最近僕が手を入れまくっている、
Tecsee RAWはとてもいい所と悪い所が、
両極端にあるピーキーなスイッチだ。
試行錯誤した結果、その取り扱いマニュアルをまとめておく。
【いい所】
・擦れ感が史上最高にないこと。
擦れ感がないスイッチでも、30gくらいの軽いバネを入れると、
途端に擦れ感を感じる(たとえPearlioでも)のだが、
HPEステム×ナイロンハウジングの組み合わせは、
30gでも無敵の擦れしない感を誇る。
たぶんこれ以上擦れないスイッチは今のところないかも。
・ブレ感が適度にあること。
擦れないスイッチでも、ブレ感のないタイトなスイッチ、
たとえばBlack Lotusではキツく感じて、摩擦感を感じることが多い。
(実際には横方向の圧力を感じているのだろう)
それが、適度にブレることでほぼないのが良い。
総合して、「ただ落ちて戻るだけのスイッチ」
という、擦れ感に関しては理想のものだと僕は思う。
ルブ? 余計抵抗が増えるからやめとけ。
ルブの油すら抵抗になるレベルだぜ。
・ロングポールな所。
僕はあんまりロングポールは好きじゃない。
力が集中しすぎるから。
だけどこのロングポールは悪くない。
材料の相性や厚みのファクターだろうか。
これが通常の4mm両足着地だと、ぼんやりしてしまうと思う。
このため、全体的にクラッキーなチューニングが合うと思う。
滑って行った先がカツーンと跳ね返る方が、
このスイッチの特性を活かせる。
ソックにすると、ロングポールと滑りがケンカしそう。
【悪い所】
・リーフノイズ。オン、オフ時にリーフが震えて、
ハウジング内にぶつかる?音がある。
→これは対策可能。
マステを7mm×1.5mm程度、6枚積層して
(6重に貼ったマステを切るのがやりやすい)、
トップハウジングのリーフスペースの天面に貼ると良い。
これ以上貼るとリーフが固定されてオンにならず、
これより少ないとノイズ低減量が少ないようだ。
・底打ち感はクラッキー方向だけど、まだぼんやりしている。
→好みによるかな。
僕はパキパキのクラッキーがいいと思ってて、
3mm厚の真鍮ブロックをPCBとボトムプレートの間、
スイッチ直下に挟み、
「金属の上をタップダンスで踊るような感覚」
を手に入れている。
これをやると打鍵の解像度が上がるのでオススメ。
ただこれによってたくさんの振動が生まれる。
→対策は、鉛シート(オーディオスピーカーのデッドニング用、
0.3mm厚で粘着シートつき)を、
ボトムハウジングの凹んでるところ
(両側面、LED透過部)に積層して貼り付けること。
(それぞれ3枚、5枚)
こうすることで打鍵がぽやっとするのを、
しっかりした感覚にすることができる。
(基本的には質量を増やした方が微妙な残響がない)
・戻り振動がノイジーなこと。
これはこのスイッチの最大の欠点だ。
まだ最適解は見つけていない。
ただ、試してみたところ、デッドすると、
打鍵がぼんやり遅く感じる。
どうやら、底打ちと戻りがほぼ同時に鳴るような、
二重の極みみたいな感じの打鍵が一番快速になるみたい。
→今のところの対策をメモっておく。
1. トップハウジングの質量を増して、デッドニングする。
鉛シートを貼る、積層した鉛シートを貼る。
さらには3Dプリントした、スイッチ外側にピタッとはまるものでデッドニングする。
とりあえず鉛シートは効くが、
カバーがないとポロポロと剥がれてくるだろう…
2. トップハウジング裏、ステム両肩が当たる、
とても狭い所に何かを貼る
マステ1枚、2枚積層、3枚積層→コトコト系、ソック系に
養生テープ1枚、2枚積層→コトコト系、やわらかめ
両面テープで0.2mm真鍮シートを貼る→パキパキなクラッキー
真鍮シート+マステや養生テープでクッションのミルフィーユ
→中途半端
3. 上下ハウジング間にスイッチフィルム
DESフィルムだと、効果があるのかないのかよくわからなかった。
なので南北の接触部分に細く切った両面テープで粘着。
これで戻りの感覚は結構変わる。
・うるさい。
僕は打鍵感追求派であり、音はどうでもいいのだが、
うるさいのはいただけない。カフェでも使うし。
なのでこれはポロンを色んな空間に入れて、マシにしている。
ただ空気の共振も減るのか、打鍵感もマイルドになる。
あくまで今のところの対策だ。
だけどその手間を惜しむだけの価値が、
滑り感にあるのよね。
滑り感というにはおこがましい、
そこに何もない感、バネしかない感、
と言っても過言ではない。
このためだけに、Tecsee RAWを使っている。
同様の素材、HPEは、
Tecsee Blue Sky(linear/tactile)のハウジングでも使われている。
ステムがPOMなので、POM×HPEというスイッチだ。
ただHPEは細いと脆くなるのか、
5pinがほとんど折れて3pin仕様になっちゃったな。
脆さは摩擦係数や振動特性に関係するんだろうなー…
Blue Skyでも滑ったけど、
Tecsee RAWのほうが、
「ここに何もない感じ」が強いな。
ということで、
僕の現在の推しスイッチの取り扱いでした。
ピーキーすぎて勧めづらいけど、
この滑り×軽量バネの感覚が、戻れない快感なのよね。
2024年03月11日
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