一気読みはとても大事だ。
なぜなら、小説や漫画と違って、
映画は一気見するものだからだ。
一気読みしないと、伏線の温度感や退屈を、
感じなくなってしまう。
何度も何度も読んでいる場合、
一旦原稿から離れることをおすすめする。
とはいえ、アイデアはたくさん湧いてきて、
あれを直そう、これをこうしよう、
などは沢山出てくるだろう。
だからそのメモだけは取っておく。
縦と横のメソッドなどを使い、
全体を眺めて、原稿は読まずにおいておくとよい。
大体2週間も放置すると、
まったく文章を覚えていない状態に戻れる。
そのときに、
改めてその文章を初見のように眺めて、
一気読みしながら直すと良い。
2時間では終わらないだろう。
数時間かかる作業だ。
一気にできないと意味がないため、
雑音のない場所で、集中してやるべきだ。
リライト後半になってくると、
微妙な差異や、小さな傷に気づくことが増えてくる。
回想時の年齢の計算間違いとか、ちょっとした固有名詞のミスや、
統一的に表現されていないなどだ。
(例えば、「越える」と「超える」とかね)
そういう、誤字脱字チェック的な、
小さな傷を修正していく作業と同時に、
内容はこれでいいのか、
もっといいセリフはないのか、
この1行だけ切ったらどうか、
などを検討していくのが、
最後の一気読みの段階だと思う。
この時大事なのは、リズム感だ。
文章のリズムが、ストーリーのリズムになっているか、
ということが一番大事だ。
すでに内容や段取りはほぼフィックスまで来ているだろうから、
句読点を入れたり切ったりとか、
漢字をひらがな表記にするとか、
ちょっとしたことでリズムが変ってしまうものを、
統一的に整えていくこともやるとよい。
一回だけやればよいか?
僕は数回やるべきだと思っている。
前半のリズムと後半のリズムはこれでいいんだっけ、とか、
起伏のリズムはこれでいいんだっけ、とか、
複数のビートやリズムがストーリー内にはうごめいていることがあり、
それを俯瞰するには、一回じゃ足りないかもしれないからだ。
初見の人になれること、
分ったうえでも最高に乗れること、
この2つをクリアしないと、
いい脚本にはならないと思う。
それをやることだ。
「もう直すところがない」が完成とは限らない。
前の荒いリズムのほうが野性的でよかった、
などに戻ることもある。
新しく付け足したアイデアが、余計なことがある。
前に戻る、が増えてきたときが、
僕は完成の合図だと思っている。
付け足すとダメになるのは、
完成の条件のようなものだと。
なかなか完成を見極めるのは難しいよね。
天ぷら職人が揚げるタイミングを目で見て覚えるように、
天才脚本家が完成というタイミングが見れるといいのになあ。
まあ、自分の天ぷらがどこで完成か、
見極めるのも経験だと思う。
というわけで、
一気読みしながらのリライトは、
何度かやることをおすすめする。
自分の映画は一気見される。
それを前提に読むことだ。
退屈パートはどこだ。どうしたらそれを回避できるのか。
それも考えないといけないね。
2024年10月29日
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