2024年05月21日

小説「てんぐ探偵」完結のごあいさつ

2014年に初稿を書いてから、10年かかってしまいました。
脚本しか書いたことのなかった俺が、
小説的文章力には自信がなかったけど、
お話はおもしろいだろという確信だけで、
10年間こつこつと108話を書きました。

遠野物語100周年で映画を企画できないか、といわれて、
原作(民話を収集したもの)で気になったのが天狗の人攫い。
たったそれだけからここまで膨らませたのは、
まあまあ偉業だったんじゃないですかね。


世界は狭くなり、分かりやすい悪が減ったな、
と思い、
心の闇こそフロンティアなのではないか、
と思ったのが10年前。

あれから、
ADHDや統合失調やメンタルヘルスに対する、
社会の理解は結構進んで、
シンイチの処方箋がリアリティに追い越されたところも、
今やあるかもしれません。

10年あれば社会が変わってしまうのはよくあることだけど、
こんな風に世界が変わってしまうとは、
書き始めた当初は思ってなかったな。

東京五輪で構造腐敗が暴かれ、
戦争があり、コロナがあり、
豊かだった日本は目減りして、
少子化になって高齢化になって、
だいぶガタが来て。


心の闇と天狗の炎が対になる、
と気づいたのは二章の途中だったかなー。
それも込みで、
ほんとは一話からリライトしたい。


書き始めたときは、
おもしろいのさえ書けばいつか誰かが気づく、
なんて楽観的に考えてたけれど、
10年前に比べて、
プロ作家業界が凋落して、
アマチュア作家頼みになってしまうのも、
想像の外だったなー。



シンイチの冒険はこれで終わりです。
最終回、
ネムカケが嫌じゃ嫌じゃと暴れ始めたのは、
プロットを書いてた時に勝手に動いた記憶がある。
キャラクターが勝手にストーリーを進めた、
最後のパートだったな。

思いつけば、
番外編でのシンイチの活躍や、
その他のてんぐ探偵の後日談やスピンオフなんかもやりたいけど、
とりあえずドントハレです。



読者の方はありがとうございました。
次回作にご期待ください。

久しぶりに、全力で書き切った最終回三部作でした。

最初の方は見るに耐えず恥ずかしいですが、
全文読みたい方はどうぞ。
全108話+特別編4話、1150万字あります。
https://ncode.syosetu.com/n0683dj/
posted by おおおかとしひこ at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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