映画は成功までのロードである。
ただ成功、成功、成功というのは映画ではない。
成功したり失敗したりするのが人生で、
それを真正面から描けば、
成功半分、失敗半分になるだろう。
いや、失敗の場面のほうが多くなるかもしれない。
さて。その最悪のどん底について。
2時間映画の中では、
失敗に失敗が重なり、
どん底になる場面が必ずといっていいほどある。
暗黒の状態になり、
そこから一筋の光明を見出して大逆転につながるために、
そこは狙ってどん底にするわけである。
大ジャンプするためには、一回身を縮めなければならない。
その一番低い場所が、どん底になる。
さて。
そのどん底場面を、
色んな映画で比べてみよう。
どんだけどん底か、ということだ。
名作であればあるほど、
最悪の時がある。
最悪であればあるほど、そのあとの上がりは、
壮絶な上がり方になるからね。
その盛り上がりこそが名作の条件だと言ってもよい。
ジェットコースターでいえば、落差があるほうがよい、
みたいなことだ。
大体その時間帯は、
ミッドポイントから第二ターニングポイントの間の30分のどこかに来る。
等間隔で来れば75分前後だけど、
映画によってそれは前後する。
ただ60分台だとそのあとの盛り上がりまでかかり過ぎるから、
おおむね70〜85分のどこかじゃないかな。
失敗して、人生どうしようもなくて、
自暴自棄で、助けもなくて、助けがあっても断って、
孤独で、死にたいと思うようなどん底。
色で言えば黒のポイントだな。闇夜と言ってもいいか。
色んな名作の、そこだけを比較して並べると、
発見があるかもしれない。
そして、そのあとどういう大逆転をしていったか、
ということも大事だね。
(逆転できないと、大体においてバッドエンドになっていく)
どん底を研究したら、
自分の作品にフィードバックするのだ。
自分のストーリーは、
どういうどん底にいて、
どういう大逆転をするか、を、
客観的に把握できるはずだ。
もっとどん底にできる?
あの作品のどん底に勝てる?
あの作品の大逆転よりおもしろい?
そんな風にして、
最も暗いポイントを研究するといいだろう。
なぜなら、
物語とは光と影のことであり、
光を描くなら影を濃くしたほうがいいに決まっているからだ。
その一番暗いポイントを、一番暗くすると、
人生のコントラストがつくぞ。
ミッドポイントがかりそめの敗北になるパターンでは、
その直後がどん底だろうか?
そこからあがいて、
もっとどん底に落ちていくのが、
面白い暗黒パターンになるだろうね。
だから結局75分±10分あたりで、
どん底に至るだろう。
映画全体が明るい場合、どん底はそれほど暗くないかもしれない。
映画全体が陰鬱な場合、どん底まで真っ暗かは映画によるだろう。
コメディなのかシリアスなのか、
全体の雰囲気にもよるだろう。
物語は、人生の頂点とどん底を、
戯画化したものである。
クライマックスとラストシーンと、
どん底をペアにして考えよう。
2024年11月09日
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