2024年07月11日

どこで汗をかくか

主人公はどこで汗をかくだろう?
ヒロインは? ライバルは?
各登場人物の、汗はどこでかいてる?
それをチェックしてみよう。


それは、生理的な反応である。
意図的に汗をかく人はいない。

いや、さっぱりするためにひと運動しようとか、
サウナへ行こう、ということはあるかもだけど、
それすらもストレスの現れということかもしれない。
とにかく、
登場人物が汗をかくところはどこか、
リストアップしてみたまえ。

メイクの人がチェックして、
汗メイクを準備するシーンをリストアップするのとは違う。
ストーリーの上で、汗をかいているのはどこか?
というチェックをするわけ。


何かがばれそうなときの、冷や汗かもしれない。
ドキドキして興奮するときの汗かもしれない。
失敗したらどうしようという緊張の汗かもしれない。
発表のときの脇汗かもしれない。
嫌な予感があって、ずっと汗をかいている時かもしれない。

まあどこでもよい。
つまり、「平静を失っているところ」を、
チェックせよ、ということだ。


ストーリーとは非日常である。
日常の平静な気分ではないものである。
それを冒険などと言ったりする。

ストーリーの本質は冒険であり、
日常の安心安全なところから離れて、
大冒険することに主眼がある。

冒険のないストーリーはつまらないのだ。
日常で冒険している人はほとんどいない。
だから他人の命を懸けた冒険を見ることが娯楽になるわけ。

で、
そういう非日常の冒険をしている部分、
つまり、
平静な精神状態ではいられない部分は、
どういうパート?
を探すわけ。

仮にそれを赤で塗るとしようか。

これがもし一個も赤で塗られていなかったら、
「日常の気分でストーリーにいる」というわけになり、
「どこが冒険になるの?」という突っ込みが入るぞ、
ということだ。

もし真っかっかなら「落ち着け」となるだろうか。
でも、全編落ち着いて冷静じゃあつまらないから、
書くのも見るのもしんどいけど、
こっちのほうが面白いだろうね。

つまり、
主人公や悪役やライバルやヒロインは、
日常の冷静で平静な心持ちではいられない場面が、
いくつもある。

ドキドキしたり、ハラハラしたり、
焦ったり、心中穏やかじゃなかったり、
心配したり、ハアハアする。
キスシーンやラブシーンだって汗をかく。
アクションシーンは必死であればあるほど汗をかく。

つまり、日常ではいられない、
特殊な心のときに、汗をかくという証拠がある、
ということである。

汗をかいている時は、たいてい非日常の瞬間である、
ということだ。

単に真夏に日常の労働をして、
暑いーと汗をかいているのは、
例外としてのぞこうか。
今そういうことをチェックしているのではない。


汗をかいている時は、
文字通り、ストーリーが熱くなっているときだ。
だから冷静ではいられないわけだ。

そういう、集中して熱くなっている瞬間は、
どこか、
何か所あるか、
誰がそうなっているか、
ということをリストアップしてみようぜ、
ということだ。

これによって、
自分のストーリーが俯瞰できると思う。

ああ、主人公、落ち着きすぎだな、とか、
焦りすぎだな、とか、
この登場人物、全然感情が動かないな、とか、
汗かきすぎているな、とか、
ヒロインが動かないのは、汗が出ていない、
安全地帯にいるからだな、とか、
そういうことを分析するのに使えると思う。


じんわりでもいい。どっと、でもいい。
汗をかけ。
汗をかかせろ。
状況が逼迫するほど、
汗をかかないといけなくなるだろう。
それは、ストーリの緊急度合いが強く、
大きく状況が動くということだ。
つまり、おもしろいストーリーになっているということだね。

登場人物が汗をかくところは、
観客が手に汗を握る場面の候補だ。

登場人物が冷静で、日常の平常心だったら、
手に汗を握るわけがないよね。
posted by おおおかとしひこ at 08:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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