2024年07月23日

スケジュールを整理する

あと何日で締め切り、という執筆のスケジュールではない。
作中のスケジュールだ。
作中の人物たちは、作中のスケジュールで、
あと何日で締め切り、と動いている。

つまり、作中のカレンダーをつくろう。

カレンダーありきの物語は、
日付にイベントが紐づいているから、
その合間合間でストーリーをつくらないといけない。


今書いている話の例を。

今書いているのは、
スキージャンプを題材とした物語だ。

国内大会と、国際大会にそれぞれ出る二人が、
長野県白馬と、札幌大倉山で邂逅する。

彼らは各大会のスケジュールに合わせて生きている。
それとは別に人間ドラマがある。

ということは、少なくとも、
メインに描きたい人間ドラマは、
各大会のスケジュールの合間を縫ってあるはずだ。
たとえば結婚式は、シーズンに入る前に済ませる、
みたいなことも描かれる。

大会の日付が決まっている。
それを避けるか、被せて、
ストーリーをつくらなければならない。

で、具体的なその縫ったスケジュールがこれ。
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大きく1年にわたる話。
紙を左右に分割して、二列。
その中に、
左側に国内大会、
右側に国際大会を書き、
1月から翌2月までの、
大会のスケジュールを青ペンで書いてある。
結構大会の数は多いんよね。

メインストーリーは、
これを縫うように赤で書かれている。

第一ターニングポイントはスケジュール的にはとても早く、
左上の2月から3月までで終わっている。

二幕前半が4月から9月までとかなり長い。
後半が9月から11月と短く、
三幕は12から1月だ。

つまり、1年を同じペースで圧縮するわけではなく、
適宜ペースチェンジしながら描いていく話、
ということがこれを見ればわかる。

すでに第一稿は上がっているので、
改めて俯瞰するときに、
公式スケジュールとの兼ね合いがどうなっているか、
より細かくチェックするためにつくってみた。


赤のラインを見ると、

一幕:
千佳登場、浮気、離婚、公園と滑り台、宮の森で飛ぶ

二幕前半:
久我原登場、牧草地帯と闇、快進撃、落下
二幕後半:
婚約、谷口の死、動物園、吹雪

などと、場面が散りばめられている。
もちろん内容まではなんのこっちゃだろうが、
ストーリーの結節点、重要な場面であることはわかるだろう。

これらを眺めることで、
このストーリーは公式スケジュール上の、
どこととどこの間で起こっているんだろう?
というのを把握したかったのだ。

なぜなら、
ある時点で、「前の大会での何か」を前提としていたり、
「次の大会の何か」を前提として行動している可能性があるからだ。

スキージャンプの大会、
丁寧に調べると、
結構たくさんある。
eスポーツの大会よりもあるのかね。
まあゲームによるか。



これはスキージャンプの例であるが、
たとえば高校野球ならば、
春夏の甲子園前提で話が組み立てられるのは、
火を見るより明らかだろう。

春の大会から夏の大会の間に、
ストーリーが進行する何かがあるだろうね。
大会中に勝ち進むだけではなくて、
主人公の周りの人生のストーリーも、
野球以上に進行するはずだ。

たとえばクラス替えや、
中間テストや期末テストは必ずあるから、
それらを縫って、
色んなエピソードがあるはず。

あるいは野球のない冬の時期は、
高校生にありがちなドラマとして、
受験勉強の話がやってくるよね。


こうした整理をするためには、
こうして大会公式スケジュールをつくっておくと、
俯瞰しやすいぞ、
という話をしている。

僕はまったく知らないが、
たとえば将棋でも年間スケジュールが決まってて、
なんとか杯がこの時期にある、
というのも決まっているだろう。

とても長くかかるストーリー上の期間が、
なんとか杯の前後にかかり、
それを見逃さないといけない、
という風になるかどうか、なんて、
リアリティを詰めていく必要はあるだろうね。


さらに分かりやすい例でいえば、
11月に出会った男女が、
クリスマスを逃すわけはない。
にも拘わらず、出会ってから3か月何かをしている、
ということはあり得ないわけ。

2か月目でクリスマスが来るんだから、
それ前提で話が動いているだろう、
ということさ。

どうしても3か月欲しかったら、
10月に出会わなければならない。
そのように、
カレンダーの都合で、
ストーリーを動かす必要が出てくることは、
覚えておくとよい。



で、スキージャンプの場合、
思ったよりスケジュールがごちゃごちゃしていて、
そのせいで、
縫うのが難しくなってしまった。

この話を思いついた時、
長野白馬でもW杯やってたんだけど、
白馬は老朽化のためFISの認定をはずされ、
今や単なる国内大会なんだってさ。
二度のW杯で運命が交わり…
ではなくなったので、
そこらへんを考え直す必要になってきた。
(結局うまいこと縫わせたが)


複雑な例は、
たとえば列車のダイヤの隙をついた、
西村京太郎の殺人事件系がそうかもしれない。
まるでパズルのように、
時間を縫っていく必要があるだろうね。

まあ、人間ドラマほど時間をかけるものではないから、
殺人や隠蔽という行為との、
タイムスケジュールを考えて、
一見不可能犯罪に見えればいい、
ということになるだろうが。




ある公式イベントから逆算して、
ストーリーは動いている。
たとえばヲタクの一年は夏冬コミ軸でスケジュールがあろう。

○○から○○まで二週間しかないときと、
○○から○○まで4ヶ月あるときでは、
その中身が全然変わってくる。

その感覚を得るために、
こうした全体スケジュール表を一覧できるようにしておくことは、
とても重要だ。

参考にされたい。
posted by おおおかとしひこ at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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