2024年11月03日

【薙刀式】約物という日本語のルール

記号配置に関して、もりやんさんの補完記事。
助かるー。
https://note.com/catfist/n/n0ed4016af045?sub_rt=share_pb

「、。のシフト(裏)を?!にすべき」
というのは面白いアイデアで、
vialで組めるらしいというのは聞いていた。
(qmkでは泥臭く場合分けフラグでやればできる)

なるほどと思うが、僕は別の考えで薙刀式を運用している。


日本語の記号には「約物」というものがあるそうな。

たとえば一行20字だとして、
20文字目で文が終わって、「。」を打たなければならないとしよう。
この時、次の行1文字目に「。」を書かずに、
21文字目に例外的に「。」を書く、
という裏ルールが日本語にはある。

原稿用紙では、20マス目の下にはみ出して「。」を書く。

このような例外処理を受けるものを「約物」
と呼ぶらしい。
(原義は「しめくくるもの」だから文末専用の話だが、
一般記号の意味でも使われるらしく、
用語が錯綜している場合がある)

ここの話では、

、。?!」』)】

あたりがそうだろう。

なおこの処理を禁則処理とよぶ。
ちょっと用語がよくない。
則とは何かを定義してないので、
則に反するものは全部禁則処理になるよな。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%81%E5%89%87%E5%87%A6%E7%90%86


で、薙刀式では、
記号類はすべて「確定」つきになっている。

まずは記号抜きで文章を書き、
それで確定でよければ「記号+確定」で、
文を終わらせるという考え方だ。

このため、
薙刀式で文章を書くと、
かならず句読点や記号の前までで変換を終わらせなければならない。

これは一種の縛りになるのだが、
別にこれがあっても困らなかったので、
これで心地よいと考えている。

もともとこれは、標準キーボード×qwertyを使っていた時、
鍵カッコ開く→閉じる→エンター→左移動という、
4キーを毎度毎度入力するのに疑問を持っていたからだ。

小説や脚本で多用するこの表現を、
どうせそこ区切りで書くんだから、
記号+確定でええやろ、
と思ったわけだ。

で、あらゆる記号類は入力即確定になるように、
薙刀式編集モードで設定してある。


これが便利で、
記号類の前までで変換を終わらせなければならない、
という縛りに慣れさえすれば、
確定がわりに記号を打てて、そのまま次へ行けるのだ。

というわけで、
薙刀式の約物は、すべて確定付きで、
しかも使いやすいように並べ直している。



そもそも僕はqwertyの,.の位置の意義がわからない。
文章の構造や骨格を決める大事な句読点が、
中指薬指下段という打ちにくい位置にある意味が分からないのだ。

ということで、薙刀式では、
「、確定」が左人差し指下段、「。確定」が右人差し指下段、
そしてその2キー同時押しでエンターとなっている。

構造をつくる文字を人差し指で打つべきだ、
と僕は考えたわけだ。


記号類は編集モードに入っているが、
その始動キーは、
「DFを押しながら右手」または「JKを押しながら左手」だ。
右手部はカーソルなど制御系が入ってて、
左手部は記号類が入っている。
「」はF、
?!はDCと、
人差し指中指に入っている。

薙刀式は、
日本語の重要なものは人差し指と中指で書くべきだ、
薬指と小指は弱いし頼りないので、
そんな指に重要な役割を任せられない
(だから使用頻度も少なくて長時間打てる)、
と考える。


こういうクラスタ分けもある、
ということだ。


もちろんこれは日本語の、縦書きの、
原稿用紙想定の文章に限られた話だ。

英語にはほとんど関係ない話だね。
“':;などは、そもそもキーコードも違うし。

だから僕の用途としては、
日本語100%、英語は適当に使う、
という程度の重心の置き方だ。

もりやんさんのスモールキーボードの標準マップを作ろう、
というのはなかなか面白く、
真似しやすいマップが出来ててよいけれど、
「自分のクラスタ分けと違う」というならば、
どんどん自分用に変えていっていいんだぜ、
ということも併せて言いたいね。

その時に、
「私はこう考えたので、
このようにクラスタ分けしてるのだ」
という思想はとても大事なので、
マップ図だけじゃなくて、
説明のドキュメントが必要だと僕は思う。



ちなみに、
エディタによって禁則処理が違うことは、
あまり知られていない。

僕がよく使うiTextとwordで比較する。
同じく一行20字として。

!」で終わる時
iText…2文字をぶら下げる。つまり21、22文字目に表示。
word…20字で改行、次行の1、2文字目に。

。」で終わる時
iText…同上
word…文字間を勝手に詰めて、21、22文字目に表示。

と、挙動が異なる。
僕は素直で割り切ったiTextの方が好きで、
なんか都合で事実を捻じ曲げてる嘘つきのwordは嫌い。


禁則処理は出版社によって、
レーベルによって、
あるいはサイトのルールによっても異なるので、
意外と盲点よね。

英語の場合は原稿用紙のマス目のない言語なので、
次の単語が長くて紙をはみ出しそうなら勝手に改行、
なんてめちゃくちゃな処理があるよね。
タイプライターの、そろそろ行終わりよ、という警告の、
チーンとベルが鳴っていたのを思い出す。
英語はもともとタイプ文章に特化していないね。

wordは元々この言語をうまく改行するためのソフトだから、
日本語を書くために特化していない。
だから余計なことを(以下略


もちろん、英語も日本語も、
そんな細かいことはどうでもよくて少量書ければ良くて、
操作系だけに特化してキーボードを使う人もいるだろう。
プログラミングのVimmerもいるだろう。

僕は極論、「一つの、最も大事な要素に特化して、
あとは捨てれば良い」と考えている。

違う用途には違うキーマップのキーボードを別途用意して、
都度変えればいいじゃない、
とマリーアントワネット的に思っている。

普段Fnなんか使わないくせに、
FPSゲームで使うから80%しか買わない人がいる。
あほか30%と80%二つ買えやと思う。
エクセル作業もあるから、という人は数字段を捨てられないが、
あほかエクセル専用キーマップの80%キーボードと、
ゲーム用の80%のキーボードと、
文章専門の30%を買えやと思う。
さらにスト6やりたきゃ、別途レバーレス買えやと。
(僕はアケコン派です)

せっかく尖ろうとしてるものを丸くしたら、
「みなさんに配慮した結果、
誰からも喜ばれない109キーボード」
になったんじゃなかったっけ?



最初の話にもどると、
「、。の裏に?!」というアイデアはとても良い。

でも自分はどうか、でしかない。
使える人は使うべきだし、いらない人は捨てて良い。
その判断の集合体がキーマップというものだ。

自分の部屋の整理に、似ていると思う。
一般的正解はなくて、
オーナーだけが正解をもっている。
部屋は複数持っても構わないし。


…というわけで、
そろそろqwertyも捨てて、再整理していいんじゃないですかね。

薙刀式が肌に合わない人は、
僕が生理的に合わなかった配列が合う可能性が高い?
同程度の難易度として、
月配列2-263式か、月U9をお勧めしておく。
posted by おおおかとしひこ at 20:03| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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