魅力的なキャラクターは、
フィクションの物語にしかいないものだ。
現実の、一時の人気の魅力的な人間に対して、
魅力的な架空のキャラクターは永遠に生きる。
魅力的なキャラクターの特徴はなにか。
どうやったら作れるだろう?
まず、顔が良い。
身も蓋もないのだが、
顔が良いのはぶっちゃけ魅力的なキャラクターの前提条件だ。
ただしイケメンに限るを例に出すまでもなく、
不細工なキャラクターは魅力的だと思われない。
というか、評価以前の問題である。
ルッキズムや多様性などと哲学を振り翳したとしても、
顔が良いのは商売になる、
という厳然とした事実がある。
クラスの人気ナンバーワンは、
顔が良いナンバーワンのことである。
とはいえ、
全く同じ方向性での評価軸があるわけではなく、
多数の評価軸が顔の良さにはある。
好みというやつだ。
だから多少不細工でも味があれば、
顔が良いのジャンルに入ることがある。
さて。
あなたは脚本を書くので、
顔を創作する必要はない。
あなたが書いた脚本は、
とくに注釈をつけない限り、
全員顔が良い。
顔が良い芸能人を集めたものが、ショウである。
あなたはショウという興行の台本を書いているのであり、
非資本主義の何かを書いているのではない。
もちろん、
反ルッキズムの特別なショウもあり得るが、
何も注釈がないかぎり、
全員何かしら顔が良いことは、
暗黙の前提であることは、
まず確認しておくべきだ。
で、
架空のキャラクターたちは、
その上で、キャラクター性が問われるのだ。
イケメンたち、女アイドルたちが、
顔が良い前提で、
様々に個性を出してくるよね?
彼らは顔が良い集団の中で、
目立とうと必死だ。
ダンスが上手いとか、作詞作曲するとか、
絵が描けるとか、独特の天然だとか、
特技や特徴で、キャラ立ちしようとするわけだ。
そうやって「キャラをつくる」のである。
あなたのキャラクターは、
どうキャラを作っている?
もちろん、本性はそうじゃないのにキャラをつくる、
という架空のキャラクターはあまりいない。
(本性と仮面のストーリーでない限り)
その架空のキャラクターは、
自然とそのキャラクターになっている。
現実とフィクションの差は、
現実は、
キャラを本人のキャラクターと異なるようなものを、
作っている可能性が高いが、
フィクションのキャラクターは、
ナチュラルでそのキャラ、
ということだ。
(もちろんキャラをつくっている、
本性は別のキャラクターもありえる)
そして、現実にいてほしいのだが、
現実にはいないようなキャラでも、
フィクションにはいることが許される。
つまり、
フィクションのキャラクターとは、
「いてほしい願望のキャラクター」が、
ナチュラルでいることを許される。
現実にそんな人いるわけないじゃん、
を、設定可能なのだ。
なんでそんなキャラがその世界で成立するか?
はある程度考えたほうが良い。
たとえば少女漫画には王子様キャラが出てくるが、
大抵実家が金持ちに設定されている。
貧乏で必死で人を追い落とそうとする環境では、
王子様みたいに天然で余裕のある人格は出てこないから、
王子様キャラに説得力をつくるわけだ。
つまり、
キャラクターというのは、
現実に住んでいたら死んでしまう、
妖精のような概念である。
私たちは概念に恋をして、
概念に励まされて、
概念を応援する。
変なことだろうか?
宗教と同じか?
私たちが漫画に、映画に、小説に、演劇に、
神に夢中になるのは、
概念に夢中になることである。
数学者が数式に夢中になるのも同じだね。
すべて「神!」と呼ばれるのも同じだね。
つまり、夢中とは概念への崇拝なのだ。
概念が概念だとバレてしまわないようには、
リアリティが必要だ。
そしてそのリアリティとは、
地に足のついた「ほんとにいそう」ではなくて、
「その世界の中で実在っぽかったら、
実在する」なんだよね。
「そんなヒロイン、現実にいるわけねえだろ」
という批判ではなく、
「そんなヒロイン、その世界にいるわけねえだろ」
の批判を受けたら存在できなくなるわけ。
だから、
その概念が実在できそうな器=世界を、
作ってあげるんだね。
クリオネという妖精が生きるには、
南極の冷たい水の中という環境が必要だ。
そのように、
創作作者が整えるのだ。
「まあ、そういう人がいるという世界なら、
飲んでやるよ」というのが、
架空のキャラクターの存在基盤なのだ。
さて、あとは、
あなたの願望をたくさん吐き出そう。
こういう人がいたらいいな。
こんな特徴の人がいれば良いのに。
顔が良い人で、こんな人だったら最高なのに。
顔が良くて、こんなことを言うんだぜ。
味のある顔で、こんな人がいるといいなあ。
あなたが男子なら、架空の女子はいっぱい出てくるだろう。
あなたが女子なら、架空の男子がいっぱい出てくるだろう。
逆もやりなさい。
自分の願望があまりないなら、
異性側の願望を研究しなさい。
いたら良いなと思える同性は、
大抵は友達にしたらいいやつ、くらいに考える。
あなたが友達が豊富である必要はない。
こんな友達がいたら学生時代退屈しなかったのに、
という願望で構わない。
架空のキャラクターには、
願望が入る。
概念だからだ。
あとは概念だとバレないように、
リアリティの成分が入ってくる。
そのバランスが、
架空のキャラクターを決める。
そして、キャラ立ちが被ってないようにするだけで良い。
さて。
一人だけではなく、劇団として考えよう。
あなたのストーリーには、
何人のキャラクターが必要か?
劇場映画の場合、
メインは多くても5〜6人、というのが僕の経験則だ。
最低は2人だね。
一人だけ魅力的であとはカスなのは、
つまらない。
二人以上魅力的なのがいれば、輝く。
間に相互作用が働くからだ。
仲が良かろうが、悪かろうが、
そこに「関係性」という別のファクターが入ってくる。
そしてその関係性も、願望である。
Twitterを眺めれば、
架空のキャラクターの架空の関係性の、
願望の見本市を見ることができる。
たいていは百合かBLだが、
それは異性間や異種間にも適用できよう。
そしてこれらにも、それがその世界で存在する、
リアリティが必要である。
つまり、
魅力的な架空のキャラクターとは、
顔が良い前提での、
願望と、
その世界での実在性と、
架空キャラ同士の関係性の、
三つのファクターが必要条件である。
そんなキャラクターが詰まった、
劇団をつくりなさい。
ストーリーに必要なのは、
動機や目的で、
行動や手段や結果や展開である。
それを、Aというキャラが演じるか、
Bというキャラが演じるかで、
まったく別物のストーリーに「見えて」しまうだろう。
たとえばロッキーのストーリーが、
もしアポロとロッキーが逆の人格だったら、
全く別のストーリーになってしまうだろう。
そのキャラクターには、
そのキャラクターに相応しい試練が与えられる。
そういう意味では、
あなたは世界の神である。
人に相応しい試練を与えるのだからね。
そして動いたキャラクターも神と呼ばれる。
つまりあなたは、
神々を動かす神である。
ギリシア神話、北欧神話、日本神話の、
作者と同等の仕事をするのだ。
神話はほんとの?神々の話だが、
あなたは人間のストーリーを描くジャンルに、
いるだけのことである。
なぜ架空のキャラクターは魅力的なのか?
顔が良いからだ。
願望が入ってるからだ。
それが願望すぎないように、その世界でのリアリティがあるからだ。
そして他のキャラと被らず、
関係性のネットワークの中にいるからだ。
そして、
その魅力的なキャラたちが、
動機を持って行動して、苦悩して生まれ変わり、
最後には成功するからだ。
この、
どれもが魅力的だから、
架空のキャラクターは魅力的なのである。
たかが設定シートを作っただけで魅力的にはならない。
物語の中で魅力的なキャラが動くから、
魅力的になると考えるべきだ。
魅力的な芸能人が、
魅力的に見えるストーリーに出演したがるのは、
当然だろう。
そしてそれは、台本に書いてある。
わたしたちはそれを書く。
ただ活躍場面だけを書くわけではない。
人間の魅力は活躍場面以外にも無数にある。
あなたのストーリーが、
ただストーリーを追うだけになってしまってないか?
フィクションにしかないもの、
架空のキャラクターの魅力を最大限に引き出しているか?
魅力的なキャラたちに相応しい試練を与えているか?
そして行動する際に魅力が際立つか?
結果を受けて魅力が増すか?
ということだ。
2024年08月29日
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