この界隈にいて未読というのもなー、
と大西さんと話してその場でポチったこの本。
もはや絶版で、古本4600円と2週間かかるのでためらったが、
エエイと買ってみた。
まだ序盤なんだけどすでにqwertyの勝勢は決まった。
qwertyが普及した理由はその配列の合理性ではない、
では何だったのかに迫る記事であった。
答えを先にいうと、
「qwertyが普及したのではなく、
小文字も打てるシフト機構が先に普及して、
それについてたのがqwertyだったから」
に尽きる。
えっ、そっち?
普及機レミントンタイプライターNo.2は、
論理配列を試行錯誤している途中のqwertyで売り出されたが、
プラテン機構を移動させて、
大文字と小文字を打ち分けられる、
シフトキーによるレイヤー機能を備えていた。
これを他社も真似すればよかったのだが、
このプラテン機構で特許を取ってたので、
レミントンがシフトを独占できたのだ。
他のシフトの物理機構の発明を待つ前に、
勝勢が決まったといえる。
プラテン機構を使えないがために、
あまりよろしくないシフト機構を使う、
ないし大文字のみのタイプライターしかなく、
別の「効率良い配列」を搭載することで、
他社は対抗したが、
レミントンが操作的によかったのだろう。
で、それぞれの技術が拮抗し始めて、
合理的な配列が出始めて、
配列と物理機構のカンブリア期があるのだが、
「配列を変えるとキツイ」というのが認識され始め、
レミントンタイプライターへと、
トラストが組まれることになる。
これで事実上qwertyに統一された。
そして、これを使う人々には二種類いて、
それはすなわち、
サイトメソッド派とブラインドタッチ派だ。
当然サイトメソッド派のほうが優勢で、
だからqwertyは、
「サイトメソッドとして、
目で探すための配列」の評価をされたわけ。
で、「多少ブラインドタッチもしやすいよ」
というだけの配列だと、
この本から理解できる。
キーボードの悲劇は、
キーに印字したことかも知れない。
だから目で見て打つ人と、
目で見ずに打つ人の、
ものすごい断絶を産むことになったのだ。
というわけで、
話は中盤に入るのでまた読む作業に戻る。
すでに「他の配列のタイプライターがない状態」で、
qwertyが普及したという点では、
「JISキーボードという統一規格からはじまった日本」
という同一な状況だね。
つまり、
「人々がたくさん触れる前に、
qwertyがフィックスしてしまっていたから」
が、
qwertyが動かなかった理由だ。
そしておそらくだけど、
qwertyの微妙さに気づいた人がいたとしても、
「タイピストが打ちやすくなっているのだろう」
「仮に新配列を提案しても、
タイプライターに実装する発明力、量産力がない」
ことで、
qwertyの対抗馬ができなかった。
これは、
109キーボードの普及の80〜90年代の日本と、
まったく同じ理由だ。
OADGは一種のトラスト、カルテルだろ。
つまり、
qwertyをそれ以上動かすのが面倒だったから、
qwertyは今に至る、
という、怠慢主義の結果がここにあるわけか。
2024年11月27日
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