今回書いている話は難産で、全然進まない。
進んでは止まり、考えてしまう。
そういう時は、推進力が足りないのだな、
と思うようにしている。
それを得るためにどうすればいいか?
「戻る」のはひとつのコツだ。
戻る、というのは、ページを戻るということだ。
今書いている時点よりも、前のページを見直すのだ。
途中で止まってしまう執筆というのは、
その時点でエネルギーが切れて0になっているから止まる。
余力があるうちに別のストーリーラインが生まれて、
それが0になる前に、
別のストーリーラインに移れれば、
途中で止まることもない。
なので、現時点がそうなるように、
過去のぶんにエネルギーを足しておくのだ。
つまり、前の原稿をリライトしながら書いていく、
という手法をとることになる。
このため、
今回は文字打ちをせずに、
手書き原稿のみでやってみている。
そうすると戻りやすい。
前に書いた部分をぐちゃぐちゃ消して、
新しく書き加えればいいだけだからね。
余白が足りなければ、新しい紙を足してそこに書けばいいだけだ。
なので、今回の原稿はかなりぐちゃぐちゃになっている。
前に戻って、
どういうエネルギーを足していくのか?
伏線だろうか?
描写だろうか?
「足りないもの」というのが正解だろう。
その足りないものによって、正解は異なると思う。
今回の僕の原稿に足りないものは、
「そのキャラクターを好きになる要素」であった。
たしかにsave the catのポイントをつくってはいたが、
まあそれだけで、
第一印象しかよくない、みたいなことになっていた。
それより深く好きになる要素が欲しいな、
と反省することになり、
それを考えていくことにした。
大きくは主人公だけど、ライバルやヒロインについても同様だと感じた。
第一印象はあるにせよ、
ストーリーを進めるにあたって、
その印象がどんどん薄くなっていって、
次の上書きがないなあ、と感じたのだ。
ざっくりいえば、
「キャラの立ちが甘い」ということだろうか。
じゃあ、もっと濃くするべきかな、と思って、
独自のエピソードを足していくことにした。
そうすると、キャラが生き生きとしだして、
勝手に発言したり、行動するようになってくる。
なるほど、つまりは、
キャラが生きていないから、死んだ感じになってて、
ストーリーゾンビみたいな感じになってたんだなあと、
修正後はわかる。
ストーリーを進めるときに、
ついプロットを実現しようとして、
キャラクターへの感情移入や好きになることを、
ないがしろにしていることは、まれによくある。
ストーリーを進めるための行動は、
感情や気持ちから出るものであるから、
行動と気持ちは両輪であるはずだ。
どちらかが勝ると、ストーリーの推進力が落ちるのだと思われる。
主人公はどうやったら濃くなるかなあ。
どういうお茶目さがあるかなあ。
どういう痛みに耐えるかなあ。
この人と話していないときはどういう感じなんだろう。
そういうものを足していくことで、
人間になってきた感じがある。
いや、それでは足りなくて、
「物語に出るほどの魅力的な人物」にならないと、
「眺めてて面白い」まで行かないんじゃないかな。
見た目がよければ一生眺めてられるのかもしれないが、
それは役者に依存してしまうよね。
そうじゃなくて、
姿かたちがないにも関わらず、
魅力的でずっと見ていたくなる人になるように、
創造していくべきだ、という話をしている。
小説に出てくる人間なんて特にそういう傾向にあるよね。
参考にできるかもしれない。
ストーリーを進めるだけがシナリオではない。
途中進行が止まってまでも、
人間の魅力を描くべきポイントを用意しておこう。
それが推進力になる。
その人とならずっといたい、
と思わないと、なかなか2時間一緒にいるのは辛い。
上司との飲み会みたいになってしまう。
詰らないストーリーは、
たいてい人間が生き生きしていない。
プロットを進めることだけを考えてはいけない。
普段僕はそれをガワだと言っているが、
ガワが魅力的じゃないものは、
見てて武骨すぎてつまらなくなるのかもしれない。
感情移入は、
基本的にはそのシチュエーションや行動によっておこる。
「それがだれであっても入れ込む」ようなことになる。
だけど、
「その状況に、その『特別な人』が投げ込まれる」
事も、のめり込む要素だということだ。
知り合いや友人が事件に巻き込まれると、
一層心配するものだ。
そういう風に誘導していくのも、
脚本では可能だということ。
推進力が足りないときは、
登場人物に引っ張ってもらおう。
そのためには、前に戻って、
深く描くことをやってみるのがよい。
それでキャラが生き生きしてきたらしめたもの。
楽しそうにやってるのを見ると楽しくなるし、
苦しそうにやってるのを見ると苦しくなるし、
喜びは同じように喜べるし、
悲しみは同じように悲しめる。
登場人物と一体化することがストーリーを楽しむことである。
その一体感をつくることを、
脚本の前半では意識していくべきだ。
もちろん、
両輪なので、
逆の症状の人もいるかもしれない。
しゃべってばかりで一向に前に進まないシナリオね。
それはさっさとイベントを起こしてしまえばいいんじゃないかな。
時間を決めておいて、その時刻になったら電話が鳴る、
くらいに強引にことを進めてもいいと思うよ。
2024年05月31日
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