メインプロットとサブプロットたち、
メインテーマとサブテーマたち、
キャラクターたち、ディテールたち。
これらは、
部分の魂でありながら、
ひとつの魂であるべきだ。
すべてのディテールは、
一なる全体から、
演繹によって導かれたものであるべきだ。
全体がこうなのだから、
その一部はこうであるべきだと。
あるいは、
全体からとある部分Aが導かれたが、
同様に部分Bも導かれるはずであると。
そして、AとBがあるならば、
それらを補完するようにCがあるべきだと。
全体がABCの三つに分解されて、
それらの関係性の中で語ることが可能か、
いや、DEF…も必要であるかは、
全体と部分の演繹の仕方によるだろう。
主人公と対比的なアンタゴニスト
(敵、またはライバルなどの敵対者)が物語に必要なのは、
物語(テーマ)という全体を、
二方向に分けていったら対照的な陰陽になる、
というだけのことだ。
全体を三すくみに分解したほうがテーマがわかりやすければ、
3に演繹するであろう。
逆も然りである。
すべての部分がテーマに帰納的に結合できるか、
ということだ。
そこに仲間はずれXが入っていたら、
A+X+B+C=結論になるのに邪魔では?ということ。
A+B+C=結論になるべき時に、
余計な要素じゃない?ということ。
ラーメンはひとつの宇宙だ。
ラーメンという全体に必要なものは、
必然的に麺とスープと具である。
ここにご飯が入るわけにはいかない。
ラーメンライスならギリセーフだが、
麺があるのに中にライスを入れるわけにはいかないだろう。
ラーメンという宇宙が乱れるからである。
同様に、丼の中にサラダも入らないだろう。
ラーメンからサラダは演繹されないし、
サラダからラーメンを帰納することもできない。
にも関わらず。
あるストーリーの中に、
その宇宙を乱す、白飯やサラダが入っていることが多々ある。
そこに気づかないのは、
まだ全体が見えてないからかも知れない。
作者の地平から見ると、
あるテーマを書こうと思い、
メインプロットを書き始めるのだが、
なんだか上手くいかず、
サブプロットの力を借りようとして、
元の材料とはかけ離れたものを混ぜようとしてしまう。
そのほうが新鮮に見えるからだろうね。
でも水と油が混ざらず、
うまくいかないなあ、と思って、
また混ざらない別のものと混ぜて、
やっぱりうまくいかないや、
となってることが、とても良くあるのだ。
全体と部分の関係を俯瞰できてないからだろう。
部分というパーツを混ぜた時に、
ラーメンにフレンチが混ざってることに気づけないのだろう。
ラーメンにムニエルを混ぜて、
うまくいかないと嘆いているのだ。
ラーメンを捨てるか、ムニエルを捨てるかなのに。
もしムニエルラーメンをつくるならば、
ダシから魚出汁にしたり、
スッキリした冷やしラーメンにしたり、
生姜やミョウガなどの、
魚に合う薬味が必要だろう。
具はマリネになるだろうか?
豚骨醤油、モヤシキャベツにノリの中に、
ムニエルを入れたら、
お互いが喧嘩するだけなのだ。
ムニエルラーメンをつくるならば、
まず全体を作り直さなければならない。
にも関わらず、
「なんか足りないなあ。
よし、カレーを入れてみよう」と、
さらに間違ったものを足すのが、
脚本初心者のやりがちなことだ。
全体を作るために部分を用意してないし、
部分を組み上げたときに、
一つもパーツは余らないし、
必要十分に全部が機能することを、
設計するべきなのだ。
どうすればそれが出来るようになるか?
失敗を繰り返すことである。
バラバラなものを用意してしまったり、
何回煮込んでも混ざらなかったり、
あるものを取り除いたらうまくいったりして、
「最初に必要十分の材料を用意して、
全体から逆算して、
演繹と帰納の関係になる」
経験を積むことである。
ああ、用意した材料は案外使わなかったなとか、
途中で足りなくなって誤魔化したところがバレてるとか、
そういう反省をしながら、
段々上手くなるしかないと思う。
他人の作ったものを見て、
自分ならこの全体に何を用意するかを演繹してみるとよい。
そして部分たちから全体が帰納されるかを見ると良い。
分解と再組立は、
ものづくりをマスターする基本ですらある。
名作をそのように理解したら、
次はオリジナルでやってみて、
上手くいってもいかなくても、
また名作に立ち返り、
バランス感覚を磨くのだ。
つまり、上手な人とは、
この失敗を繰り返して、
上手く出来るまで鍛えた人、
でしかない。
もちろん、才能があれば、
その階段をひとつ跳びに飛べるかも知れないが、
出来ないならコツコツやるしかない。
何本やればいいかな?
それもわからない。
最低三本?
100本やっても出来ない人は出来ないかもね。
出来るまでやるしかないよ。
2024年08月28日
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