主人公は大体できた。
多分テーマはこのこと。
少なくとも、主人公の目的が大体できて、
そこへのルートがなんとなく見えてきた。
しかし話が転がらない。
こういう時は、アンタゴニスト(敵またはライバル)を作るとよい。
アンタゴニストを、
敵またはライバル、と訳した。
原語に忠実に訳せば敵対者だけど、
これだとライバルのニュアンスを入れこめないな、
と思ったので。
アンタゴニストが敵の場合をまず考えよう。
アンタゴニストは、
主人公と逆の考え方を持っているとよい。
だから、
主人公の行動に敵対する。
直接邪魔してくることもあるし、
間接的に妨害することもあるだろう。
あるいは、一人ではなく、チームや複数いることもある。
敵は、たいがい主人公サイドよりも強力で、
金持ちで、権力がある。
それをやっつけるから話は面白くなる。
逆の動機があり、
逆のテーマを持っている。
主人公が「金より愛」だとしたら、
敵は「愛より金」なわけ。
金で色んなやつの心を買いに来るだろうね。
このようにして、主人公サイドはピンチに陥り、
それを覆すように話は転がる。
ライバルの場合を考えよう。
敵は主人公と真逆だが、
ライバルは主人公と似ているか、同じ考え方を持っている。
それを先にやられてしまうか、
主人公が先にやるか、
のレースになる、というわけ。
スポーツのライバルが分かりやすい。
たとえば、
主人公が「このスポーツは楽しい」と思っているとすると、
ライバルは「より楽しいと思っている」やつか、
「全然楽しくなく、苦行でやっている」
というやつになるということだ。
前者が(分類上の)ライバル、
後者が敵になるわけだね。
ただまったく同じでは二人のキャラである意味がないので、
共通点があるのに他は真逆、
などのように設計するとコントラストがつく。
アンタゴニストとは、
「主人公と競合する者」という定義だと思うとよい。
真逆に競合するのが敵で、
同じことで競合するのがライバル、
ということだね。
もちろん、完全真逆じゃなくて、
似たところがあったら同族嫌悪や仲間意識になったり、
似ているはずなのに違ったら、
そこに面白みを感じたり、そこが嫌だったりと、
複雑な感情にすることが可能だ。
相手が露骨に妨害してくるパターンもあるだろうし、
無視されることもあるかもしれないし、
向こうの感情や事情をつくることで、
色々な中盤の展開を転がすことが可能になると思う。
そして、
たいていの場合、
アンタゴニストのほうが主人公よりも強力で、
権力をもっている。
主人公が自分よりも小さい人をただひき殺してもつまらないので、
自分より大きなものを倒すほうが、
物語になるからだね。
とにかく、
アンタゴニストをつくることで、
主人公のテーマが実現するのか?
というのが急に面白くなる。
反対のやつが出てくるわけだからね。
善悪以外に、
単に反対の考え方でいいんだよ。
資本主義と共産主義は、
捉え方によっては、
どちらかが善でどちらかが悪になることが多いけど、
別に善悪は関係ない。
使う人間の善悪で、結果的に共産主義が悪になっただけで、
本来邪悪なものではないだろう。
(一党独裁主義と共産主義は理論上関係がない。
議会制民主主義で共産主義は可能だ)
すべては、
ストーリーにおける役割で決まるというわけだ。
ということで、
アンタゴニストが出てくると、
話は転がしやすくなる。
どう転がすか困ったら、
アンタゴニストをつくるとよい。
妨害したり、邪魔だったり、
先行したり、
「どけ」と言ったりするだろう。
そのことで、
主人公のまっすぐな道が、
歪まされたり止まったりするわけだ。
道を簡単に進ませないコツは、
石に躓いて転ばせたり、
道をなくしたりすることだ。
中盤に迷ったら、
アンタゴニストの存在を考えるべきだと思う。
2024年10月02日
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