2024年10月29日

リライトの後半は、一気読みしながらやること

一気読みはとても大事だ。
なぜなら、小説や漫画と違って、
映画は一気見するものだからだ。

一気読みしないと、伏線の温度感や退屈を、
感じなくなってしまう。


何度も何度も読んでいる場合、
一旦原稿から離れることをおすすめする。

とはいえ、アイデアはたくさん湧いてきて、
あれを直そう、これをこうしよう、
などは沢山出てくるだろう。
だからそのメモだけは取っておく。
縦と横のメソッドなどを使い、
全体を眺めて、原稿は読まずにおいておくとよい。

大体2週間も放置すると、
まったく文章を覚えていない状態に戻れる。
そのときに、
改めてその文章を初見のように眺めて、
一気読みしながら直すと良い。

2時間では終わらないだろう。
数時間かかる作業だ。
一気にできないと意味がないため、
雑音のない場所で、集中してやるべきだ。

リライト後半になってくると、
微妙な差異や、小さな傷に気づくことが増えてくる。
回想時の年齢の計算間違いとか、ちょっとした固有名詞のミスや、
統一的に表現されていないなどだ。
(例えば、「越える」と「超える」とかね)

そういう、誤字脱字チェック的な、
小さな傷を修正していく作業と同時に、
内容はこれでいいのか、
もっといいセリフはないのか、
この1行だけ切ったらどうか、
などを検討していくのが、
最後の一気読みの段階だと思う。

この時大事なのは、リズム感だ。
文章のリズムが、ストーリーのリズムになっているか、
ということが一番大事だ。

すでに内容や段取りはほぼフィックスまで来ているだろうから、
句読点を入れたり切ったりとか、
漢字をひらがな表記にするとか、
ちょっとしたことでリズムが変ってしまうものを、
統一的に整えていくこともやるとよい。

一回だけやればよいか?
僕は数回やるべきだと思っている。
前半のリズムと後半のリズムはこれでいいんだっけ、とか、
起伏のリズムはこれでいいんだっけ、とか、
複数のビートやリズムがストーリー内にはうごめいていることがあり、
それを俯瞰するには、一回じゃ足りないかもしれないからだ。

初見の人になれること、
分ったうえでも最高に乗れること、
この2つをクリアしないと、
いい脚本にはならないと思う。
それをやることだ。


「もう直すところがない」が完成とは限らない。

前の荒いリズムのほうが野性的でよかった、
などに戻ることもある。
新しく付け足したアイデアが、余計なことがある。
前に戻る、が増えてきたときが、
僕は完成の合図だと思っている。

付け足すとダメになるのは、
完成の条件のようなものだと。


なかなか完成を見極めるのは難しいよね。
天ぷら職人が揚げるタイミングを目で見て覚えるように、
天才脚本家が完成というタイミングが見れるといいのになあ。
まあ、自分の天ぷらがどこで完成か、
見極めるのも経験だと思う。


というわけで、
一気読みしながらのリライトは、
何度かやることをおすすめする。

自分の映画は一気見される。
それを前提に読むことだ。
退屈パートはどこだ。どうしたらそれを回避できるのか。
それも考えないといけないね。
posted by おおおかとしひこ at 08:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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