2024年11月10日

ロードムービーは内面の旅

ロードムービーって僕はあんまり好きじゃない。
内面の話になりがちで、
外面の話がおろそかになるからだ。


旅は自分との対話のようなものだ。
自分がわからなくて、旅で何かを発見して、
自分が分ったような瞬間に立ち会う。
日常でそれを味わえればよいのだが、
非日常という旅に出たからそれを味わえた。
そのようなことを書くのが、
ロードムービーというものだ。

だから、絵はずっと移動している。
非日常の場所に行くものだから、
絵面はとても良くなる。
車だろうが飛行機だろうが、
どこかに旅している場面は、
それだけで絵になるからね。

その代わり、
外的ストーリーが詰らなくなりがち、
ということを警告しておく。
内面に焦点を当てすぎて、
一人称の話になりがち、という警告だ。
三人称で描くべき映画という物語形式では、
三人称のストーリーの面白さがキモになる。
内面は結果に過ぎない。

ロードムービーでよくあるパターンは、
逃げるか、どこかを目的地にするものだ。
逃げる場合は事件を起こして警察に追われるパターンが多い。
(大抵破滅で終わりか)
どこかへ行くことを目的にする場合は、
その目的地で叫ぶパターンが多いよね。

でもそれって面白いのかなあ、ってことなんだよね。
書いている人は面白いかもしれない。
自分の内面の旅のようなものだからね。
それを他人に見せる、所まで意識しているか、
というと、若干自意識のほうが強いんじゃないか、
って思うことが多い。

以前見た「ドライブマイカー」でも同じことを思った。
世界の果てが見てみたい、というパターンは、
大抵その目的地で張りつめていた心が整う、
みたいになることが多い。
それを別のパターンでやればいいのにね。

それでもロードムービーがなくなることはない。
移動している絵って気持ちいいからね。
絵面がよい、という利点でなくなることがない。


じゃあ、内面以外の、
面白い外的なストーリーをつくれたら、
新しいロードムービーになるだろう、
と原理的に思う。

ただそれって、「逃げる」と「追う」が発生する。
ロードムービーというより、
チェイスムービーになるかもね。
posted by おおおかとしひこ at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック