第一印象、二回目の発見、三回目の確信。
一発で人は人を好きにならない。
見た目でひとめぼれする時もあるが、
脚本ではビジュアルを書くことが出来ない。
また、
物語は、超絶イケメンと、超絶美女のものだけではない。
なので、ひとめぼれ以外の、
好きになる段階を作っていくべきだ。
少なくとも僕は三段階あると思っていて、
第一印象、第二段階、第三段階、
ととりあえず呼ぶことにする。
「おっ、ええやん」というのが第一印象だろうか。
それがないと、まず候補にも入らないだろう。
ただし、
「第一印象は最悪だったのに、
その後ギャップのあるところを見つけて、
好きになってしまう」パターンもあるため、
第一印象だけが必要条件ではない。
ただ、
第一印象がいいと、あとで得することは多い。
第一印象が良いと、
もっと良くしたほうがいいんだろうか?
多分だけど、
第一印象から得られる良さの、
延長線上だけだと、
それ以上好きになることはないんじゃないかなあ。
それとはまったく別のところで、
好きになるポイントがあるはずだと思うんだよね。
「ギャップ」とよく言われるのはここだと思う。
カッコイイと思っていた(第一印象)が、
案外かわいいところもある(第二段階)とか、
怖い人だと思っていた(第一印象)ら、
案外優しいところがある(第二段階)、
のようにだ。
第一印象と離れているところに良さを見つけると、
「二つの要素で描かれる」が訪れて、
リーチがかかるんじゃないかなあ。
このリーチがかかっている状態のときに、
さらに「第三段階」があると、
人は完全に落ちるんじゃないかと考えている。
ああ、この人についていってもいいや、と思える瞬間というか。
その間に、減点があったら、
好きになるには時間がかかってしまうだろうか?
僕は、
失敗や減点よりも、
「好きになる加点ポイントが減点を上回る」
ときに好きになるんじゃないかと思っている。
つまり、どこまで行っても、
「好き」というポイントが勝負であると。
最悪最低と思っていたやつが、
実は〇〇で、というパターンだってあるわけだしね。
我々は世紀のやりちんではないので、
現実の女たちをそのようにコントロールすることは難しい。
だが、
世紀のストーリーテラーなので、
架空の登場人物について、
そのようにコントロールするべきだ。
つまり、
観客が、登場人物たちを好きになるように、
コントロールせよ、
ということだ。
主人公を好きにならないと、
30分も経つと見るのがきつくなるだろう。
脇役にいいやつがいないと、
主人公だけだと持たないだろう。
ライバルや敵にすら、
愛せるポイントがあるかもしれない。
ヒロインは、ビジュアルだけでなく、
人間的に美しい人である必要がある。
不思議なことに、
よくできているストーリーほど、
登場人物たちを好きになる。
ストーリーはどうでもよくなり、
登場人物たちが、ここでどういう結末を迎えるかのほうが、
気になる(それがストーリーそのものなのだが)。
そうなるように、
観客が、登場人物を好きになるように、
つくっていくべきだろう。
好きでもない人と二時間いるのは苦痛だ。
好きな人との二時間なんて瞬きと同じである。
出来るだけ早く好きになってもらえ、
というのは、時間をうまく使うコツなのだが、
「無理して好きにならせる」ことなんて難しいので、
自然な感じでいいと思う。
ただ、ミッドポイントが来ても誰も好きになれないストーリーは、
たぶん退屈だろうね。
観客は、どこで登場人物たちを好きになるんだろうか。
主人公を好きになれないならそもそもつまらないストーリーだけど、
その他の人物も好きになれないのは、
やっぱりつまらないだろうね。
観客の好きをコントロールしている、
そう思うと、
エピソードの在り方も変わってくるのでは?
「好きにならせるぞ」という気負いだと逆に失敗する。
「俺も、観客も、ここでこの人物を好きになる」
という風にやっていくのがコツだ。
「ここで、この人に初めて会った」というような場面だね。
それが、三回もあれば、
まったく違うことで三回あれば、
好きになると思うよ。
全ての登場人物について、
そうするのは難しいだろう。
だけど、多くのメイン登場人物について、
三回いい場面がないのは、
二時間も何やってんの、とも思えるよね。
2024年07月13日
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