2024年09月25日

最も劇的な瞬間はどこか

あなたはドラマチックなものを書いている。
ドラマチックなものでないならば、
それは平凡なものであり、映画とは言えないだろうね。

さて、最もドラマチックな瞬間は、
あなたのストーリーのどこになるかね?


色々な候補があり得る。
しかし、
僕はクライマックスであるべきだと思う。

最終的に勝利して、テーマが確定して、
カタルシスがある、その瞬間だと思う。
すべてはこの瞬間のために準備され、
2時間かけて紡いできているわけだから。


もし最も劇的な瞬間がオープニングだったら、
期待外れのものになるだろう。
始まって5分はピークだろうが、
残り1時間55分はそれ以下だろう。
(例: 実写「ガッチャマン」)

もし最も劇的な瞬間が事件発生だったら、
期待外れのものになるだろう。
すごい事件が起こった、どうなる?とワクワクしたところがピークで、
その解決過程も結果もそれ以下のテンションならば、
解決のカタルシスなどないからね。
(例: 「We are little zombies」)

もし最も劇的な瞬間が第一ターニングポイントならば、
期待外れに終わるだろう。
こんなにドラマチックに解決に乗り出したというのに、
その後地味に解決した、ということだからね。
(例: 実写「かいじゅうたちのいるところ」)

もし最も劇的な瞬間がミッドポイントならば、
中折れの印象で終るだろう。
前半は良かったのに、後半つまらなかった、
となるに違いない。
(例: 「ミッションインポッシブル: ゴーストプロトコル」)

もし最も劇的な瞬間が第二ターニングポイントならば、
物足りないだろう。
せっかくクライマックスが来ることを期待していたのに、
それ以上テンションが上がらなかった、
ということだからね。
(例は、さすがに見たことないな。
でも「マトリックス」はやや近い)


最も劇的な瞬間は、
セックスにたとえると分かりやすい。
どこも大切なポイントではあるが、
クライマックスから終わりがよくないと、
前半の期待を後半が凌駕しなかった、
ということだからね。
ショウはセックスである。


ポイントポイントで劇的なことは重要だ。
それまで何も劇的なことがなく、
クライマックスだけ劇的であっても、
それまで待つことがしんどいだろうね。

ということは、全部がドラマチックに満ちていて、
それらを全部クライマックスが凌駕する、
が一番理想だということになる。

だから脚本は難しいのだ。



あなたはドラマを書いている。
ドラマチックなドラマを書いている。

時々ドラマチックな瞬間があり、
時々そんなドラマチックでもない瞬間がある。
平凡な時間から、劇的な時間へ行くと盛り上がる。
その盛り上がりを繰り返しながら、
さらなる盛り上がりをつくってゆく。
つまり、劇的な瞬間は、
どんどん更新されていくのが理想ということだ。

ある劇的な瞬間をはじめのほうに書けたとしよう。
それを次々に更新して、どんどん劇的になっていったら、
最高のドラマになると思うよ。
じゃあ、そのようにコントロールするべきだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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