2024年08月27日

困ったら車に乗せろ

これは一つのTIPSとしてメモしておく。


次の展開が思い浮かばない。
そういう時の非常手段として使ってみてほしい。

そしてそこで書けたことは、
何も車に乗らなくても、
別の場所で実現できたことだ、
と思ったら書き換えれば良いだけのこと。

どうにもこうにもならない、
詰まった時のTIPSだ。


まず登場人物を最低二人、車に乗せる。

乗るところから始めてもよいが、
すでに走ってる途中から始めたほうが、
強制的に始められる。

乗る人数は三人以上でもよいが、
まずは二人の方法論をマスターしよう。



さて。
車は動いている。

どこへ?

つまり、車に乗っている以上、
「目的地がある」のである。


何かを運んでいるでもいい。
誰かに会いに行くでもいい。
ラーメンを食べに行くでもいい。
逃げているでもいい。
風光明媚な所へ行くでもいい。

晴れてても雨でも、夜でも嵐でもいい。

環境は、目的に対して逆境をつくる。

ラーメンを食べに行く目的と嵐だと、
「よっぽどうまいか、腹減ってるか」
の切羽詰まった目的になってくる。


その目的が仮になくてもよい。
事務所への移動中、みたいな、
日常の一場面だとしても構わない。

これは、
密室を作ることに意味がある。

車は、強制的に密室をつくりだせるのだ。


密室に二人、
というのはどちらかがそう意図しない限り難しい。

自室に呼ぶ、
会議室に呼び出す、
デートする、
などの「特殊な文脈」を必要とする。

ところが乗り物ならば、
強制的に密室を自然に作り出せるのだ。


もちろん車でなくてもよく、
「社員旅行で遊園地に寄ってみたのだが、
観覧車に乗る順番が狂って、
上司と二人きりで乗るハメになる」
でも構わない。

「出張先のホテルで、何故か手違いで相部屋の羽目に」
はAVで人気のシチュエーションだね。

車は、
強制的に密室で二人をつくれる、
ことがデカいのだ。



さて、
この時気まずい会話なのだろうか。
仲の良い会話なのだろうか。
普段思ってたが言わなかったことを言うのだろうか。

何かを会話しているうちに、
思ってもみなかった方向へ進むことが多い、
というのが経験則だ。

上司と二人で観覧車に乗るハメになったとしても、
上司が急に新入社員の頃の夢みたいな話をするかも知れないよね。

そういう、「その人の別の面に出会うこと」は、
密室で発生する。

もちろん、デートや、
たまたま会社の居残りの二人、
みたいなシチュエーションもつくれるだろう。

でもそれより、
「車に乗ってどこかへ向かっている」だと、
ふつうに、自然に作れるんだよね。


そして、もし面白いことを言えたら、
その会話を、車じゃなくて、
飲み屋とか、タバコを吸いにきた屋上とか、
観覧車の中とかに、変えてしまえばいいわけ。

そしたら、
そのシーンがその映画の中の白眉のシーンになる可能性も秘めているよ。


それでもなかなか会話が進まないならば、
「目的地まで5分です」とナビに言わせてやれ。
慌てて何かを言うに違いない。
締め切りが来れば人は動くものだ。

告白しようと思ってる男女なら、
急に告白が始まるかも知れないよ。


ロードムービーは、
こうした強制力を使って、
物語を前に進めることが多い。

しかも車だから目的地が持てるし、
絵は常に動いてるし。
車は、映画のためにあるような小道具なわけだ。


僕は免許がないので、
普段車に関するアレコレに関わることはないが、
今書いてる話で、
詰まった時に二人を車に乗せたら、
面白い会話をしたので、
それを採用することにした。

そのことで親密度が少し上がり、
そのあとのシーンに影響することになった。

ちょっと駅まで送ってくよ、
なんてシチュエーションでも、
何かしら小さな事件を起こすことができる。



困ったら車に乗せてみよ。

このコツを知ってしまったら、
車の中のシーンが来たら、
「シナリオライター困ったな」と、
ほくそ笑むことができるね。

どうしてもその次が車のシーンである必然性は大抵ないから、
唐突な繋ぎになることが多い。
それでも話がつながってれば不自然ではない。
どうしても車であるか、はないことが多いね。


だから、まあバレないよ。
車に乗せてみ?
その二人は何か話すだろう。


さて、三人以上で機能するかな?
二人きりの方が話しやすいだろうね。
後部座席のうるさい奴らが寝てしまい、
実質二人になったシーンでも、
同様なことが可能だろうね。
それを寝てた奴がこっそり聞いてて…
なんてことも、のちのち可能だ。


東京の人は電車を舞台にすることが多いが、
田舎の人は電車よりも車関係のほうが書きやすいかも知れない。
田舎の人有利だな。
まあ、都会にはタクシーがある。
飲み会後タクシーで送っている途中に…
というのは良くあるそそるシチュエーションだよね。
posted by おおおかとしひこ at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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