2024年06月09日

中盤の名場面を絵で言えるか

(セクシー田中さん関連終わったので、
通常モードを再開します)

中盤を書くことは難しい。
書けずに脱落したり、
ヘボヘボな中盤しかかけない人は多い。

防ぐ方法はたくさんあると思う。
そのひとつ、
「中盤の名場面を絵で言えるか」チェック。


中盤でつまらなくなるポイントとしては、
序盤は勢いで書けるが、
第一ターニングポイントを過ぎたあたりから、
急に勢いがなくなることである。

この「勢い」とは何?
という話。

僕は、
「作者の頭の中で、
既に絵があるかないか」
だと思われる。


ストーリーというのは、
動機や状況や行動や反応や結果や、
別の方向になることなどの集合体である。

それができてないのはプロット
(=計画。ストーリーの計画)
が出来てないことだから論外だ。

プロット段階に戻り、練り直すことである。


ただ、プロットが出来てるはずなのに、
中盤から急にどうやって書けばいいか、
分からなくなることはとても多い。

この原因の一つとして、
「絵が頭の中にできてる?」
があると思うんだよね。

序盤は、イメージができてる。
なんなら、
イコンになる絵も思いつき、
それがオリジナリティがあるだろうと思う。
トップカットが魅力的な絵で、
その勢いで書き始めることは往々にしてある。

少なくとも、
オープニングの感じや、
事件の起こる時の感じや、
主人公の登場シーンや、
第一ターニングポイントなどの、
二つ以上は絵のイメージがあるに違いない。

逆にあるから、
それを書きたくて書くんじゃないかと思うわけ。


ところが、
中盤が進まないとき、
「絵を思いついてなくて、イメージが具体的ではない」
があるのでは?
というのが本題だ。

絵とは、映画的な絵だけを意味しない。

こういう状況である、という一枚絵や、
登場人物たちの関係性を示すような場面の絵
(たとえばハイタッチする場面、殴り合う場面、
すれ違うときに目が合う場面など)や、
ストーリーが大きく動く時の絵、
感情を示す絵
(ショックな時、悲しい時、嬉しい時などの絵)、
など、
さまざまな絵を含む。

これらが劇的で、ストーリーの重要ポイントになるならば、
中盤の名場面になるはずだ。

そしてその絵が、
具体的なイメージになってれば、
そこへ向かって逆算で書けると思う。

何分先の名場面に向けて書く?
30分先は無理だと思う。
15分先もフラフラしてそう。
10分先くらいがちょうど良いのでは?
5分先が分かってれば、
今仕込みができそうだね。
1分先なら伏線を張るのは容易だろう。

つまり、最低でも10分先に目標となる絵がないと、
キツイのでは?
ということ。


これから導かれる結論は、
中盤60分において、
少なくとも6つの名場面の絵が、
既に頭の中にあるか?
をチェックすればいい、
ということだ。

それはすごくオリジナリティのある、
絵的に美しい絵でなくて構わない。
そんなのは映画の中で一個あればいいので、
もっと普通の絵でいい。
(最悪、監督がいい絵で撮るよ)
そんな普通の絵で構わないから、
名場面として存在するか?
ということなんだよ。


たとえば。

はじめの10分に、高揚する進行場面があり、
20分に、挫折するかもしれないという場面があり、
30分に、ミッドポイント、仮初の敗北があり、
40分に、二人の別れのシーンがあり、
50分に、ついに脱出する名場面があり、
60分に、第二ターニングポイント、いよいよ決着、

という名場面がある、
などのように考えるといい、というわけ。

たとえばのタイムテーブルを示したが、
もちろんかっきり10分置きでなくていいんだけど、
こういう類のものが、
事前にハッキリ見えてる?
ってことなんだよ。

そこに自信がないとか、
練り倒して面白くなる確信がないとかだから、
書けなくなるのでは?
つまり、勢いがないのでは?

極端な例だけど、
第一ターニングポイント明けの第一シーンしか、
イメージできてないとしたら?
そこは書けるけど、
そのあと急にどうしていいか分からなくなると思う。
暗闇を探るように書いていくだろう。

数シーンは勢いのまま書けそうだけど、
どんどん勢いはなくなっていくはず。
あれえ?次何を書けばいい?と止まってしまうだろうね。

「高揚する進行場面」とプロットには書いてあったとしても、
それが具体的な絵になっていないからだ。

たとえば次々と記録を塗り替える場面、とか、
仲間が増えていく場面とか、
そういう具体的な場面のことを言っている。

そしてそれがプロットの意図を、
具体で表せているか?
ということだ。

それがあれば間を埋めることが出来るが、
その目標シーンがなければ、
60分はずっと暗闇だぜ、
ということだ。

ミッドポイントは流石にイメージできてるかな。
じゃあ30分間闇の中だね。
これは辛くて当たり前だよな。

じゃあなぜ序盤30分は勢いで書けたのかというと、
「第一印象をつくる場面」が多かったから。

ストーリー進行をする場面じゃなかったから、
絵を作りやすかったからだ。

オープニング、事件、主人公登場、
各登場人物や場所登場、などの、
第一印象場面ばかりだったから、
間を埋めやすかったんだよ。

中盤になって、
急に新登場人物を出したがるのも、
新しい絵が浮かびやすいからじゃない?
つまり、序盤の成功体験を繰り返してるだけなのよね。

そうじゃない。
ストーリーが進む、
絵になった名場面は?

全て見終えた時に、
あとで思い出す名場面は?

それを用意しておくのだ。


そのチェック方法として、
「中盤の名場面の絵は?」と問えば良い。
2〜3個だと厳しいね。

6個ある?

繰り返しになるが、絵的に素晴らしくなくてもよい。
たとえば「メガネのアップ」とかでもいいよ。
名場面ならね。
ストーリー的に重要なターニングポイント、
たとえば犯人はコンタクトではなくメガネをかけていたことが、
証拠品として出てきた、
という場面を、メガネのアップで象徴できる。
それが決定的なものになるなら、
それは名場面だろうね。
あとから思い出す時に、
「まさかメガネだったとは!」ってなるなら、
そのアップは象徴的記憶(イコン)になるだろう。


そういうのが、6個ある?

その準備が出来てないと、
たぶん座礁するだろう。
地図がないのと同じだからね。



なぜ中盤は難しく、序盤の勢いがなくなるのか?

絵ができてないからだね。

そして序盤に必要な絵と、
中盤に必要な絵が違うのさ。
中盤に必要な、登場ではなく、展開を象徴する絵を、
その分用意してないから、
暗闇で転ぶのだろう。


つまり、プロットだけでは足りてないことが多い。
プロットが出来たら、
そのような、
中盤の名場面の絵をイメージする段階を挟むと良い。

黒澤明はストーリーボードを油絵で描いたが、
油絵である必要はなく、
ポンチ絵でいいのでつくっておくことだ。

6個あれば楽になる。

それを屏風のようにならべれば、
あなたの書くべき60分が、
俯瞰できるぞ。

もちろん、6以上でもいいよ。
ただ多すぎると柔軟性を失い、
バタバタになるから、
10以上は捌ききれないからやめておけ。
posted by おおおかとしひこ at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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