昔のアニメは夜が青かったのが好き
→昔はオレンジ灯が多く補色の青が見えた、
今はLED環境白色灯だから夜は黒く見えてる
説は、違うと思う。
https://x.com/rosso016/status/1793294783948931118
みんなデジカメの色の方を参考にするようになったから、
だと思う。
つまり、デジカメが人の認識を変えたと思う。
このアニメの頃の夜の実写は、
フィルム撮影が多かった。
感度がISO500なかったと思う。
なのでほとんど潰れてしまう。
だから、夜は照明をたくさん焚いた。
ただ白い光は昼間っぽい光になるから、
青い光を当てたのよね。
照明が豊富なスピルバーグの映画とか、
夜は青々しくなってる。
あれは全部青フィルタの照明、
またはタングステンフィルム(感度が高く、元々青く映るフィルム)
を使っている。
スピルバーグは特に夜にフォグを焚いて、
その間接光も使ったので、
空気全体が逆光でうっすら青くなってるのが、
80年代のアメリカ映画の夜の撮り方だったね。
デジタル撮影になって感度が3200とか6400くらいまで上がった。
つまり400の8から16倍程度とれるようになると、
照明をわざわざ焚かなくても撮れるようになる。
地明かりで撮れるわけ。
となると、黒と白の世界になるだけなのよね。
デジカメの絵はだから、
味がないともよく言われる。
真実は味気ないのだね。
フィルムで工夫して撮ってたときのほうが、
様式美があったわけ。
「アメリカンナイト」という古い技法もある。
夜の照明代を浮かせるために、
昼間ないし夕方に青いフィルターをカメラに噛ませて、
絞りを絞って暗くして、
青く暗い世界を夜だと表現する方法がある。
太陽の直射、空、地面の影が入るとバレるので、
人物のアップやバストショットくらいでよくやる。
ドラマ風魔の小次郎では、
項羽の白羽陣のシーンなんかが、
アメリカンナイト技法で撮られている。
実際には「夜」という設定ではなく、
「不思議な時間帯」に見えるようになっているが、
ここからさらに暗く絞ればアメリカンナイトになるね。
あるいは、
夜の時間帯に撮ると黒く潰れちゃうから、
薄暮時間帯(日没後まだ空が青く、黒に落ちてない、
15〜30分くらいの時間)に、
「夜」と表現する写真もある。
たとえばこんなん。
フィルム感度が足りないときは、
これを「夜」としてた時代が長かった。
いまでも空を青く撮りたいなら、
この時間帯、わずか15分くらいで狙うこともある。
(ちなみにこの写真はISO100で撮ったそうな)
なんでもかんでも「映ったまま」になったデジカメと、
「工夫しないと映らない」フィルムの違いだ。
そして、
そもそもオートで撮られたデジカメは、
オートで撮る限り夜は黒で表現する。
これに色温度をあげて青く撮ることも出来るのだが、
そのような表現技法が失われすぎてて、
「オート任せのデジカメの絵」が普及しすぎたせいで、
夜は黒になってしまったわけさ。
たとえばこのような黒い街がある。
デジカメでオートで撮るとこうなる。
でも「青い夜」にすることもできる。
ホワイトバランスをきちんとコントロールすればね。
たとえばこうも撮れるはず。
でも素人はそんな一手間かけないから、
上のオートの写真しか撮らないわけ。
こうして、夜は「オートデジカメの黒」になったのよね。
「カメラで黒く映ってるのに、
表現が青なのはおかしくない?」とね。
とくに漫画やアニメは「デジカメのトレース」が、
当たり前になってしまったから、
色温度やホワイトバランスをわかってる、
カメラをきちんと使える人でない、
オートデジカメの絵を基準にしてしまうのだろう。
技術を使いこなせない愚か者のせいで、
表現が痩せてしまった例として、
記録しておこうか。
僕は、青い夜のほうが好きなので、
自分でやる時はよく青くするな。
2024年05月23日
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