2024年07月10日

あれ? 長編映画の脚本コンクールってなくない?

今年も城戸賞のシナリオ応募しようと思って、
コツコツ書いてるんだけどさ、
そもそも映画脚本のコンクールってどれくらいあるんだろうって調べたら、
ほとんどなくない?

シナリオセンターから原稿用紙換算で、
劇場前提の長編シナリオ部門を抜粋すると。

城戸賞 100〜120枚
S1グランプリ 100〜115枚部門 ※年二回
木下グループ新人監督賞 80〜120枚
函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞 75〜100枚
さぬき映画祭シナリオコンクール シナリオ(尺制限はないが、製作資金補助は100万円)

たったこれだけしかコンクールがないのは、
悲しくなってくるな。

ドラマに広げればもっとあるが、
映画がこれだけってちょっとねえ。
実質城戸賞一本勝負なのかね。

城戸賞やキノフィルムズは、賞は出すが、
製作は勝手にどうぞでしかないし、
さぬきは100万円で劇場映画がつくれるはずがない。
(最低2億は欲しい)

今どこも資金難で苦労しているのはわかるが、
夢がなさすぎて、
新人が集まらないのがキツイな。

読み手が大量にいないのかもしれない。

つまらないシナリオを読むのは、
つまらない映画を見るよりもきつい。
(そもそも面白いシナリオを読むのも、
体力的にキツイのよね)

仮に仕事だとしても10本読むのは相当体力と知力を削られる。
500本を何人で読むか、
考えただけでいやになる。
そして、読み手の質を揃えるのはかなり大変だろう。
ダブルやトリプルチェックして、
ダイヤの原石を取りこぼさないようにしているコンテストは、
どれくらいあるんだろうか。

また、他のコンクールに落ちたものの再利用を禁止しているものがほとんどだが、
映画シナリオを書くのは、かなりの体力と知力を削られるので、
落とされたときのダメージがデカい。
再利用したくなるのも当然だと言える。

リライトの腕も大事なので、
まったく同じものを投稿するのは禁止として、
半分以上リライトしていればOKとか、
初応募より5年たったものは禁止とか、
ゆるめのルールを設定するべきだと思う。

またリライトしてそこそこよくなっているものに対しては、
青田刈りをして、
担当をつけるなどしたほうが、
のちのち有効だと思うのだが、
そういう体制はあるのだろうか。
読み手がきっちり連携できないと無理で、
その体制づくりがしんどいんじゃないか。



毎年お盆の時期になったら、
大量のお中元が届いて、
一本ものになればヨシという世界なのだろうか。
育てるつもりはないのだろうか。

僕は実力で通ろうとしているが、
若者が挫折しやすそうなコンクール世界だなあ、
とちょっと絶望的になった。

読み手のバイトも募集していないのかね。
やってもいいけど。

ダイヤの原石が来ても、
磨き方を知らないならば、
扱うことすら難しいのではないか。

一番上澄みの所だけ頂きます、
というのは、もっとうなるように人がいて、
勝手に育つくらい業界が元気だった頃のものだろう。

職人すら新人の育て方を考える時代だ。
それだけ若者は減っている。
次の世代の担い手が来ないような、
魅力のない入口は先細りだと思うんだよな。


ラノベの章とかと比べて、
全然盛り上がっていないのがきつい。
日本映画がオワコン化していくのもわかるよ。
入口がどこかわからないんですもの。
才能があっても入り方わかんねえよ。

僕は大阪に生まれ育ったが、
映画業界の入り方が分らなかったから、
岩井俊二がCMから映画に進出したころなので、
CM業界に飛び込んで今に至る。

東京に出れば映画の入り口があるだろう、
と思ったら、
全然入り方が分らないまま今まで来た。
オファーがない限り受注もない世界だと。

自分からアクションを起こしてなんとかしたくても、
誰に聞けばいいのかも不明。
少なくとも周りにいないから、相談もできない。

飛び込み営業をかけようと思ったこともあるが、
昭和と違ってオフィスにアポなしで入ることは難しい。
飲み屋でぐだるよりもコンクールに応募しようと思ったが、
城戸賞以外めぼしいものが少なくて、
愕然としている状態だ……。


僕は短編ドラマや1時間ドラマにはあんまり興味がない。
2時間で語られる熱量の大きなものに興味があって、
だから映画が好きなのだ。
その思いを語る場所が、
月一回くらいないのはかなり変だと思う。

日本映画は新人を募集していないのか?
一般企業の就職でも、もっと新人取らないか?
テスト受けさせてくれないのはキツイな。

そういえば、
1000万円の賞金で話題づくりをしたフジテレビヤングシナリオ大賞が、
500万にさがったらしい。
ああ、もうだめだ、と思ったなあ。
そもそもフジテレビがオワコンだから、
誰も応募しないとは思うけどさ。
でも面白いのを書けば夢はまだあるのかな。



とりあえず調べただけなので、
2時間ドラマとかは無視しました。
長編でほかに賞があるよ、というのをしってる方はおしえてください。


まあ現実を嘆いても何も生まれない。
暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう。
今年の応募作は目が飛び出るほどおもしろいぜ。

身の回りの半径5mぐらいの、
予算とマーケティングに気を使った脚本は、
リアル世界でやってればいいよ。
夢のある、こんな映画見てえよなあ、
という作品を出す。
純粋にストーリーの面白さで勝負したい。
posted by おおおかとしひこ at 08:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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