2024年05月25日

副感情

物語には、主たる感情がある。
恐怖が支配するのがホラーで、
胸キュンが支配するのが恋愛もので、
シビアな感情が支配するのがひりひりした人間ドラマだろう。

それがしっかりできている、という前提で、
メインディッシュとは違う副菜をつくろう、
という話。


なぜかというと、
人は同じ味に飽きるからだ。
「ロッキー」は誰もが、
「男のプライドをかけて、挑戦する」
という主たる感情であることは知っている。

だけどそれだけ?
そうじゃないよね。
エイドリアンとのラブストーリーパートはそうじゃないし、
ポーリーやミッキーもそうじゃない。
そもそもロッキーはアポロのスパーリングパートナーを受けるものだと思って、
事務所まで挨拶に行ったはずだ。
そんな風に、
「主たる感情一色」で、
物語がつくられていないことをよく見よう。

一色の味だと飽きる。
どんなに強くてもだ。
だから副菜を入れて、
バランスを取るのだ。
どんなにまじめな話でも、
必ずコメディリリーフはいるのだ。

それは、味変して、メインを再び目立たせるためだったりする。

ソフトクリームにおけるコーンのように、
まったく違う味がいいだろう。
復讐譚の話のときに、
別の憎い感情に振れたら、
ごっちゃになるに違いない。
復讐の感情がメインならば、
それと異なるもの、コメディやお色気やほのぼの、
なんかに振ってみると、
メインを引き立たせる副菜になるに違いない。

なにが的確かは、
あなたのセンスによると思う。
コメディ要素が必ず必要とも限らない。
シビアな話に急に恋愛ものが入ってくることを嫌う人もいる。
それは副菜が恋愛だったらなんでも受けるんだろ、
と思っている作者の浅はかな判断だったりするわけだ。
その浅はかさが嫌われる要素になる。
人気トッピングを入れれば安牌、
という安易さが嫌われるわけだ。

つまり、副菜は、主菜との組み合わせでうまさが決まる。


どういう副感情があるか?
主たる感情とどういうペアになっているか?
それらを研究してみたまえ。

それと同じことを、自分のシナリオでも分析するといいよ。
主たる感情はなにで、
それに対して副菜はこうだから、
舌休めになる、
という風に分析しておくとよい。

アホアホコメディだって、
途中で感動が入ったり、
トラウマをえぐられる感情が入ったりするものだ。
すべては組み合わせとバランスだろう。
posted by おおおかとしひこ at 05:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック