2024年10月18日

【薙刀式】言葉には濃淡がある

フォントの濃さとか漢字の画数の話ではない。
意味的な話。


薄い言葉の代表は感嘆詞だろうか。

 あー、ううう、わぁ…、えっ、
 うおおおお、キター

などかな。合いの手もそうかな。

 よいしょっ、それっ、ハッ、
 えんやこらせー

意味としてはほぼない。
表情やリズムで伝わるだろう。

濃い言葉はたとえば、

 神の歴史的概念、別れる理由、連続関数、
 再帰的定義

などだろうか。
いかめしい字面であるが、扱う概念の複雑さや深刻さも、
濃いね。

いかめしい字面でも薄っぺらい概念もある。

 従業員は経営者目線で、
 できないよりできる方法を考える

などのコンサルが考えそうな言葉は、
字面に対して意味が薄っぺらい。

 マイルストーン、ブリーフミーティング

などのビジネスカタカナ語も薄っぺらい。

簡単な言葉でも濃い意味の言葉もある。

 すき

とかはその代表だね。

 しかし、だが

などの逆接も、文字の簡単さに比べて意味は濃い。
順接よりも重たいので、
言う時は一拍置く言葉だろう。

 今日限りで暇をいただきとうございます

なんてのは濃い意味をなるべく薄く引き延ばして、
意味と言葉の濃度を統一しようとした言葉に見える。



さてタイピングだ。

僕は、この意味の濃度と、
指の濃度、操作濃度を一致させたいと考えている。

つまり、等速で打ってない。

もちろん、JIとJ/は同じ速度で打てないので、
こうした指の速度差が、
意味の濃さと一致してるといいなあ、
と常に考えている。

高速運指では薄い意味であるべきだし、
難運指では濃い意味であるべきだ。

高速運指で濃い意味を綴るときは、
無意識に指はゆっくりになり、余裕ができる。
(逆接とかはそうだ)
これはまあいいとして、
薄い意味を綴るときに、
悪運指になっててもたつく時が嫌だねえ。
お前にそんなに手間かけられないよ、
ってなると思う。


おそらく飛鳥配列は、
この意味と手の連動を極限まで突き詰めたものだと思う。
僕は飛鳥はロウスタッガードじゃないと本領を発揮しないと考える。
なぜならロウスタッガードのキーの並びの癖まで、
指の運動を想定してたからだ。
自分じゃ検証できないので誰かやってみてください。

これは、手ごね配列のいいところだ。
「やっぱこの言葉はこの指の流れだな」を、
満遍なく突き詰めることができるからだ。

手ごねの薙刀式も、
もう5年くらい調整を続けている。
これは、言葉と手の一致を様々な言葉で試して、
その着地点を見つけようという試みなのだ。
だから時間がかかるし、
その時書いてる文章に、判断が左右されることもある。
だから長いことやれば、それが平均されるであろう。


ATCで久しぶりに競技タイピングをやってるんだけど、
「意味の濃さと、運指の濃さが一致して気持ち良い」
感覚が薙刀式のいいところだと思う。

ただ完璧ではないから、
指の加速に意味の加速がついてこないとか、
その逆もあろう。

各配列の動画が楽しみなのはそこなのよね。
手元がないと、その一致ぶり、乖離ぶりを、
観察できないんだよな。

具体的にいうと、語尾部分で加速しない配列は、
いい配列じゃないと思う。


で、比較のためにqwertyも打ってみてるんだけど、
この酷さの本質は、
運指の濃さと意味の濃さの不一致だと思う。

qwertyタイパーのコツに、
運指チャンクというものがある。

日本語は意味のチャンクによってまとめられているが、
それとは異なる運指上の高速チャンクに目をつけて、
そこを意味と分離して取れれば加速できる、
という考え方だ。
(その逆もあるだろう。意味的には高速に繋がりたいが、
運指的に悪運指だからそこだけ速度を落とすみたいな)

僕はナンセンス極まりないと思う。

もちろん「qwertyで高速に打つ」
という手段における最適化なのはわかるが、
もっと大きな文脈、「日本語を書く」において、
間違ってると思う。


そして、日本語を書くのに、
qwertyが酷い道具だと批判したいのは、
そうした指と言葉の不一致につきる。
AZIKはさらにだ。
もちろん方便であると割り切れば合理なのはわかる。
だからtomoemonさんが業務チャットで使ってる、
と言ってたことはよくわかる。
言葉の意味を大事にしている場面じゃないからだね。

もしAZIKで小説書いたり俳句を詠んでる人がいたら、
ちょっと信用できねえな。
ラブレターがAZIKで書かれてたら、
合理的すぎるだろとドン引きしそう。


言葉の具体例を上げたいのだが、
qwertyでのプレイ動画を蓄積してから、
再び論じたい。


薙刀式のATC動画を見ればわかるけど、
意味と打鍵のリズムがだいぶ一致している。
ざっくりいうと、自然な字幕が出てくるような感じだ。
それが不自然なリズムになるところが、
配列上の欠点の部分だと思う。
posted by おおおかとしひこ at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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