2024年08月06日

ゴールを変えずに、前段階を変える

シーン単位、シークエンス単位で考える。

あるシーン、シークエンスをリライトするには、
二通りのやり方がある、
ゴールを変える方法と、
変えない方法だ。

シーンのゴールを変えることはなかなか難しい。
ゴールが変わると、その次も影響を受けて変わり、
それが次に影響して……
と、どんどん影響は波及しいく。
バタフライの羽のはためきが、台風の原因になることも全然ある。

だから、リライトする、という必要性が生じたとき、
ゴールを変えないで変えられるなら、
まずその方針を検討することをおすすめする。
(あとでゴールを変える場合についても議論しよう)


ゴールを変えずに、
その前段階を変えて、
そのリライトの目的を果たせるか?
を検討するとよい。

迷路の入り口を別のところから入って、
同じところから出る、というイメージだ。

入りとゴールを同じにして、
途中経過だけ変えるのは逆に難しいだろう。
だから、
ゴールだけキープして、
それにたどり着きやすい別の入り口を見つけるとよい。
逆算で思いつくこともあるし、
何個かランダムで考えたら、
偶然思いつくこともあるだろう。

ゴールさえ守れば、
何をしてもよい、という条件は、
むしろ一番考えやすい条件でもある。
いい思いつきをしやすいように、
条件を整えることも、
リライトでは大事だったりする。

今書いている話では、
5分にわたる長いシーンだったんだけど、
やりたいことをキープして、
他をほぼ書き直すことによって、
前段階から全部変えた。
印象はよりよくなり、完成度があがったように思う。

「これは何をしなければならないシーンか?」
と問うことで、
「これとこれはマスト」が分かるようになる。
そして、ゴールをマストにすることで、
次のシーン以降への影響を0にするわけ。
(このシーンの何かが伏線になるなら、
それもマストに入れておくべき。
もっとも、その伏線をあとで使わない、
ように書き換えることも可能だろうが)



さて、
もうひとつ残された可能性、
ゴールのほうを変えてしまうとどうなるだろう?
僕がおすすめしない理由は、
「ストーリーが変わってしまうから」である。

もちろん、ストーリーを変えるべきリライトである、
という風に割り切ってやるならば、
やるべきだけど、
ストーリーを変えずにリライトするならば、
ゴールを変えると、あとあと辻褄が合わなくなるよ、
ということだ。

逆に、ゴールを変えて、ストーリーを変えるほどのリライトというのは、
辻褄合わせからやり直すことに他ならない。
なので、骨格からコントロールしなおすことが重要だ。
意味合いとかも変わって来るからね。
シーンの役割すら変わって来るかもしれない。
バタフライの羽ばたきが、
全体を変えることを余儀なくさせるだろう。

もちろん、
まったくよくないものを、
そのように大手術する必要はあるかもしれない。

しかし、よくないという診断に対して、
ゴールを変える大手術が必要なのか、
ゴールを変えずに前段階を変えるだけで、
全然うまく行くのかを、
手術前に診断できる必要があるだろうね。
その方法論も含めて、
リライトの見立て、ということだ。


もしこれまで、
「ゴールをキープして前段階を変えるリライト」と、
「ゴールごと変えるリライト」の、
二つのうちどちらかか?
を意識してこなかったら、
次はそれを意識して、考えることだ。
posted by おおおかとしひこ at 07:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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