2024年09月30日

ハニメーション

今期朝ドラ「おむすび」のOPで、
「ついにハニメーションが完成した」と言ってるツイートを見かけて、
懐かしさのあまり分析したい。


ハニメーションとは、
佐藤江梨子主演の、実写版「キューティーハニー」で、
ハニーのアクションを特別なものにするために、
(ぶっちゃけサトエリがアクションできるほどの身体能力と経験がないため)
編み出された造語と手法のことだ。

庵野秀明がつくったもので、
ポーズをコマドリして連続再生すれば、
まるでアニメのようなダイナミックな動きになるだろう、
と期待してのこと。

しかし少し考えればわかることだけど、
ダイナミックな手書きアニメを作れる人は、
よほどポーズと中間ゴマのセンスがよくて、
繊細で正確なポージングができる人に限られる。

それを、サトエリとカメラマンと振付師が、
もっていたかは怪しい。

つまり庵野の手法は、
「一人でやればできること」を、
「複数でやるが故にガタガタになる」ことがとても多い。
まあ天才型にありがちな事故だね。

実際のハニメーションは、
なんだかガチャガチャしたもので、
美しさのカケラもないものであった。

後年のテレビドラマ版は、
アクションスタントをちゃんとつけたり、
原幹恵がセンスが良かったので、
まあなんとか切り抜けていた。

キューティーハニー、ナイスバディじゃないと、
スタントマンがバレちゃう欠点がある。


おそらく、
庵野のこれの完成は「シン仮面ライダー」で、
工場上空でのアニメチックなコマドリのアクションがそれだ。

でも結局、
「頭で考えたことと、
現実に出てきたそれは異なる」
を、目の当たりにしたことになる。

いつも言ってるが、所詮エアセックス童貞部門の出来、
ということだ。


さて、
この朝ドラOPは、
実写撮影をストロボアニメにしたものだ。

123456と続く連続ゴマを、
113355とコマ落としして同じコマを使ったもの。
だから微妙にカクカクするが、
元が実写なので「暴れ」が少ないわけ。
これに対してアニメーションでエフェクトをつけているので、
ハニメーションっぽく感じるんだね。
コマ落とししている理由は作画コスト。
1/2に落とせばコストは半分になるわけで。
(それのほうがアニメ風で可愛い、という理由もある)


結局、「頭で考えたアニメ」は、
カクカクで暴れて訳のわからないものになり、
「実際の実写をレタッチしたもの」のほうが、
想像に近いものになる。

脚本論に戻すと、
あなたの頭の中の妄想は、
この程度かも知れない、という危機感を持つこと。

だから取材をするのだよ。
「リアルはこうだ」とわかってから、
嘘をつくのだ。


ハニメーションも、
実際のスタントをスタントマンでやってから、
そのポーズを1コマずつサトエリに真似させれば、
もっとマシだったろう。

シン仮面ライダーのアクションも、
そもそもアクション台本がむごいので、
チープに感じるんだよな。
ラストのアドリブぐだぐだ寝技大会も、
「見栄を張る映画用のキレのあるアクション」を、
取材してないということがバレてしまったね。



頭の中と現実は違う。

「一緒だ」と思い込むのが童貞。

「違うことを把握して、理想を作る」のがまともなやり方。
つまり技術力と腕がいる。

「リアルと同じじゃないと嫌」はクソリアルでしみったれている。


「おむすび」のOPは、
その距離感がちょうどよい。
https://m.youtube.com/watch?v=kUAjOCgbxOo
とくに後半の橋本環奈のダンスがわかりやすい。
なかなかのワイドレンズを選択していることで、
動きに立体感と迫力が出ている。
(アイドルは顔が変形しやすい広角レンズを嫌うので、
滅多に美女を広角で撮れることがないのよね)

ちなみにハニメーションの例。
https://m.youtube.com/watch?v=dVrWZGC_SRs
の2:27あたり。
金田伊功のアニメっぽいのはそれしか前提がなかったからだろう。
アニメではこのコマ数で足りてても、
実写じゃ全然足りねえよな。
posted by おおおかとしひこ at 12:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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