2024年12月06日

人間関係は、危ういほうがいい

一触即発。
微妙に崩れそうになったら元に戻る。
そういう関係はハラハラする。


たとえば、「好きなのか、好きじゃないのか」は、
そういう関係性だ。
二人は意識しているのか、していないのか、
一方だけ意識しているのか、両方意識しているのか、
前に進もうとしているのか、躊躇しているのか、
一歩進もうとしたが、
まだその時ではないと引くとか。

そのじれったい関係性が、ラブストーリーの根本であろう。
もちろんそれだけでは進まないので、
それとは異なるストーリーと同時進行になると思う。

だけど、「好きーチュー」で関係がすぐに変わるよりも、
じっくり危うい関係性をつくりながら進むと、
そのじれったさが良くなったりする。


憎み、殺しあう関係性も同様だ。
いつやるのか、常にピリピリしていて、
仲裁が入ったりタイミングが悪かったりして、
なかなか二人で殺しあえない、
という関係性は萌えるよね。

いつかあの人に〇〇と言いたいが、
我慢している、という関係性もある。
一回その流れになりかかるが、
向こうから言われたことで、
それを言えなくなる、などで進展が止まる場合などもあるだろう。


うまく「進むのか、進まないのか」という状況をつくり、
なるべく引っ張るのが正しい。
連載ものならばそれだけで引っ張り続けるくらいだよね。
その進みそうだが進まないバリエーションを考えるのが仕事みたいになってくるだろうね。

映画は2時間で終わるので、
そんなに「進まない」を繰り返す必要はない。
変化こそが映画の醍醐味なので、
いつまでたっても進まない危うい関係は、
いつかフェーズが変わる。

ルパンと峰不二子の関係は、
シリーズ連載ならまったく進まなくてもよいが、
完結する映画ならば、
一回寝るくらいはやらないといけないね。
その時ほんとうの顔を見せることになるだろう。


危うい関係を描くには、
一触即発を描き、いったん元に戻るが、
そのことが影響して、
もはや前の関係には戻れないことを描くとよい。
そのエピソードが印象的であればあるほど、
その関係性に興味が出てくるだろう。

引っ張るテクニックが重要なのは、
キャバ嬢だけではない。
ああ、進むのか、進まないのか、もどかしい、
と思わせれば、
そのへんのキャバ嬢より人気になるぜ。

不安定なコマは、安定して回るコマよりも、
ついつい見てしまう。
その不安定さこそ、物語である。
posted by おおおかとしひこ at 08:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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