2024年05月27日

まずは進行してみよう

物語というのは、リアクションとアクションの関係で成り立っている。

あることをする
→それに対して思うことがあり、行動で返す
→それに対してまた思うことがあり、行動で返す
→…
ということだ。

「なんでやねん!」とか「なにい?!」などの、
いわゆるリアクションでつなぐわけではなく、
アクションでつないでいくわけ。


で、それをやりながら、
感情移入するようなエピソードを挿入したり、
キャラクターに入っていけるような何かを用意して、
アイテムやセリフやしぐさなどの、
ディテールでうまくやっていこう、
というのが創作的な物語のやり方だ。

だけど、
それの両方を同時にすることは難しいよね、
という話をしようとしている。


じゃあどっちかしかできないなら、
段取り、ストーリー進行を優先しよう、
というのが本題。

それがリアリティがないとか、
それじゃあそのキャラが好きになれないとか、
愛すべき空気感ではないとか、
そういうことがあったとしても、
まずはストーリーを進行させてしまおうぜ、
という現実的な対処の仕方を話している。


なぜかというと、
ディテールはあとでも作れるからだ。
そして、そのディテールでストーリーがゆがんだり、
進行が遅れることはないからだ。

もちろん神はディテールに宿るのだが、
神待ちをしなくても、
それを入れる器、つまりストーリー進行だけは、
先に進めておこうぜ、
という話をしている。

なぜなら、
そのディテールを思いつかないまま、
執筆を止めると、だいぶ止まるからだ。

ストーリー進行だけを考えて執筆していると、
途中でつまらなくなっていることに気付くと思う。
それで萎えてしまい、
放り投げてしまうことはよくあることだ。

それは難しいパートを書いているときに特に起こるが、
簡単なパートでも案外放り投げが怒りやすい。
「ここでこの人はこの人を好きになる」
とだけプロットで決めているが、
具体的なものを考えていないとき、
執筆に丸振りしているときに、
そういうことは起こりやすい。

だがそういうときに、
ディテールにこだわってなかなか進まないくらいならば、
好きな食べ物を上げると好きになる、
という程度のいい加減なディテールで書いてしまい、
どんどん次へ進めよう、
という話をしようとしている。


ストーリーは、
理由のあるアクション(行動)と、
それに対してどう思うか、
その結果としてのアクション(行動)で構成される。
まずはその骨組みだけでもいいから、
文字にしてしまえ、という話だ。

そうすれば、
あとからディテールは書き足せるし、直せるからね。
ディテールはあるものの、
ストーリー進行していないものは、
書き直すなら全面的に捨てることになる。
それはせっかくのディテールが死ぬことになる。

大きく書いて、細かいところを書くべきだ。
細かいところを書いて、大きなところは書けないよね。
解像度はどんどん上げていくのみだ。
下げるとそのあとの段階を全面的にやりなおす羽目になるだろう。


ということで、
困ったら、ディテールは後回しにして、
アクション - リアクションのチェーン(連鎖反応)を、
丹念に考えて、描いておくべきだ。
最後まで行くか、
途中で思いついたときに、
そのディテールをもっと上げて、
シーンの解像度を気持ちレベルまでもっていくと、
直さずによりよいシーンになっていくだろう。


先にディテールだけつくってもうまく行かない。
これからの行動の動機になるようなディテールならば、
きちんとつくっておくべきだろうが、
そうでないものは、
流していってもたぶん大丈夫。

そういう割り切り方で進めていかないと、
シナリオ執筆というのはすぐに止まってしまう。
止まるくらいならば、
走り続けて先にゴールしてしまえ。
おもしろくならないなあ、
と思っているから、余計に詰まるんだよね。
だから、おもしろいものを思いつくまで待ってしまう。
それだと永遠に待つことになるよ。

それよりも先に屋台骨を完成させてから、
壁塗りをどうすればいいかを考えるべき。


なかなか書き進められない人は、参考にされたい。
第一稿は完璧でなくてもよい。
第n稿で完成させるつもりで、
どんどん大雑把でよいから完成させてしまえ。
それを他の人に見せないで、
納得したディテールの付加された、
第n稿で人に見せればいいのさ。
posted by おおおかとしひこ at 07:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック