2024年10月19日

人類は自分に扱えない道具をもってしまった(「ボルテスV: レガシー」評)

実写になったことで、情報量がガンガン上がってしまった。
CGのクオリティが上がりすぎて、
世界の解像度が上がりすぎてしまった。
これに比べて、
物語の強度が足りない。

インド映画みたいに、荒唐無稽に引き込む技術がない。
脚本が昔のテレビアニメ並で、
表現の解像度だけ4Kになってしまったような、
チグハグさで燃えられなかった。

多少のネタバレで。


ものすごい金がかかってるよ。
日本映画ではもう無理だ。
それくらいに気合い入ってる。
国策くらいの勢いで、
失敗するわけにはいかないくらいの気合いだ。

とくに凄まじかったのはロボットバトル。
巨人プロレスの迫力たるやものすごく、
実写「進撃の巨人」でこれを見たかったわー、
とため息をつくすばらしさ。

でもな、既視感はあるよ。
どう見てもオプティマスプライムだし。
動きはまあパシフィックリムだ。

もし先行者がなければしょんべん漏らすくらい喜べたが、
アレのアレの技術ね、
と組み合わせを分析する程度にしか楽しめない。
ボルテスの「目」の芝居はよかった。
だけどそれだけだったねえ。

天空剣Vの字斬りが決まった後、
黒煙の中に「V」の炎の字が浮き出て、
「勝利」を意味するのは粋な演出だと思ったけど、
まあそれだけ。


この解像度に比べて、
ストーリーの解像度がお子ちゃまなのよ。

先行者のトランスフォーマーや、
パシフィックリムや、
マーベル、アベンジャーズの、
ストーリー構築力が、
全然移植されてない。

たとえていえば、
パシフィックリムのビジュアルなのに、
ストーリーが邦画レベル、
といえばいいか。

ほんとにうんこ脚本だった。

良かったのはブルーに親が無く、
皆が親と抱き合うところで一人孤独を感じた場面かな。

あれはアニメより実写の解像度が生きた。


それ以外は、
「鬼のように原作アニメを再現するぞ!!!!!!!!」
という気迫だけを楽しむショウになってしまった。


原作アニメのストーリーをサッパリ覚えてないのでアレだけど、
あんなマチルダさんみたいな話になったんだっけ。
まあそれにしても、というクライマックスだった。

あ、5番のイエローちゃんはエロです。
ミニスカートで階段登らせるなんて、わかってるぜ。

敵軍団の姐さん、もっとエロをください。
胸がパツパツなのはヨシ、顔もエロいのだが、
スタイルがイマイチ…勿体無い。
片目のデカいやつ、セムシのずるいやつと、
キャラは揃ってるんだから、
あなたの担当は悪エロですぞ。



さて、
この人たちはなんのために殺し合ってるのだろう。
そのシラケがずっと滑っていたが、
燃える絵と音は走っている、
珍しい映画だ。

80年代のプロレスを、
いまさら見れないという感じかなー。
総合格闘技を見過ぎて、
猪木馬場のプロレスは滑ってるように見える感じだ。


出来が良ければ、
絶対にラスト主題歌で決めるとわかってるから、
起立して国歌斉唱するつもりで行ったのだが、
座って小さな拍手をするにとどめた。

期待値3万、出来20点といったところか。



もしこれがフィリピンのつくったアニメだったら、
すげえってなったかなあ。

解像度の高い実写、
解像度の高いCGを扱いきれてないのではないか、
映画という物語は。
posted by おおおかとしひこ at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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