2025年01月27日

設定とストーリーの境目

どこからどこまでを設定と考えるか、
どこからストーリーと考えるか、なかなか難しいところだ。


たとえば、
「どら焼きが好き」は一見設定だろう。
だけど、
「どら焼きが好きな人が犯人の証拠」だとしたら、
もはやそれはストーリーの一部になる。
「あんこが決定的な証拠になる」なら、
もうストーリーの中核になってくる。

ただドラ焼きの土産をもらっておいしそうに食っているだけでは、
設定の一部に過ぎないだろう。

つまり、
ストーリーの中核に絡んでくる設定は、
ストーリーに属する、と考えてよい。

名前はふつう設定だろう。
だけど、他に代えがたい名前で、
ストーリーの根幹に関わってくるなら、
それはストーリーだ。

タイトルは設定だろうか。
ストーリーに関わって来る、ラストに回収されるならば、
ストーリーの一部だろう。
それがなければ、設定の一部になるだろう。

街の名前や組織図や人間関係は。
多くは設定であり、雰囲気をつくるものであるが、
人間関係などは、ストーリーに如実に影響を与える。

たとえば、「AとBは兄弟である」は、
通常は設定だろうが、
「同じ女を好きになる」とき、ストーリーにめちゃくちゃ関係してくるだろう。
「AとBは親子である」は、通常は設定だろうが、
「どちらが王国の王であるか」で家来たちが割れたとき、
ストーリーの一部になるだろう。

こんな風に、
設定とストーリーの境界は曖昧だ。
ストーリーの根幹にかかわって来る設定は、
設定と呼んでもいいし、ストーリーと呼んでもいいわけ。
「実は隠された秘密がある」のは設定だが、
ストーリーでもあるだろう。

ストーリーをつくるときに、
まず設定から考えよう、
と考えるのは素人判断だ。
なぜなら、素人はストーリーと設定の線引きを知らずに、
なんでもかんでも設定だと思ってしまうからだ。
設定を考えているのに、すでにストーリーの一部になっているのなら、
それはストーリーを考えている状態なのだ。

登場人物の性格は設定か?
登場人物の過去は設定か?
登場人物の癖や好みや嫌いなことは設定か?
ストーリーの重要部分に使われるならば、
それはストーリーだね。

逆に、
設定を考えているときは、
「ストーリーに使えるもの」を探しているとき、
ともいえる。

設定だけ考えてニヤニヤするだけの素人はどうでもよい。
ストーリーに使える設定をつくり、
それを生かしたストーリーをつくり、
「使ってない設定はないか」というくらい、
空っぽになるまで考えることだ。

前も議論したが、
設定なんてストーリー合わせで逆算でつくってもよいのだ。
急にそれを使う段になって、
「そういう設定だったのだ」はご都合主義だが、
それを使う前から前振っていれば、立派な伏線になるだろうね。

キャラクターと設定、
キャラクターとストーリー、
の境目も、同様に曖昧だと思う。
それぞれは混ざり合いながら、回転するためにある。
独立していない、従属現象だと思うとよいだろう。

時々、人気キャラクターがスピンオフで別のストーリーに放り込まれることがあるが、
都合が悪くなって、うまく行かないことのほうが多くなると思う。
だってそのストーリーのために作られたキャラクターや設定じゃないからね。
スピンオフはオリジナルを越えないのは、
こういう理由もあると思う。



(追記)
設定は「フラグ」と考えるとよいのではないか?

「このキャラは『押すなよ!』が口癖」
と設定したら、
「押される」というストーリーがその後ある、
ということだ。

もしその後一回も押されなかったら、
「押すなよ」はなくてよいことになる。
(「押すなよ」と押されそうになるが押されない、
がストーリーに関係するならそれはフラグ回収だ)

フラグが立ってるのに使わないのは無駄だし、
間違ったフラグは立てるべきではないということだ。
(ミスリードするためのフラグは立ててもよいが、
変な回収をしたらつまらなくなってしまう)
posted by おおおかとしひこ at 07:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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