物語には、主たる感情がある。
恐怖が支配するのがホラーで、
胸キュンが支配するのが恋愛もので、
シビアな感情が支配するのがひりひりした人間ドラマだろう。
それがしっかりできている、という前提で、
メインディッシュとは違う副菜をつくろう、
という話。
なぜかというと、
人は同じ味に飽きるからだ。
「ロッキー」は誰もが、
「男のプライドをかけて、挑戦する」
という主たる感情であることは知っている。
だけどそれだけ?
そうじゃないよね。
エイドリアンとのラブストーリーパートはそうじゃないし、
ポーリーやミッキーもそうじゃない。
そもそもロッキーはアポロのスパーリングパートナーを受けるものだと思って、
事務所まで挨拶に行ったはずだ。
そんな風に、
「主たる感情一色」で、
物語がつくられていないことをよく見よう。
一色の味だと飽きる。
どんなに強くてもだ。
だから副菜を入れて、
バランスを取るのだ。
どんなにまじめな話でも、
必ずコメディリリーフはいるのだ。
それは、味変して、メインを再び目立たせるためだったりする。
ソフトクリームにおけるコーンのように、
まったく違う味がいいだろう。
復讐譚の話のときに、
別の憎い感情に振れたら、
ごっちゃになるに違いない。
復讐の感情がメインならば、
それと異なるもの、コメディやお色気やほのぼの、
なんかに振ってみると、
メインを引き立たせる副菜になるに違いない。
なにが的確かは、
あなたのセンスによると思う。
コメディ要素が必ず必要とも限らない。
シビアな話に急に恋愛ものが入ってくることを嫌う人もいる。
それは副菜が恋愛だったらなんでも受けるんだろ、
と思っている作者の浅はかな判断だったりするわけだ。
その浅はかさが嫌われる要素になる。
人気トッピングを入れれば安牌、
という安易さが嫌われるわけだ。
つまり、副菜は、主菜との組み合わせでうまさが決まる。
どういう副感情があるか?
主たる感情とどういうペアになっているか?
それらを研究してみたまえ。
それと同じことを、自分のシナリオでも分析するといいよ。
主たる感情はなにで、
それに対して副菜はこうだから、
舌休めになる、
という風に分析しておくとよい。
アホアホコメディだって、
途中で感動が入ったり、
トラウマをえぐられる感情が入ったりするものだ。
すべては組み合わせとバランスだろう。
2024年05月25日
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