2024年11月09日

どん底勝負をしようぜ

映画は成功までのロードである。
ただ成功、成功、成功というのは映画ではない。
成功したり失敗したりするのが人生で、
それを真正面から描けば、
成功半分、失敗半分になるだろう。
いや、失敗の場面のほうが多くなるかもしれない。

さて。その最悪のどん底について。


2時間映画の中では、
失敗に失敗が重なり、
どん底になる場面が必ずといっていいほどある。
暗黒の状態になり、
そこから一筋の光明を見出して大逆転につながるために、
そこは狙ってどん底にするわけである。

大ジャンプするためには、一回身を縮めなければならない。
その一番低い場所が、どん底になる。

さて。
そのどん底場面を、
色んな映画で比べてみよう。
どんだけどん底か、ということだ。


名作であればあるほど、
最悪の時がある。
最悪であればあるほど、そのあとの上がりは、
壮絶な上がり方になるからね。
その盛り上がりこそが名作の条件だと言ってもよい。

ジェットコースターでいえば、落差があるほうがよい、
みたいなことだ。

大体その時間帯は、
ミッドポイントから第二ターニングポイントの間の30分のどこかに来る。
等間隔で来れば75分前後だけど、
映画によってそれは前後する。
ただ60分台だとそのあとの盛り上がりまでかかり過ぎるから、
おおむね70〜85分のどこかじゃないかな。

失敗して、人生どうしようもなくて、
自暴自棄で、助けもなくて、助けがあっても断って、
孤独で、死にたいと思うようなどん底。

色で言えば黒のポイントだな。闇夜と言ってもいいか。

色んな名作の、そこだけを比較して並べると、
発見があるかもしれない。
そして、そのあとどういう大逆転をしていったか、
ということも大事だね。
(逆転できないと、大体においてバッドエンドになっていく)


どん底を研究したら、
自分の作品にフィードバックするのだ。
自分のストーリーは、
どういうどん底にいて、
どういう大逆転をするか、を、
客観的に把握できるはずだ。

もっとどん底にできる?
あの作品のどん底に勝てる?
あの作品の大逆転よりおもしろい?
そんな風にして、
最も暗いポイントを研究するといいだろう。

なぜなら、
物語とは光と影のことであり、
光を描くなら影を濃くしたほうがいいに決まっているからだ。
その一番暗いポイントを、一番暗くすると、
人生のコントラストがつくぞ。


ミッドポイントがかりそめの敗北になるパターンでは、
その直後がどん底だろうか?
そこからあがいて、
もっとどん底に落ちていくのが、
面白い暗黒パターンになるだろうね。
だから結局75分±10分あたりで、
どん底に至るだろう。


映画全体が明るい場合、どん底はそれほど暗くないかもしれない。
映画全体が陰鬱な場合、どん底まで真っ暗かは映画によるだろう。
コメディなのかシリアスなのか、
全体の雰囲気にもよるだろう。

物語は、人生の頂点とどん底を、
戯画化したものである。
クライマックスとラストシーンと、
どん底をペアにして考えよう。
posted by おおおかとしひこ at 08:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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