ロードムービーって僕はあんまり好きじゃない。
内面の話になりがちで、
外面の話がおろそかになるからだ。
旅は自分との対話のようなものだ。
自分がわからなくて、旅で何かを発見して、
自分が分ったような瞬間に立ち会う。
日常でそれを味わえればよいのだが、
非日常という旅に出たからそれを味わえた。
そのようなことを書くのが、
ロードムービーというものだ。
だから、絵はずっと移動している。
非日常の場所に行くものだから、
絵面はとても良くなる。
車だろうが飛行機だろうが、
どこかに旅している場面は、
それだけで絵になるからね。
その代わり、
外的ストーリーが詰らなくなりがち、
ということを警告しておく。
内面に焦点を当てすぎて、
一人称の話になりがち、という警告だ。
三人称で描くべき映画という物語形式では、
三人称のストーリーの面白さがキモになる。
内面は結果に過ぎない。
ロードムービーでよくあるパターンは、
逃げるか、どこかを目的地にするものだ。
逃げる場合は事件を起こして警察に追われるパターンが多い。
(大抵破滅で終わりか)
どこかへ行くことを目的にする場合は、
その目的地で叫ぶパターンが多いよね。
でもそれって面白いのかなあ、ってことなんだよね。
書いている人は面白いかもしれない。
自分の内面の旅のようなものだからね。
それを他人に見せる、所まで意識しているか、
というと、若干自意識のほうが強いんじゃないか、
って思うことが多い。
以前見た「ドライブマイカー」でも同じことを思った。
世界の果てが見てみたい、というパターンは、
大抵その目的地で張りつめていた心が整う、
みたいになることが多い。
それを別のパターンでやればいいのにね。
それでもロードムービーがなくなることはない。
移動している絵って気持ちいいからね。
絵面がよい、という利点でなくなることがない。
じゃあ、内面以外の、
面白い外的なストーリーをつくれたら、
新しいロードムービーになるだろう、
と原理的に思う。
ただそれって、「逃げる」と「追う」が発生する。
ロードムービーというより、
チェイスムービーになるかもね。
2024年11月10日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック