入ってる…
・Sprit Designs MX 30Sのバネで軽量化
・リーフノイズを取るため、
トップハウジングのリーフスペースの天井に、
マステ6枚積層を貼る
(これ以上はリーフがマステに固定されてしまいオンにならなくなる)
・PCB下に真鍮ブロックが来るように、
ボトムプレートに貼る。これでカキーンとしたタップシューズな打鍵感に。
・ボトムハウジング表の空いてるところ、
側面の凹みとLED透過部に、積層鉛シートを詰める(3枚、5枚)
これで底打ちのビビリが減る
・トップハウジングの質量を増やすため、
3Dプリントしたパーツを接着
・トップハウジングのステム両肩が当たる天面部分に、
非常に小さく切った真鍮を両面テープで貼る
これにより戻り振動がプラ感からタップシューズ感に
・ハウジング上下を、両面テープでスイッチフィルム代わりに
アホかという執念…
ちなみに、
・トッププレートをアクリルの2mmではなく、
スペック通り1.6mmにして爪を噛ませる
材料はナイロンPA11の柔らかいもので吸収させる
・トッププレートのPCBの間、
PCBとボトムプレートの間の空間はポロンやEVAで潰して、
空気の残響(共振)を吸収
・PCB自体に真鍮ブロックを貼り付け、
余計な振動を吸収
・スペーサーの上下に養生テープ2枚でバーガーマウント
(効いてるかは分からないが、スイッチ高さの微調整には役に立ってるみたい)
のような、ケース部分での手入れもやってます。
全部必要かはもはやわからん。
最小要素が何かもわからんので、
どれとどれが絶対必要かも不明。
ある組み合わせの効果が、別の少ない要素での組み合わせで、
実現できるかもしれない。
実験し直すのが面倒なので、このままキープしておきます…
2024年03月09日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック