2024年08月22日

縦と横のメソッド3: ストーリーライン

もう少しこの話を続ける。
縦の時間軸について前記事で見た。

これを横に見る。
キャラクターとストーリーラインが浮かび上がる。


これを眺めると、
一体何人のキャラクターの、
何本のストーリーラインが走っているか、
俯瞰することが出来る。
そして、各ストーリーライン間の影響についてもだ。

どこでどう絡むか分かるので、
順番を入れ替えたりしたときに、情報の順番が狂ったり、
前提が崩れてしまわないか、チェックできるのであった。

で、今回の見方は、
ストーリーラインを増やすことと、減らすことについてだ。



ストーリラインを増やすときはどういうときだろうか。
ストーリーが単純すぎて、
もっと複雑にしたほうがいいときだろう。

あるものごとの解決の縦方向、
つまり解決のための段取りや手数を増やすことは、
単なる引き延ばしになってしまう。
だから、横方向、ストーリーに関わる登場人物を増やしたり、
同じ人物でも別のラインを持たせるようにするとよい。

同じ人物でも別のラインを持っている、
ということは、
「二つの顔(3つ以上でもよい)」を持っている、
ということである。

表の顔と裏の顔、みたいな極端なものでもよいし、
仕事での顔と趣味のときの顔は違う、
くらいに考えてもよい。
部活と家では違う顔だろうし、
男の前と女の前でも違う顔だろう。
リアルとSNSで違う顔なんて当たり前になりつつある。
複垢で多重人格を使い分けている人も増えただろうね。

そんな風な、「その人の違う顔の世界」を、
作ってみるのも面白い。
もっとも、そのストーリーラインと他が一切絡まないならば、
全体から見て存在する意味はない。
だから、何らかのストーリーラインと交わる、
影響を与え合うようにつくると、
それの存在意義が出てくるというものだ。

そのサブストーリーラインが、
重要なサブテーマを抱えていると、
美しい構造になると思う。


さて、逆に減らすことも考えよう。

複雑なストーリーは、
ストーリーラインを減らすとよい。
ある人物の複数のラインの一本がまるっとなくなるか、
人物ごとなくなるわけだ。

単になくすとストーリーの都合が合わなくなるから、
エピソードごと他の登場人物がやることになるとか、
そういう風にして分散していくだろう。
わりと大手術になるわけだ。

あるいは、
複数のストーリーラインを、一本に統合することもある。
あるキャラクターを削除する代わりに、
AとBを融合した、Cというキャラクターに背負わせるやり方だ。
このとき、Cは別にAとBの見た目が融合したとか、
設定が融合しなくてもよい。
Aというキャラクターにやらせる、ということでもよい。

融合するのはストーリーライン、
つまり出来事や行動や結果だ。
Bのそれを全部Aに起きたことにすれば、
Bの出番はなくなるわけだ。
こうして、ストーリーを整理していくことができる。

カットしたり加えたりするのは、
時間軸、縦方向の整理である。
これらで考えているのは、
キャラクターやサブプロットのストーリーライン、
という横の整理というわけだ。


ジョンウーが「レッドクリフ」をハリウッドでつくったとき、
プロデューサーに、
劉備と関羽と張飛を同一人物にしろ、
と言われたんだっけ。
こいつらやっていることは同じだし、
ストーリーラインが独立していない、
と俯瞰して言ったに違いない。
さすがに中国人的には無理だと断ったはずだ。
(関羽が独立するのはずっと先だが、
赤壁の頃の話なので)

バディものは、
同一人物の分化である。
それを再度融合すると、ひとつの人格にまとまる。
そんな感じ。

人格や見た目のフュージョンを話しているのではない。
目的や行動や、場面のフュージョンということである。


ここにもう一本ラインをつくることが出来るのではないか。
このラインとこのラインは統合してもいいんじゃないか。

そんなことを、
縦と横のメソッドの表を見ながら、
妄想することができる。
それと時間軸との兼ね合いを俯瞰できるのが、
この表の優れたところなんだよね。

アイデアを試すには、
頭の中で想像するか、
実際に書いてみるまで分からなかった。
しかしこの表さえあれば、
ちょっと動かした表を書くことはすぐに出来るから、
そう直すとこうなるだろうな、
という予測をすることが出来るんだよね。

そこまで考えて、よしやってみよう、と決断できるわけ。
いちかばちかやってたら、
直す体力がなくなってしまうからね。
なるべく事前にその直しはやる価値があるか、
分るほうがいい。


ということで、
縦と横のメソッドは、
リライトのときに特に威力を発揮すると思う。

単純に出番の調整(出過ぎ、出なさすぎ)にも、
役に立つことだろう。

活用されたい。
posted by おおおかとしひこ at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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