その人や他の人が前に言ったことに、
引っ掛けたりちなんだりすると、
リンクが出来やすい。
セリフやアクションを、
前から順番に並べて、
ABCDEF...
とあったとしよう。
これらが順接で結ばれている場合もあれば、
逆説で結ばれている場合もあるだろう。
それらがストーリーのリンクということだ。
次々に展開していくとき、
順接ないし逆接でリンクされているから、
流れている、のように感じるわけだ。
別の流れが流入するときなど、
いったんリンクが途切れて、
また合流することになるね。
そのように、
ストーリーには目に見えないリンクがつながれているような構造をしている。
で、
前の発言や行動について、
それに引っ掛けて発言したり、引用したり、
ちなんだりすると、簡単にリンクをつくりやすい。
ABCDEF...
のAの場面で言ったセリフを、
Fでもう一度言ったりすると、
Aでの場面での意味を繰り返すとか、
Fの文脈で意味が変わって来るとかになるはずだ。
このとき、AFにリンクが発生するわけ。
たとえば、
Aで「おしりぺんぺん」と言ったとして、
Fで「うんこぺんぺん」にアレンジしたら、
Fだけの文脈でなく、Aの意味も考えたうえでの発言になると思う。
Aで「夜道に気を付けることだな」と言ったとしたら、
Fで「昼間も気をつけろ」なんて言えば、
AをFで強化したことになるわけだ。
こんな感じで、いかようにもリンクをつなげることができるわけ。
このことによって、
「すべてがつながっている」という感覚をつくることができるわけだね。
よくあるのは、
Aで質問して答えが出なかったものを、
Fで答えが出る、みたいなこと。
Aで「仕事と私とどっちが大事なの?」と振っておいて、
Fで「仕事よりもきみだ」と言わせれば、
リンクがつながる。
いきなりこのセリフを言っても忘れてるだろうから、
「仕事ときみとどっちが大事か聞いたよな?」
「ええ聞いたわ」
などの前振りがあるだろう。
あるいは、
フラッシュバック: 「仕事と私とどっちが大事なの?」
もよく使われる手法だね。
ランダムなものがただ並んでいるものはストーリーではない。
ストーリーとはすべての要素がつながり、関係しているものだ。
その関係性を探りながら観客は見ているわけだから、
リンクをどこかにつくると、
観客はつながりを感じ、意味をつなげて、
ストーリーを見ている感覚から離れなくなるわけだ。
もし、ストーリーがうまくかみ合っていないなあ、
と思うときは、
前の何かに引っ掛けて何かできないか、
あるいは、
発言をするときに、
前のセリフにちなんで言えないか、などを考えてみるとよい。
あくまで文字面上のテクニックだけど、
そこにつながりができると、
気持ちもつながって来るというものだ。
もちろん、前に使ったものが、
地味で記憶に残っていないものだと、
何も覚えていないから、リンクをつくっても分かりにくいかもしれない。
分りやすいリンクは、
前に目立ったものからつなげるべきだろう。
それは伏線と解消の関係にも似ている。
派手なポイントがつながっているから、
ハッとするわけだね。
というわけで、
前のシーンを見返そう。
今のシーンで、
それらとちなんで発言できないか、
それを踏まえて追加したものにならないか、
引っ掛けて関係させられないか、
引っ掛けやすいように、目立たせられないか、
などを考えることは、
ストーリー特有のやり方だと思う。
最初に交わしたセリフを、
告白のときにもう一度交わす、
なんてのはよくあるテクニックだよね。
別れの時に交わして、アレンジされた部分が本意である、
なんて使い方もある。
最初に交わしたセリフを、
最後の対決の前に交わしてもよいよね。
そうすると、
最初からの糸が、ここで閉じるな、
という予感がするわけだ。
簡単なテクニックだけど、
応用範囲は広い。
ブックエンドテクニックもこれで使えるし、
伏線と解消のときにも使えるやり方だ。
逆に、こういうリンクがない脚本は、
ただの記録であり、
劇的なシナリオではないだろう。
2024年06月14日
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