主人公はストーリーの中心である。
だけど、どのくらいの中心ぷりかは、
ストーリーによる。
ストーリーとは問題の解決である。
だから、解決するのは主人公であるべきだ。
よくある間違いは、
ラストの解決の瞬間だけやればよい、
と思っているとき。
他は全部やらせておいて、
最後の一筆だけやる、みたいなのは、
主人公ではない。
そんな最後だけオイシイところをかっさらうやつをみてて、
楽しいかい?
学生がヒイヒイ言いながら書いた論文が、
教授の名前で発表されるようなものだぞ?
理想は、
問題解決の最初の発起人になり、
解決の過程において主導的役割を果たし、
メンバーのリーダーになり、
危険があっても泥を被って走り回り、
クライマックスにおいて、
ついに解決した主体的な人物を、
主人公というべきだ。
もちろん、
一人で解決すればそれも主人公だが、
多くのストーリーの場合は、
複数のメンバーで解決することが多い。
それは、
現実的に人間一人で解決できることには限界があるからだ。
だから、チームで解決に当たったほうが、
リアルな解決に近くなる。
なので、そのメンバーの中で、
中心的な、リーダー的な役割を果たすのが主人公であるべきだ。
つまり、リーダーこそが主人公だということだ。
これらを勘違いすると、
リーダーやほかの人が解決にまい進し、
汗をかいて泥をかぶる中、
後方の安全地帯にいて観察している人を主人公にして、
最後の最後だけ活躍させる、
というメアリースー型主人公になってしまう。
現実には、
メンバーのリーダーだけが主人公になるのではない。
色々な問題解決において、
リーダーが解決の主体にならないプロジェクトもあるからね。
リーダーはあくまで責任者ポジションで、
成功へ導くのは別の主体的人物である場合もある。
その人が、主人公だ。
もちろん、主人公はその役割を時に他人に譲ることがある。
スーパーマンでない限り、
誰かの助けを借りるのがリアルなので、
そういう場面が時々あることもある。
全部の小さな解決を主人公がやる必要はない。
だけど肝は主人公が握っている、でないと、
主人公とは言えなくなるだろう。
つまり、
問題の解決という大まかなストーリーラインにおいて、
主人公だけがメインで活躍することになる。
もちろん脇の活躍もあるが、
メイン活躍は必ず主人公で、ひっぱり役だ。
ラストに一回だけ活躍すればいいのではなく、
常に活躍している必要があるわけだ。
主人公とはつまり、ストーリーの看板になるわけだ。
人生経験が少ない脚本家は、
これを描くことが下手なことが多い。
人生の解決をあまり経験していないと、
「自ら問題を解決する」という経験が積めていないため、
誰かが解決するのを見るだけの役割になってしまうことが多い。
でも、人生経験の多寡がそれを決定するとは僕は思っていない。
要は観察力であり、想像力だ。
人生経験が少ないと、想像力も働きづらい、
という傾向なだけの話。
出来る人は、
経験のないことでも経験したように書けるからね。
なので、最終的に主人公が主人公になっていれば、
よいと思う。
言い出しっぺ、事態を動かす人、
事態を進行する人、事態に影響を与える人、
チームを率いる人、事態の責任を取る人、
首謀者であり実行者である人。
おいしい所だけしゃしゃり出てくる人ではなく、
最初から最後までベタでいる人。
その泥臭さを描くのが、ストーリーだと思う。
だからこそ、
ラストは自分で決着をつけるし、
もっとも幸せになる人だと思っている。
つまり、
そういう主体的な関りをしていないのならば、
主人公じゃないんじゃないか、
と疑ってもいいと思う。
誰かほかの人物がやることを、主人公がやれないか、
などと検討してもよいと思う。
主人公が引っ込んでる時、
ここに主人公を置いたら、と考えてもいいと思う。
ドラマ「風魔の小次郎」において、
後退気味だった原作主人公を、
ストーリーの真ん中に持ってくる方法については、
監督メモに詳しいので繰り返さない。
このようなことを、
自分のシナリオでチェックするべきだ。
もちろん、たった一人で偉大なことをすることは難しいし、
共感を得ることも難しいから、
共感を得つつ、しかもチームで戦うことを、
描くとよいだろう。
その塩梅は、主人公クラスか脇役クラスかを、
意識するといいと思う。
ついついやってしまうのは、
主人公は自分だと思い込むことだ。
作者=自分には出来ないことAを、その主人公はするかもしれない。
(だって作者はAができなくても、世の中にAをできる人は沢山いるから)
作者=自分に出来ることBすら、その主人公は出来ないかもしれない。
(だからBができる人を仲間にする)
ABを設定すると、
自分だという思い込みから逃れられると思う。
その時に、客観的にストーリーを捉えられると思う。
2025年01月22日
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