2024年05月22日

永遠に変わってしまうのは何か

ストーリーが始まる以前と、
終った直後で、
永遠に変わってしまっているのは何か、
チェックしておこう。


ストーリーは変化である、
という前に、そもそも何が変化したかをチェックする、
という感じだ。

そして、簡単に元に戻るものは変化といわないので、
(たとえばメイクを変えたが、明日には元のメイクに戻るかもしれない)
永遠に変わってしまうものは何か、
という観点でチェックポイントを設けると、
何が変化したのかをとらえやすい。

たとえば、
登場人物の死
所属組織の解体
転職
解散、解体
部署の誕生
チームの誕生
離婚
結婚
合併
全焼
歴史的偉業
パラダイム転換
新しい門出
新築
などは、
永遠に変わってしまったものだろう。
もとには戻らなさそうだ。
だから、
こういうことを利用するのだ、
と考えるとよい。

たとえば合併を、
何かの価値観の象徴として使うとよい。
それが意味することは何か、
というのが本編内で語られるとして、
それが永遠に変わらないということは、
そうじゃない価値観からその価値観に変わったのだ、
ということを表現できる。

離婚ならば、
いいと思ったものはやっぱり駄目だった、
という永遠の心の変化だ。

そんな風な、永遠に変わってしまったものを、
何かの象徴として使うとよい。
物理的な変化を持って、
それが象徴する意味の変化を表現できるわけ。

二度と戻らない離婚した二人の関係は、
全焼した新築の家で表現できる、
ということだ。

そんな風にして、
永遠に変わった価値を、
永遠に変わってしまった何かで使えないか、
を考えるとよいだろう。


そもそも物語とは、
ある経験(事件とその解決)をもって価値観が変化することだ。
それがすぐに元に戻る程度のものであれば、
二時間かけて描く価値などない。
永遠に変わってしまうほどの、
すごい体験こそが、
映画に求められている娯楽性である。
だから、
それだけの価値観の変化が起こる。
そしてそれは、永遠に元に戻らないほどの、
衝撃的な何かである必要がある。

そうなっているかどうかチェックするために、
永遠に変わってしまったもので、
それが表現(象徴)できているかをチェックするわけ。

何も変わらない故郷の町で、
主人公の価値観を象徴している、
などだと変になると思う。
すっかり変わってしまった故郷の町で、
主人公の価値観や心情の変化を示すべきだろうね。

永遠に変わってしまったものはなに?

一般に、世の中にある、
永遠に変わってしまうものはなんだろう?
取返しがつかないものはなんだろう?
壊れたツボや皿で、元に戻らない二人の関係を示すことは、
よくあることだ。

壊れてなくなるほうが種類が多いが、
変化してよい方向になるものはなんだろう。
それらを列挙しておくと、
あとあと使える何か、だったりするかもしれない。
posted by おおおかとしひこ at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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