2024年07月21日

書き終えて、猛烈に凹むとき

はよくある。
その対処法。


なぜ凹むのかを考えよう。

「ずっとこんなイメージで、
とワクワクしてやってきたのに、
いざ書いてみたら、
イメージよりしょぼかった」
ことに凹むのである。

イメージ通りにつくれなかった、
自分の実力のなさに凹むのである。

火の出るようなアツイ話、
号泣するほど心を締め付ける悲しい話、
驚天動地の驚く話を書こうとして、
頑張って書いたにも関わらず、
いざ書き終えて、
イメージという抽象が具体におちると、
急に色褪せて見えてしまう現象。

プロットや妄想は、
古今東西の名作を凌駕するはずの出来だったのに、
実際に文字にしてみたら、
そんなのに全く届いていない、
と落ち込む。


これは、正しい反応である。

もし、
「できた!これは世界一の名作である」
と思っているのなら、
客観性が足りない。
一発で世界的名作が書けるなら、
すぐさまもう5〜6本書きたまえ。
それでも客観的にみて名作ならば、
あなたは世界的作家になれるから、
こんなところを読まなくて良い。


ほとんどの妄想は、
現実に具現化するとしょぼくなる。

なぜから、
「そこまで具体的に想像してない」からである。

小説の中で妄想を膨らませていた場面が、
実写化されるとしょぼくなるのと同じだ。

想像というのは、
全部を想像していないからである。

自分の都合のいいところだけ想像して、
都合の悪いところはまだ想像してないのだ。

まずその、「想像」という現象を知ることだ。


だから、
「想像に足りてない」からといって、
出来上がったものが詰まらないか面白いかは、
どっちかは分からない。

斜め上の方向に面白くできてるかもしれない。
いずれにせよ、客観的に評価しなければならない。
客観的に、というのは、
他の作品と比較して、だ。
あなたの想像と比較して、ではない。


たぶん、産後鬱みたいなことだと思う。
あんなに苦労したのに、
と虚脱状態に陥るのだ。
その状態でまともな判断ができる訳がないよね。
だから客観的になりたまえ、
と言ったとて、なかなか難しいと思う。



もう一つ可能性がある。

あなたはあなたのストーリーに慣れすぎてて、
初見の人の衝撃をもちえていない。

初めてそれに触れる人が、
ものすごい逸脱した尖った話だと感じたとしても、
あなたにはもう日常のことなので、
慣れっこになってしまってて、
ふんと笑える程度や、
まあまあ感動の程度や、
ちょっと驚くかな程度や、
せつないねえと思える程度になっているかもしれない。

だが初見の人は、
大爆笑だったり、
あまりにも感動して立てなくなるほどだったり、
顎が外れるほどの意外性の衝撃を受けたり、
骨身に染みる深い哀しみだったりするかも、
知れないんだよね。

つまり、初見の人になれていない可能性だ。


自分的には大したことがないが、
他の人から見たら最高、
ということはままある。

そうかどうか、
客観的に判断するまでには、
だいぶ時間がかかるだろう。

他人の作品としてそれを見れるくらい、
作品の中から外に出ることは、
なかなかに難しいよね。



もちろん、
全然クソみたいな作品を、
世界最高峰と勘違いしている可能性もある。

どのケースに当てはまるかは、
客観的に本人が判断するかは、
なかなかに難しい。


だから、読み手を選ぶべきなのよね。

これは衝撃的な世界を変える作品である、から、
手癖で作ったクソ手前作品まで、
正しい目を持っている人に読んでもらうべきだ。

忖度なく、「いまここ」を示してくれる人に、
読んでもらうべきだ。

客観性が欲しくて他人に読んでもらうのに、
その人が忖度したり目が歪んでたら、
評価は真実から遠ざかってしまう。



天地が突き抜けるほどよかったのか、
十分よかったのか、
普通なのか、
よくないのか、
思い込みだけのクソなのか。


自分が見えてないときは、
鏡に映った姿を見て、
あれが理想に足りない、
これが違うなどと思って凹んでしまう。
まるで整形を繰り返すモンスターのようだ。

100点の美人じゃないけど、
78点くらい行けてるから、
それでいいんじゃない?
というのも一つのゴールだと思うんだよ。

それを、100じゃないから0に違いない、
と思い込んでしまい、凹むのよね。


30とか20は直すべきだけど、
60以上はOKでいいのではなかろうか。

もちろん、
圧倒的に120点のほうが、
この迷いが起きにくい。
だけど毎回120出せる保証はない。


だから、
作者一人が凹む、
という不思議な現象がおこる。

出来ないだろうけど、
客観的になりな、しか、解決策はないのよね。

客観的になった結果、0ならまあそれはドンマイ。
変なものにすがりつかずに次へ進もう。
posted by おおおかとしひこ at 04:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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