2024年08月19日

劇団を運営する

前記事の続き。
まるでその人に出会ったかのような感覚を得るまで、
キャラクターは煮詰めていくとよい。

そして、それらのキャラクターが被っていないようにつくると良い。
それは「とある劇団を運営している」という感覚に近いと思う。


ある劇団がある。
どういう劇団がいいか。
キャラクターがあまり被っていないものがよい。

伝統的な歌舞伎だと、
一枚目 座長にふさわしい実力者
二枚目 線が細い斜めに見ている色男
三枚目 おちゃらけ者、ピエロ
のキャラ分けがある。

有名どころでは、ドラえもん布陣もあるだろうし、
戦隊ものの五人布陣もあるだろう。
車田正美がリンかけで発明した五人組の主人公パターンは、
たとえばスラムダンクにも受け継がれている。

どのキャラも被っていない。
しかしどのキャラにも共通点がある。
その塩梅は、先人の作品を観察するとよい。
人気の劇団パターンもあるし、
人気が出なかったパターンもある。
その違いはなんだろうか。
「バランスが取れているか」があるように思う。

キャラが被っていないだけではなく、
それぞれの突出している方向が全然異なる、
ということが大事だと思う。
それらの突出する方向が、似たような方向だとキャラが被っているように見える。
そうではなく、
全然違う方向に突出するとキャラが立ちやすいだろう。
クール/熱血とか、長距離/単距離とか、
性格や得意なことで分けるのはひとつのコツだろう。

そんな風にして、
「個性豊かな集団」としての劇団を運営することをかんがえると、
「あとどういうキャラが欲しいか」
「このキャラはいらないか」などが、
判断しやすいと思う。

劇団プロデューサーとしてのあなたが、
キャラクターメーカーのあなたに依頼すればいいんだな。
あるいは、
キャラクターオーディションを開くあなたに、
こういうキャラを見つけて欲しいんだけど、
と依頼することになるかも知れない。


こうしたときに、
星占いは役に立つ。
12の性格に分れていて、
関係性の基本が定義されているからだ。

応用しやすいのよね。
地の星座ばかりがいるから、火や水も足しとくか、
みたいに判断しやすくなる。
バランスがとりやすくなるわけ。

もちろん、バランスを極端にするという狙いのときには、
わざとバランスを崩すためにも使えるね。

まんべんなく人格が網羅されているものならば、
占いだけでなく心理学の分析法なども使えると思う。
ただ星占いは身近なので、
資料がゲットしやすいという利点もある。


今回書いた話で僕がやってみたのは、動物にたとえることだった。
黒猫、小型犬、引退した闘犬、大型犬、大型の猫、
みたいなイメージで劇団を組んだ。
これなら性質が被らないだろうなあ、という感じで。


というわけで、
その人に出会ってしまった、と思えるまで、
キャラクターを煮詰めたあとは、
それらの複数間のバランスをとっていくことになる。

主人公サイドに反対の人格のものがいて、
喧嘩してもいいし、
敵対サイドに反対の人格のものがいて対立してもいいし、
主人公サイドに似た性格の人がいて仲良くなってもいいし、同族嫌悪に陥ってもいいし、
敵サイドに同じ性格の人間がいて、運命を感じてもよい。

色んな使い方を、劇団の運営のように俯瞰して考えることは、
とても大事である。

一つの作品に対して、
一つの劇団が出来上がるわけだ。

藤子不二雄はドラえもん劇団を、
他の作品でもアレンジしながら使っている。
そういうこともあるだろう。
「持ちキャラ」というやつだよね。
僕の作品でもよく出てくるヒロインがいるらしい。
好みが反映しているのだろう。


と、いうわけで、
ストーリーを書くことは、
ストーリーのうねりやターニングポイントをつくることや、
起伏をつくることであるが、
劇団を運営していくことでもある。
両方ができていないと、面白くならないと思うよ。
posted by おおおかとしひこ at 07:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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