2024年07月19日

「あんた、変わったね」と言わせてみる

これを後半かどこかで言わせてみて、
自然かをチェックしてみよう。


物語とは変化である。
経験、冒険によって、
人生観や認識が変わるさまを描く。

もちろん、何かに影響をうけて、
何かが変わってもよい。

いずれにせよ、どうにかして変化したか、
をチェックするために、
「あんた、変わったね」と、
粋な人が言ってみるとわかるわけだ。

十分な変化をしていれば、
「そうかね?」
「自分じゃ気づかないかもしれないがね。雰囲気から何から別人だね」
なんて会話になるだろう。

もちろん、わるい変化もあろう。
最終的によく変化するにしても、
途中でいったん悪くなるときに、
「あんた、変わったね」と言っても不自然でなければ、
結構変わっていると思う。

すっかり変っちまって、
田舎にいたころのアンタはそうじゃなかった、
なんて嘆きも描けるかもね。


外に見える変化をしていなかったとしても、
「あんた、変わったね」というおばさん?は、
「目が変わった」などというはずだ。

まなざしとか、姿勢とか、生き方とか、
そういうものが変わったら、
久しぶりに会った人はわかるかも知れないね。

グッと良くなった、
となるのが最終的に望まれる変化だろう。
その変化の価値が、
物語のテーマ、価値になっていくはずだ。

「泣き虫が強くなった」でもいいし、
「自信があふれるようになった」でもいいし、
「女が抱かれたいと思うようになった」でもいいし、
「理知的になった」でもいいし、
「大人になった」でもいいだろう。

なんでもいいから、
雰囲気が良い方向に変わったかどうかは、
このセリフをぶつけてみるとわかる。


もし変化していなかったら、
「ううん、どこが?」ってなってしまうだろうね。
本編のどこに挿入してもいいが、
まあ後半だろうか。
最終的に変化したかどうかを知りたければ、
ラストシーンが終わって、
酒場に主人公がやってきたシーンを想定して、
久しぶりにあったスナックのママに、
「あんた変わったね」といわせてみればいい。

「ああ、〇〇になった」と何かしら答えられれば、
それはいい変化をしている、
ということだ。


あなたの主人公はどう変わったか?
そもそも、変化しているのか?
全編通じて、アイデンティティが一度も影響を受けていないのなら、
たいした冒険をしていないということになる。
平常心で暮らしてきただけだからね。

逆にいうと、
物語というのは、
平常心でいられないほどの大冒険をして、
アイデンティティクライシスがあって、
それを抜けること、だと言えよう。
posted by おおおかとしひこ at 08:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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