たまーにHHKBのレビューでさ、
「静電容量はその名の通り静かな打鍵で…」
なんて、
「静音」と混同したアホなやつがあって、
「静電誘導を知らんのかボケ」などと思うのだが、
そういえば静電誘導の「静」ってどういうこと?
と疑問に思って、語源を調べてみた。
静電誘導…electostatic induction
帯電体に導電体(主に金属)を近づけると、
その中の自由電子が移動する現象。
帯電体の電場を打ち消すように電子が移動する。
HHKB、リアルフォース、
NiZ、Leopaldで採用されている、
静電容量方式は、
この静電誘導で移動した電子の量を、
電場として測定することで、
どれだけキーが変移したかを判断する。
無接点方式が特徴で、
接触点が存在しない、
近づいたり遠ざかったりするだけで良いから、
接点摩耗が起こらず、
長いこと(10年以上)使える。
この静電誘導方式と、
HHKBやリアルフォースの打鍵感が良いことは、
直接関係がない。
これらの打鍵感の良さを支えているのは、
ボディの剛性、レールの精度、
自ら変形するゴムドームの非リニア特性、
などによるもので、
ゴムドームに電気接点をつけて、
もう一つの擦過点と接触するメカニカル式にしたとしても、
打鍵感の良さは同じになるはずだ。
なので、
「静電容量無接点方式だから打鍵感が良い」は、
誤った批評だ。
(HHKBはこの誤認を利用してブランド化している、
と批判してもよい。
自ら発言してない巧妙さはあるが)
また、
最近マグネットスイッチの名前で、
ホール素子を用いたラピッドトリガー用のスイッチが生まれた。
これはホール効果を利用して、
スイッチの変移を測定するものだ。
ホール効果は僕は電気系ではなかったので調べると、
> ホール効果(ホールこうか、英: Hall effect)とは、電流の流れているものに対し、電流に垂直に磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象。
holeじゃないんだ、人の名前だったのか。
スイッチ内の磁石の変移距離を、
発生する起電力に変換して、
それを測定することで現在のスイッチ位置を出す方式だね。
さて、元に戻って静電誘導だ。
どこが「静」なんだ?
electrodymamicはあるのかな?
electrodynamicsで古典電磁気学なんだって。へえ。
クーロン力が重力と同じ形をしているから、
それを電荷に関して立てた運動方程式が、
帯電体の力学だと言える。
それとelectrostaticsとの関係を調べると、
単にこれは「静電気学」と呼ぶらしい。
つまり運動方程式による電子の運動法則
(のちに量子力学へ通ずる)を調べるのではなく、
相対的な性質を考察する学問だそうな。
ファラデーとかそのへんの時代の。
つまり古典電磁気学になるまえの電磁気学といったところか。
この対比的学問が、
古典電磁気学と静電気学という、
対比的でない用語に訳されていることが、
そもそも間違いの発端だな、
というところまで根っこは抑えた。
静電気学は主に静電気を扱うらしい。
なるほど、静電気の静ね。
ちなみに静電気の英語はstatic electricity。
ひっくり返しただけやんとさらに調べると、
日常用語で使うドアノブなんかの静電気は、
static shock、electric shockなどと言うそうな。
うーむ、用語が揺れてるな。
zapってこの時の音なんですって。へえ。
語源を調べれば調べるほど、
これと、打鍵音が静かなことは、
全く無縁であることがわかる。
誤った静電容量無接点方式のレヴューを書いた阿呆は、
首を三回へし折られるべきだ。
ということで、正しいレヴューは、
「静電容量無接点方式は、
静電誘導を利用したスイッチのため、
接点が触れる必要がなく、
したがって物理摩耗がないため長持ちなのが特徴だ。
だがHHKBの打鍵感は良い。
これは静電容量無接点だからよいのではなく、
打鍵感を生む変形ゴムドームや、
レールの造形精度が高いことや、
ボディの剛性によるものである。
さらに寿命が長いときた。
こりゃ最高のスイッチじゃね?」
とでも書くべきなのだ。
そしてさらに追加すると、
「だがかつてはマニアの間で最高の打鍵感と言われた、
HHKBのスイッチ(東プレスイッチと総称される)だが、
最近のメカニカルスイッチの進歩に、
負けている部分も出てきた。
たしかにメカニカルスイッチは有接点であるから、
摩耗が起こり寿命は6000万回打鍵程度と言われている。
だがその代わり、
プラスチック材料や造形精度がすごくあがっていて、
たとえばZealPC Pearlioや、
Tecsee RAWなどは、
ルブ(潤滑油)なしでも摩擦係数が非常に少なく、
もはや東プレスイッチを超えた打鍵感の良さを持つ」
などが、
現在の公平な見方というものだ。
2024年04月04日
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