転換点はターニングポイントとも言われ、
ストーリーの流れが変わるポイントと定義される。
ある行動を起こした時、結果が出た時、
決意したとき、何かが起こった時、
何かが判明した時、
などなどのパターンがある。
リライト時、これを列挙して整理する方法。
まず大前提として、
三幕構成理論における、
「第一ターニングポイント」、
「第二ターニングポイント」と、
ごっちゃになりがちだ。
あくまでこれらは、
ストーリー内にたくさんあるターニングポイントの中で、
ビッグターニングポイントだと思うと話がはやい。
今書いている話では、
27のターニングポイントがあった。
このうち、
ストーリーが大きく転換するビッグターニングポイントは3つ。
それが、
30分の第一ターニングポイント、
60分のミッドポイント、
90分近くの第二ターニングポイント、
であった。
「第一」「第二」という名称が誤解を生みやすい。
30分までターニングポイントがない、
などのような誤解が生まれる。
第一幕終わり時のターニングポイント、
第二幕終わり時のターニングポイント、
と捉えるといいだろう。
今書いている話では、
8個の小さなターニングポイントがあり、
9個目に来た大きなターニングポイントが、
第一ターニングポイントになっている、
という構成だ。
具体的に番号で示すと、
1
2
3
4
5
6
7
8
9 30分(第一ターニングポイント)
10
11
12
13
14 60分(ミッドポイント)
15
16
17
18
19
20
21
22
23 90分(第二ターニングポイント)
24
25
26
27
のような構成をしている。
大きく4つのブロックのラストが大きな転換点になっていて、
それらの名称を、第一ターニングポイント、
ミッドポイント、第二ターニングポイントと、
そう呼ぶに過ぎないわけだ。
(これらの名称はとても大きな俯瞰で見たときの大ポイントということ)
さて。
ようやく本題。
各ターニングポイントには役割がある。
4つに分類するとわかりやすい。
まず、ストーリーの起伏グラフを書く。
目的達成を100として、
真逆の達成できてないのを0として、
50を通常状態として、
状態をプロットする。
上昇していく部分は快進撃の部分だろう。
どんどん成功していき、目的に近づく、
盛り上がるところである。
下降していく部分はつらいパートだ。
失敗したり悪い局面になったりして、
目的から遠ざかってゆく。
とくに進展しないところは水平だろう。
上昇して平坦になっているところは踊り場、
下降して平坦になっているところは下げ止まり、
乱高下するところはストーリーが動きまくるところ、
などのように見ることもできる。
これを盛り上がり検出グラフとして使う人もいるが、
そんなの自分で分っているので、
僕はあんまり使ってこなかった。
しかしこのグラフは、
ターニングポイントの整理に使えるぞ、
と思ったのでこの記事にまとめるわけだ。
あるターニングポイントで、
上昇→ターニングポイント→下降
下降→ターニングポイント→上昇
となっているところを探す。
前者は失敗や敗北だろう。
あるいは頂点を極めてゆるやかに下がっているポイントもある。
後者は大逆転の部分だろう。
小さな希望が見つかり、徐々に上がっていくポイントもある。
これはリバーサルポイントである。
潮目が変わるところだ。
劇的なシーンであり、
力強く、感情が震えるところだろう。
小さなシーンから大きなシーンまであるが、
少なくとも感情の動きはとても大きくなるはずだ。
俯瞰したときに、
20〜30のターニングポイントのうち、
どれがそのリバーサルポイントになっているか、
把握してみよう。
それらが何分おきにやってきているだろうか?
それらがストーリーのペースメーカーだと思うと、
全体が整理できると思われる。
ターニングポイントにはもう2つある。
加速ポイントと減速ポイントだ。
加速は上昇トレンドをさらに上昇させるものである。
不幸の下げ止まりも一種の加速としよう。
減速は下降トレンドをさらに下降させたり、
上昇の勢いが落ちて不安になるポイントだろう。
小さな希望がより膨らんでいく、
これからいいことが起こりそう、
というポイントが加速ポイントだろう。
勢いがついてきたものを、
さらに二倍、ドンと加速するポイントもあるだろう。
逆に、絶望の中さらに下に叩き落すようなものもあるだろうし、
希望の上昇に冷や水を浴びせるものもあるだろう。
これら4種のターニングポイントたちで、
ストーリーを、
起伏の結節点として描写できる、
ということである。
グラフにターニングポイントをプロットしよう。
名前をつけてもよい。
出来事を軽く書いてもよい。
たとえば今書いている話では、
1事故
2ウンコ
3浮気
4スキー板
5クラッカー
6浮気2
などのように僕は書いた。
で、これらを色分けするのだ。
リバーサルなのか、
加速減速ポイントなのか。
4色でも2色でもいい。
上昇か下降かはグラフを見たらわかるので、
2色でいいと思う。
(理系なら、これが何をしているか分かるだろう。
関数を微分して変曲点を探しているわけだ。
変曲点の前後で符号が変わるものをリバーサル、
変曲点の前後で符号は変わらないが、
曲率が変わるものを加速減速ポイントとして、
抽出しているということだ。
数学は役に立たないなんて言っているやつは、
このような応用ができないタイプだね)
さて、
これらの変曲点=転換点、ターニングポイントたちを、
抽出したら、
どこからどこまで何分かかっているか、
などをチェックする。
平坦なところはストーリーが動いていないところで、何分あるか、
上昇トレンドは盛り上がっているところで何分あるか、
下降トレンドは落ち込んでいるところで何分あるか、
乱高下しているところは感情がゆれまくるが、
それは何分あるか、
などのようにだ。
長さを実際にプロットすれば、
具体的な数字はいらないかもしれない。
これが、
あなたの書いたストーリーの骨格である。
さて。
これを眺めながら、
妄想に浸るのだ。
リバーサルはもっと強力にしたほうがいいか?
絶望から大勝利にしたほうがいいか?
悠々自適から急転直下したほうがいいか?
それとも緩やかにしたほうがいいか?
ここをカットして次を早めたほうがいいか?
ここを引き延ばして、次まで貯めたほうがいいか?
良いことのあとに悪いことが起きたほうがいいか?
逆に、悪いことのあとに良いニュースになるといいか?
それらをくっつけて背と腹みたいになると、
コインの裏表がひっくり返るようなものになるか?
落とす前に上げる、上げる前に落とすわけだ。
平坦な所はもう少し起伏を入れるか?
あえて平坦はキープして、
その他を盛り上げたりするか?
あるいはその後の盛り上げのために、
もっと平坦を伸ばすか?
上昇トレンドはもっと急激にするか?
それとももっと緩やかにして、
その後の盛り上がりへ準備させるか?
下降トレンドはもっと急激に?
それとも不幸を味わうように緩やかに?
その度合いの高低は?
などなどなど。
音楽の作曲家のように、
ペース、高低、強さ弱さ、
カウンター、長さ、
などを、
想像しながら、
「これをどう変えたらよりよくなるか?」
を考えるわけ。
その結節点になっているのは、
ターニングポイントなので、
それらを前後左右に動かすだけで、
ストーリーの曲線は変わってくるよね、
あるいはそのターン具合、
成功や失敗の具合をひどくしたり、
マシにすることで、
起伏具合、ストーリーの調子も、
変わってくるよね、
という話をしている。
いずれストーリーを書くAIができたとして、
この結節点を動かすだけで、
それに応じた具体的なエピソードを思いついてくれて、
各キャラクターの心情もうまくつながって、
矛盾したものがなく、
しかも観客が夢中になる流れを、
つくってくれるものが出来るかもしれない。
しかし、
そんなの自動的に出来るわけがない。
それを具体的にやれるのは、
泥の中で悩む人間だけだと思うなあ。
ということで、
まず理想の曲線を妄想しよう。
それになるように、
書き直そう。
あるいは名作のそれをこの形式で分析しよう。
好きなストーリーのリズムを真似しよう。
リライトの大まかな作戦を練るのに、
役立たせてほしい。
参考までに、
僕の途中メモを載せておく。
汚いのは勘弁してくれ。
青で書いたのがシーン。左に分数がある。
右に書いた丸や四角で囲んでいるのは、
主な出来事。濃く書いているものほど重要。
鉛筆で上昇下降曲線を書き込んだ。
右が勝利、左が敗北。
赤がターニングポイントや流れ。
とくに二重丸がリバーサルポイント。
鉛筆でメモしているのは、
リライトの方針。
一幕真ん中あたり、小さ目のリバーサルポイントを、
強化するためのアイデアや、
二幕後半の平坦な部分をカットすることを、
メモしてあるのがわかる。
もちろん、
新しいターニングポイントを足したり、
ターニングポイントを削ったりしてもよい。
曲線を変更してもよい。
それを設計しなおすときにも、
この現状は参考になるよ、
ということだ。
「今こうなっている」というのを図で把握できれば、
その図を見ながら考えることができる。
文章を読み込む必要がなくなる。
そのために編み出した方法だ。
ストーリーとは極論、
「幸せになるまでの格闘」だと言える。
幸せまでの距離を縮めたり、
遠ざかったりするわけだ。
そのペースが変わるところが、ターニングポイントというわけだ。
2024年07月25日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック