もう少し正確にいうと、
「押し下げた状態で大文字や記号の上側の、
シフトレイヤー状態がオンになり、
この時に他のキーを押すと別の文字が出て、
押し上げた状態にすると元に戻る」
だと思ってた。
それは便利だな、と思って、
カタナ式でも薙刀式でも、
スペースキーをシフトキーと兼用している。
富士通の親指シフトがそうではなくて、
上のものはSandS(Space and Shift)と呼ぶことを知ったのは、
調べてからだね。
富士通の親指シフトは、
親指にスペースを分割したような2キー
(とくに親指左キー、親指右キーと呼ぶ)を配置して、
「親指キーと同時打鍵した時のみ、
左レイヤー文字、右レイヤー文字になる」
という、
3面のレイヤーを持つ方式である。
(もう少し細かく書くと、
シフトなしの単打面にはメジャーカナ、
同手シフト(右親指と右手の同時、左親指と左手の同時)
にマイナーカナ、小書き、
逆手シフト(右親指と左手の同時、左親指と右手の同時)に、
濁音、半濁音を置いたもの。
この方式によって全てのカナが、
3段31キーに収まっている)
でもこれは「親指シフト」という語感とは異なるため、
キャッチーな反面、誤解を生みやすい。
正確には、「親指同時二打鍵方式」
とでも名付けるべきだったろう。
「同時シフト」と、「シフト」の概念を拡張して、
「親指2シフト」が、
ぎりぎり正確な名前だ。
やはり「親指シフト」では、
名が体を表しきれていないと、いまさらに感じる。
親指シフターは、だから布教に苦労したろう。
「親指で(普通の小指外にある)シフトキーを押すの?
指つるよね?」とか、
「親指でシフトキーを押さえたまま打ってもシフト文字出ないんですけど?」
とか、
名称から来る誤解を解くのに大変だったろう。
そして今や「親指シフト」は、
自作キーボードにおける、
親指クラスタにシフトキーを置くと楽だぜ、
の方に使われつつある。
同様の概念に、
「親指BS」「親指エンター」「親指Ctrl」「親指Esc」
などがある。
「他の4指と比べて、親指は別の構造を持つため、
4指は文字を打ち、親指は別の機能を持つべき」
と考えた親指シフトの根っこの哲学は、
いまや「親指クラスタ」方向へ拡張された、
といっても過言ではない。
で、
自作キーボードだと、
親指クラスタで同時打鍵ってほぼ見ないのよね。
シフトキーのように、押した時だけその機能になり、
離したら戻り、
単押しで別機能を持つ、
みたいな、
SandSの拡張として使われていることが(ようやく)増えてきた。
いずれ同時打鍵に辿り着くのだろうか。
qmkのコード的に、
同時打鍵の定義(combo)は、
記述がめんどくさいから、
あまり普及しなさそうなんだけどね。
話を元に戻すと、
カタナ式と薙刀式で採用したSandSは、
かつては新JISに採用された、
センターシフト方式でもある。
僕的には相当便利だと思うんだけど、
センターシフトを採用した配列って、
新JIS、カタナ式、薙刀式しかないんじゃないかな。
意外とマイナーなのよね。
濁音、半濁音、小書きなど、
カナ数が多すぎて2面じゃ足りないからかしら。
薙刀式の場合は、
それぞれに文字領域同時打鍵を導入して、
すべての種類で同時打鍵方式が異なる、
ミックスシフト方式とした
(そのかわり全て同置に成功)ので、
2面で足りたという事情もあろう。
たとえばセンターシフト方式で、
月配列を再び新JIS系列に戻す、
とかやった人いないのかな。
新JISは優秀だけどいくつか打ちにくいカナがあるし、
外来語に弱い欠点を持つので、
完璧な配列ではない。
あるいは、
センターシフト方式で、
新JISよりも合理的な配列を作ろう、
というのはまだ掘られていない領域でもある。
薙刀式の場合、
センターシフト方式があまりにも便利なため、
そこから動いてないが、
使い続けるには親指キーの工夫が必要だと感じて、
今僕は自作キーボード&3Dプリントで、
工夫を続けている。
つまり論理配列的には、
物理の工夫が必要という点で、
センターシフトがベストでない可能性もある。
ただ、じゃあベストの物理と論理は何よ、
というわけで僕は自作の沼にいるわけさ。
親指シフトが苦手だから新下駄や月、
という人も一定数いるし、
親指シフトから離れられないから、
飛鳥やシン蜂蜜小梅の人もいる。
親指の扱いは、
キーボード界隈でもまだきちんと研究されてない、
というのが実情ではないか。
で、源流の、
NFER、XFERの使い方について調べたんだけど、
そこまで整理された動線だとは思えなかったので、
日本語の親指キーは、
迷路に入ったまま整理されてないんだな、
と感じている。
IME操作を親指3〜4キー程度で完結できてれば、
うまくいったはずなのに、
カーソルやらシフトやらエンターを使わないといけない
段階で、親指キーの役割が明確でなかったのだ。
タイムスリップできるなら、
ここかな。
ここでうまくJISの親指キー&IME操作を標準化できてたら、
日本語入力はうまくいったのかもしれない。
はたして、
通常シフトの、
センターシフト方式の、
「先押し後離しで負荷が高いが、連続シフト可能」がよいのか、
同時打鍵の、
「同時で楽だが精度が必要で、連続シフト不可能」がよいのか、
飛鳥のみが採用している、
同時連続シフトがよいのか、
まだ分かってないことが多い。
SandS、新JIS、カタナ式、薙刀式
親指シフト、シン蜂蜜小梅、TRON
飛鳥
と3つのグループに分かれるが、
親指を使うのはよいものの、
どの方式が優れた親指の使い方なのかは、
決着がついてないよね。
で、
親指は使わず文字領域だけで打つ、
新下駄や月系列もあるので、
何がいいかは分かっていないのが現状だ。
(とはいえ空いた親指を何に使うかは各自でバラバラだ)
これに加えて自作キーボードでは、
親指クラスタを自由に設計できて、
これごと論理配列に組み込んだ、
和音漢直なるシステムすら出てきた。
ただ、ここはダブル沼になるので、
ほとんど人がいない領域だねえ。
IME操作+カナを統合的環境にした薙刀式のような、
IME操作+カナの配列も、
他に出てきてないのよね。
まあ、カナ並べだけで大変だし、
漢直に行くかIME操作を練るかでも、
また分岐があるしで、
何が正解か誰もわかっていない。
「親指を組み合わせとして使う」
というアイデアは根本的だけど、
それをどう使うのかについて、
結論が出ていないよな、という雑談でした。
今のところ、
僕は左右分割のSandSと、
レイヤーキー2と、ctrl、winの、
計6キーで親指を運用していて、
これがベストなのでは、と思っている。
2024年06月19日
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