いつもそう思う。
自分をどういう気持ちに持っていけばいいのか、
よくわからないのが実情だ。
でも僕は一個得意パターンを持っているので、
それについてメモしておく。
まずキャラクターを窮状に追い込む。
プレッシャーがあり、キツイ状況でないと、
なかなかいいセリフは出てこない。
ぬるま湯の中ではなかなか出ないものだ。
もっと圧を加えないといけない。
で、あるシーンで、
長台詞をいとわずに話をさせる。
どんな長い話でもよい。
数ページにわたってしまう場合もある。
(長すぎるならあとでカットすればいいので、
まずは全部書く)
で、ふとそれが短い言葉で言いなおされたり、
短い言葉でリアクションが取れたりする。
それらの長い説明を、
短いセリフで圧縮するような瞬間。
それが名セリフになることが多い。
そしてそれがシーンの尻になることが多く、
次への期待や不安につながる、
ターニングポイントになる。
つまり、長くやって、
短く結着をつける、というパターンが多いね。
代表的なのは、
風魔の10話だろうか。
遊園地のデートでさんざん話しておいて、
「では小次郎は死ぬか、風魔の里へ帰ってしまうのね?」
と短い問いを発する姫子に、
「そうです」と、
敬語で短く答える小次郎のセリフはとても好きなんだよね。
もちろん、
告白の、
さんざん9個のいい所を上げておいて、
「強い善人だってこと」と、
短い言葉で10個目を決めるときも同様だ。
それ単独では意味が取りにくい、
短いセリフなのに、
それまでの流れを見ていると、
その短さにぐっと来る。
そしてそれが決めになる。
そういうのが良い決め台詞だと思っている。
もちろん、他にもいいセリフのパターンはある。
たとえば、
「時間こそが最高の作家だ。常に完璧な結末を書く」
など、凝った文体で、
「時が経てば解決するものだ。(ごちゃごちゃ考えるな)」
というような意味を語るような長いセリフである。
(「ライムライト」。
Time is the best author. It always writes the perfect ending.)
これは舞台劇に近い感じかな。
この凝り方ができる人がよい作家である、
文体こそが作家性である、
という風に思われていた時代の名残かもね。
凝ったセリフにはほかにも
「君の瞳に乾杯」(「カサブランカ」)
のような、キャッチコピーとしても機能するような、
新しい言葉の組み合わせを創造したものもあるだろう。
この二つは、
映画脚本とは関係ない、
小説や演劇でも共通するセリフの作り方だと思う。
最初にあげた僕のやり方は、
シナリオでこそ輝くセリフだと思う。
他にも沢山やり方はあるだろう。
自分なりの決め台詞、いいセリフが書けたときは、
どういうパターンだったかを分析して、
いつでも準備できるようになりたいものだ。
もちろん、新しいやり方も貪欲に取り入れるのである。
2024年11月06日
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