2024年10月26日

その作品を象徴するセリフ

はなんだろう。自作でピックアップしたまえ。


練りに練った、凝ったセリフだろうか。
ふとしたときに漏れた、とても短いがリアルなセリフだろうか。
万感の思いが詰った、
とても原始的で簡単な言葉だろうか。

なんでもいいよ。きちんと書いた作品ほど、
セリフにいろいろ込めてあるだろう。

他の作品にはないオリジナリティ、
他の作品にはない感情、
他の作品にはない言葉の組み合わせ。
色々あると思う。

で。
それらがポスターに書いてあって、
キャッチコピーになるかな?
って考えてみるんだよ。

たったひとつだけ、
キャッチコピーに使うとしたら?
と想像してみるわけだ。


これは何をしているかというと、
「もっとも大事で、オリジナルで、
かつ作品を象徴するセリフはどこか?」
を探そうとしているわけだ。

もしそれが、
ストーリーの骨格になる部分に来ていたら、
しめたものだぞ、ということだ。
ラストのセリフとか、
第一ターニングポイントのセリフであるとか、
ミッドポイントであるとか、
ボトムポイントで逆転ののろしを上げるセリフであるとかだ。

逆に、なんでもないシーンでのセリフに、
いいものがある場合もあろう。

骨格の結節点にいいセリフが多いときは、
ストーリー展開が多分しっかりしている作品だ。
がっと状況が動くときに、ぐっと来るセリフがあるわけだから、
状況と心の動きが一致している、ということ。

結節点じゃない、何気ないところにいいセリフが多いときは、
日常の隙間にいいポイントが多い映画だってことだ。
ストーリー展開というよりは、
キャラクター重視の映画になるだろうね。


僕は、どっちもあるべきだと思っている。
昔書いたものでとくに気に入っているのは、
「大きい器はな、水をためるのに時間がかかるんや」
(だから焦るな、という意味で)
という、日常の一場面で書かれたものだ。
(「いけちゃんとぼく」の清じいのセリフ。オリジナル)

結節点が重要な話では、
やはりそこにいいセリフを書きたいね。
ゆるいところが重要な話では、
やはりそこにいいセリフを書きたい。

明智光秀の物語では、
「敵は本能寺にあり」が重要な結節点のセリフになるよね。


つまり、
あなたが書いている作品は、
どういう空気感の物語なのか、
ということを、
セリフを抽出することで、俯瞰してみようぜ、
ということだ。

で、さきほど抽出した一番大事なセリフを、
キャッチコピーに使えるか?を考えよう。

文脈依存すぎたら使えないだろうね。
テーマを言っていても、ネタバレになってたら使えないだろう。
もし使えたら、使ってみれば、というだけのことだ。

でももし、まったく別の言い方で、
同じことを言えるならば、
それがキャッチコピーになるかも知れない。

逆に、キャッチコピーとは、
そのような本質の抽出をしてから書くものだ。


いいセリフはいくつある?
10でも20でもいいよ。
自信があるものも沢山あるだろう。
それらを眺めるだけで、
その物語の出来が分る。
骨格の結節点か、ゆるいところか、
一番大事なのがどこにあるか、
などがセリフで分ってしまうものだ。
posted by おおおかとしひこ at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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