2024年10月25日

奇跡の一枚

写真でよくいうやつ。
普段の大したことない不細工でも、
たまたま撮れた奇跡の一枚で、
イケメンや美人に見えることがある。


これはつまり、
普段というリアルに対して、
奇跡の一瞬というファンタジーが混じっている、
ということである。
嘘ではないが、真実でもない、
という感じかな。

本物を使っているから嘘じゃないけど、
滅多にないという意味で真実でもない、
という感じだね。

で。

物語はどっち?ということなのよね。


リアルを求めすぎると、
奇跡の一枚が、一瞬もない、
不細工なリアルしかないことになってしまう。

奇跡の一枚だけを切り取り、
イケメンや美人だらけ、
という理想を描いてしまっても、
嘘つけ、美化すんなよ、になってしまう。

塩梅を決めるのは、
作者のセンスということになってくる。


北海道を舞台にした、
白い雪の世界のロマンスは、
それだけで奇跡の一枚の匂いがするよね。

でも実際、雪は冷たいし、寒いし、
外には出たくないし、
燃料費はかかるし、雪下ろしはしんどいしで、
生活の不細工さも沢山あるんだと思う。
夏の醍醐味も味わえないだろう。

それでも冬のソナタみたいな詩情を求めて、
奇跡の一枚的な物語は期待される。

塩梅を決めるのは、作者次第だ。

普段すむところと違うところを舞台にすると、
異国での物語のような、
エキゾチック(旅情と訳そうか)を感じることが多い。
それだけで奇跡の一枚的な酔いがある。
だからこそ、
普段のリアルも混ぜていかないといけないだろうね。

嘘をつくコツは、本当も混ぜるのであった。
奇跡の一枚だけをつないでいる話は、
やっぱり嘘っぽくて張りぼてっぽい。
(でも少女漫画はリアルよりもドリーム的なものを求めがちだね)

ほんとうを混ぜながら、
地に足がついた、奇跡の一枚を求めていくべきじゃないかなあ、
といつも思う。
まあ、その塩梅も作家性だけど。
posted by おおおかとしひこ at 05:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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