2024年12月22日

弱点とは、平静が保たれなくなるポイント

だと考えると、ストーリーが組みやすくなる。



あなたの弱点を考える必要はない。
自分の苦手なものを書くのは怖くてイライラするだろう。

たとえば高所恐怖症の人が、
鉄塔の上で戦ったり、崖にぶら下がったりする場面を書くのは、相当勇気がいるだろう。
冬山を登る人達が、崖にカラビナを打って、
宙づりにテントをつくってその中で寝る、とかあるよね。
そんな場面書いたら俺心臓止まるわ。

だから、自分の苦手や弱点を書く必要はない。
だけど、他人の弱点をそのように描くことは、
とてもよいだろう。

他人の弱点が「辛い物が苦手」だとしよう。
そうしたら、キムチを見るだけで、
高所恐怖症のようなめまいがすることを想像できるわけだ。
自分が怖くないから、追い詰めることも簡単にできるかもね。
タイや韓国に出張とかになったら、卒倒するコメディは書けるよね。

さて、ここからが本題だ。

人は、弱点に遭ったときに、
どういう感覚、リアクションになるだろうか?
ということだ。
それは、「普段通りじゃなくなる」ということなのだ。
冷静沈着なキャラでも、
辛い物が苦手ならば、
近づくだけで冷静さが失われるだろうし、
快活なキャラでも、
透明なエレベーターに乗ったら、静かになってしまう、
ということなのだ。

そういう外見的な面だけではなく、
内面もそうだ。
冷静な普段の感覚とは異なる状態にいるわけだから、
たとえば高所恐怖症のキャラクターを、
スカイツリーの上に呼び出して、
そこで契約書を結ぶことも出来るわけ。
まあ冷静じゃないだろうね。
酒やいいことがあったときに冷静じゃない場合と、
似たような場面を強制的につくれるわけだ。

すなわち、酩酊、前後不覚にできるということである。


ストーリーというのは、
基本最善手で行動することが前提になっている。

観客が思う「〇〇すればいいのに」をしないキャラクターは、
阿呆扱いされ、イライラの対象になることだろう。
こいつがいると話がなかなか進まない、
と指摘されることになる。

SW1のジャージャービンクスがいい例だ。
IQの低いキャラクターを入れないといけないポリコレでもあるんちゃうか、というくらい、
ジャージャーはイライラした。

向こうの伝統では、ピエロ的な、ジョーカー的な、
コメディ担当が意外な活躍をする、
というキャラクターがある(トリックスター)。
ジャージャーはそれになりかけたが、
あまりにも下手だったので、
単なるイライラキャラとして嫌われたね。

で、そもそものIQが低いんじゃなくて、
「たまに阿呆になる」ということを、
弱点を設定すると使えるんだよね。

将棋の藤井が、辛い物が苦手だと設定するとしよう。
勝負の相手が出前屋にわいろを渡して、
ひそかに昼飯に辛い物を入れれば、
藤井は冷静な判断力を失うわけだ。
そうすると、飯屋にいかにバレないようにわいろを渡すか、
という場面をおもしろおかしく考えることができるようになるわけだね。

女子を口説くために、酒を大量に飲ませて、ほめちぎる、
というのはちまたで良くある、
冷静さを失わせる作戦のひとつだろう。

このようにして、
そのキャラクターを一瞬ジャージャービンクスに出来る瞬間を、
つくることができるわけだ。

弱点を設定するとは、
そのような利用の仕方をするのがよいだろう。


その弱点を克服するかしないかは、
ストーリー次第だ。
それを克服することがメインになると、
それはテーマ性と関わって来ることになるだろうね。

ドラえもんがネズミを克服するストーリーはない。
テーマ性とは関係ないからだね。
でものび太がジャイアンに立ち向かうのは、
テーマ性と関係するから、
「さようならドラえもん(実質の最終回)」の話の中では、
主題になってくるわけだ。
どちらのタイプで話をつくってもよい。


弱点に遭うと、平静が保てなくなる。
すなわち非日常状態である。

「その状態で何をするか」「その状態で何をされるか」
「その状態にどう持ち込むか」「その状態からどう脱出するか」や、
「それをどう克服するか」などを、
作りやすくなるわけだね。

完璧な人間はいないから、
完璧でない人間を描くことが映画の基本だ。
どう完璧ではないか、を考えるのは難しいので、
弱点をとっかかりに考えるとわかりやすくなる。
posted by おおおかとしひこ at 08:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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