2024年07月08日

やって来る、やる、やられる、やり返す

ストーリーというのは、
何かが起こることだ。
何かを起こすことでもよい。

とにかくストーリーが進むということは、
何かが起こっている。


それを、自動詞と他動詞に分けてみよう。
つまり、
起こる、と起こす、である。

「起こる」は、自然現象のようなもので、
主人公の人生とは関係ないところからやって来る。

ライブやクリスマスなどのイベントは、やって来る。
嵐はやって来る。
地震が起こる。
サイコロの目で1が出る。
テスト期間が来る。
夏が来る。
侵略者がやってきた。

主人公の行動や考えとは関係なく起こるイベントは、
すべて自動詞である。
偶然であり、主人公の人生と必然的な関係がない。

これに頼る物語は弱い。
主人公という行動を描いていないからだ。

だから、もし、この「起こる」という自動詞があるとしたら、
ストーリーの開始部分である。

「偶然宝くじが当たってしまった」とか、
「転校生の子がめっちゃ美人」とか、
偶然の何かによって、
昨日までのつまらない日々が輝く日々になりはじめることは、
物語ではよくある。
つまり、導入の奇跡みたいなことが、
「起こる」というパターンで記述される。


それ以外は、
すべて他動詞であるべきだ。
つまり、
誰かがなんらかの意思を持って、
何かを起こしている。

それを、
やる/やられる/やり返す
の3種に区別しておく。

つまり、
主人公がやる行動を、「やる」と記述する。
意思を持って、世界に変更を加えるわけだ。

一方、誰かに行動を起こされてしまうこともある。
それを「やられる」という記述形式にすることにしよう。
誰かに先を越されたり、
直接被害を被ったり、
嫌がらせなども含めて、
何かをされるわけだ。

さらに、
それらに対して、「やり返す」がある。
アクションに対するリアクションということだね。
ただ泣き寝入りしたり、無視したり、
無効化するのではなく、
嫌がらせでもいいし、もっといいことでもいいが、
何かをやり返すわけだ。


これらは、大体ストーリーの順番になっている。

やって来る。
 何かが起こる。それは主人公の行動の結果ではなく、
 向こうからやってきた偶然だ。
 そしてこれはストーリーの中で一回切りだ。

やる。
 主人公が何かを始めたことでストーリーは動き始める。

やられる。
 主人公の行動に対して、反発や嫌悪がある。
 なんなら直接何かをされるかもしれない。

やり返す。
 やられたことに対して、主人公は行動を継続する。
 それはやり返すことも含むだろう。

やり返す(やられ返す)
 やり返したらやり返しが待っている。
 これがコンフリクト(対立、衝突)である。
 そして、どちらかがやり返さないまで、
 これは続けられる。

つまり、
ストーリーというのは、
やって来る、
やる、
やられる、
やり返す、
やり返す、
やり返す、
……
で記述される、
ということである。

やられる、から始まる話もあるかもしれない。
それは復讐の話になるのだろうか。
やられたからやり返す話になるのだろうか。

やる、からいきなり始まる話もあるだろう。
ただ、感情移入が間に合わないかもしれないね。
いったん落ち着いて、感情移入さえうまく行けば、
ずんずんと進むストーリーになっていると思う。

これらはあくまで応用編だろう。
まずは基本形が出来ないとだめかもしれない。


へたくそな人は、
「やって来る」の次に、
「やって来る」を書き、
さらに、
「やって来る」を書いてしまう人じゃないかと思う。

つまり、主人公は行動していないし、
周囲はそれに対してリアクションしていない、
ということだ。

偶然が進むだけで、
誰も自分の意思を示して、
行動しようとしていない場合、
「やって来る」だけになるのではないか。


行動すれば必ず波紋が起こる。
それに対して、やられたり、
やり返されたりするのだ。
行動が世界を変える。
行動がストーリー進行の基準である。

行動しないでストーリーが進行することはない。
だから、「やって来る」ばかりに頼りがちになるんじゃないか。


僕は、
ストーリーというのは、
動詞の列で記述できる、と考えている。
その動詞を集めれば、
大体骨格になっていると。
動詞、つまり行動していないストーリーは、
その骨格はふにゃふにゃだろうね。

さらにそれらは自動詞と他動詞に分類される。
それらの数を数えろ。
posted by おおおかとしひこ at 07:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック