Twitterから。
36キーバージョンのコルネに対するリアクション。
> 会社の人が使ってるキーボードが理解不能すぎる… 一つのキーに4つくらい文字が割り当てられてる笑
https://x.com/nagareyamadavid/status/1852000768985043274
この理解不能について、
少し深掘りしてみよう。
・どこに何があるのかが理解不能
・なぜそんなことをするのかが理解不能
・なぜ普通の標準キーボードにしないのか理解不能
・操作方法が理解不能
・頭の中で操作してみたが、
指がこんがらがり理解不能
・なぜそんなものを使えるのかが理解不能
あたりだろうか。
「1つのキーに4つのキーが割り当てられてる」
ところまでは理性としては理解したが、
そのあとの感情が追いつかない、
という状態だと思われる。
ひとつのキーボードは109キーある。
36×4=144なので、これで足りてることは理解できよう。
おそらくこの方は、
通常の標準キーボードについて、
それはそういうものだと思っていて、
疑問を抱いたことがないのだと思う。
あるキーは自由に動かしても構わないし、
1つのキーを複数役割にしても構わない、
というアイデアを聞いたことがないのだ。
聞いたとて、標準キーボードに不満がないから、
それが何の役に立つの?
なんでそんなことを?
と思考が停止するのだろう。
結論からいうと、
300倍くらいキーボードはよくなる。
標準キーボードは、このキーボードの300倍使いにくく、
生産性が悪い。
めちゃくちゃキーボードを使いやすくするために、
このキーボードがある。
その大きなアイデアが、
「1つのキーに4つのキーを乗せる」
というものだ。
では上の疑問に対して、
ひとつひとつ紐解いていこう。
・どこに何があるのかが理解不能
これはまあ一個一個覚えるんです。
ただランダムに配置するわけではない。
連続して使うキーを近くに置いたり
(四則演算子を並べるなど)、
対称的な役割をするキーを対称位置に置いたり
(カッコ類を左右対称にしたり、
BSとDelをペアにしたり、
!?をペアにしたりなど)など、
「整理のコンセプト」によって、
実は「綺麗に並べられている」のだ。
逆にいうと、なんで標準キーボードは、
あんなに機能がとっ散らかっているんだ?
それを「整理しなおそう」というのが、
このキーボードの第一の主張だ。
・なぜそんなことをするのかが理解不能
ブラインドタッチのためである。
キーボードを見ながら打つ、サイトメソッドでは、
まあどんなキーボードでも大して違いはない。
ところがブラインドタッチにすると、
急に事情はかわる。
人が楽々ブラインドタッチ可能な範囲は、
僕は3段10キーの30と親指3ずつの6、
計36キー程度だと僕は考える。
だから、楽々全キーをブラインドタッチして、
一日一度もキーボードを見ずに仕事をするために、
このキーボードはある。
キーを整理するのもこのためで、
ブラインドタッチするのに、
分かりやすい位置関係になっているべきなのだ。
・なぜ普通の標準キーボードにしないのか理解不能
標準キーボードがクソだから。
全キーブラインドタッチするにはデカすぎる。
全キーがバラバラの、適当な位置関係にあり、
動線がぐちゃぐちゃになる。
むしろお前はクソを使い続ける無能か、
全キーブラインドタッチできる天才だな?
・操作方法が理解不能
親指にあるLowerキー、Raiseキーという2つの新設キーがある。
そのまま押す、
Lowerとそのキーを押す、
Raiseとそのキーを押す、
Lower+Raiseとそのキーを押す、
の4通りの押し方で、1つのキーに4種の役割を持たせている。
最後のやつは押しにくいので、
マイナーなキーを押し込むことが多い。
・頭の中で操作してみたが、
指がこんがらがり理解不能
慣れる。
というか、こんがらがらないように、
動線が整理されている。
それはブラインドタッチで初めて実感できる。
移行期間は二週間程度。
自転車に乗れるようになるくらいの、
身体の感覚を作っていくような感じで慣れていく。
頭で考えて打ってては遅いので、
反射で動けるようになるほど、
使い慣れればよい。
・なぜそんなものを使えるのかが理解不能
慣れる。
あるスポーツを習得するようなものだ。
大人になってから、
サッカー未経験者がいきなりサッカーをしても何もできないが、
サッカー教室に半年も通えば、
サッカーの動きに体がなってくる。
そんな感じ。
ちなみに、「全キー反射的に使える」
には、一生なれないと僕は考えている。
標準キーボードには、
ほとんど使わないいらないキーもあるからだ。
たとえばCapslock、Numlock、SchrollLockなどは、
いらない子だろう。
Insもほぼ使われてないと思う。
僕はファンクションキーは一つも使わないので、
これも僕にはいらない子だ。
こういうやつを第4のところに押し込んで、
一生使わない牢獄に閉じ込めとけばよい。
つまり、
このようなレイヤードキーボード
(これは4つの層がある、4レイヤーキーボードだ)は、
よく使うやつを近くにもってきて、
使わないやつを遠くに(上の方のレイヤーに)押し込める、
「キーの再整理」をしているのだ。
人によって大事なキーは変わる。
たとえばVimmerにはEscキーは生命線だけど、
僕はほとんど使ったことがない。
(タイピングゲームの再プレイで一番使うくらい)
人によって、キー配置が変わる。
むしろ、変えて良い。
標準キーボードは、
誰もが使える無難な配置になってるに過ぎない。
それを、
その人に特化してカスタマイズしようぜ、
というのがレイヤードキーボードの目的だ。
だから、
このキーマップが理解不能なのはある意味当然だ。
あなたにとって最適化されてないからだ。
そもそもなんでこんなことを?
ブラインドタッチするには、
標準キーボードがクソだから。
たったこれだけのこと。
標準キーボードは、全キーブラインドタッチできるように、
作られていない。
だから、
全キーブラインドタッチするために、
「キーボードを再発明している」のが、
自作キーボードの目的である。
そしてそれは、標準配列に収束する愚を犯すことなく、
各ユーザーにフルカスタムされるのである。
このことが理解不能だとは僕には思えない。
恋人を自分好みに染めたがる男と、
まったく同じことである。
女は思い通りに行くとは限らないが、
キーボードはプログラムで動いてるので、
100%あなたに追随するであろう。
それの何が理解不能か。
なぜ俺はこんなに素晴らしいものを知らなかったのか理解不能、
と思ったら、
今からでも遅くない、
是非自作キーボードの沼へおいでなさい。
僕はまず各キーはおいといて、
文字の配列がqwertyみたいなクソなのが理解不能で、
それを合理的な形に並び替えるところからはじめた。
それが薙刀式という自作カナ配列に結晶していて、
いまは36キーのキーボードを使っている。
2024年11月02日
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