写真でよくいうやつ。
普段の大したことない不細工でも、
たまたま撮れた奇跡の一枚で、
イケメンや美人に見えることがある。
これはつまり、
普段というリアルに対して、
奇跡の一瞬というファンタジーが混じっている、
ということである。
嘘ではないが、真実でもない、
という感じかな。
本物を使っているから嘘じゃないけど、
滅多にないという意味で真実でもない、
という感じだね。
で。
物語はどっち?ということなのよね。
リアルを求めすぎると、
奇跡の一枚が、一瞬もない、
不細工なリアルしかないことになってしまう。
奇跡の一枚だけを切り取り、
イケメンや美人だらけ、
という理想を描いてしまっても、
嘘つけ、美化すんなよ、になってしまう。
塩梅を決めるのは、
作者のセンスということになってくる。
北海道を舞台にした、
白い雪の世界のロマンスは、
それだけで奇跡の一枚の匂いがするよね。
でも実際、雪は冷たいし、寒いし、
外には出たくないし、
燃料費はかかるし、雪下ろしはしんどいしで、
生活の不細工さも沢山あるんだと思う。
夏の醍醐味も味わえないだろう。
それでも冬のソナタみたいな詩情を求めて、
奇跡の一枚的な物語は期待される。
塩梅を決めるのは、作者次第だ。
普段すむところと違うところを舞台にすると、
異国での物語のような、
エキゾチック(旅情と訳そうか)を感じることが多い。
それだけで奇跡の一枚的な酔いがある。
だからこそ、
普段のリアルも混ぜていかないといけないだろうね。
嘘をつくコツは、本当も混ぜるのであった。
奇跡の一枚だけをつないでいる話は、
やっぱり嘘っぽくて張りぼてっぽい。
(でも少女漫画はリアルよりもドリーム的なものを求めがちだね)
ほんとうを混ぜながら、
地に足がついた、奇跡の一枚を求めていくべきじゃないかなあ、
といつも思う。
まあ、その塩梅も作家性だけど。
2024年10月25日
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