2024年11月27日

【薙刀式】「QWERTYの謎」を読み始めた

この界隈にいて未読というのもなー、
と大西さんと話してその場でポチったこの本。
もはや絶版で、古本4600円と2週間かかるのでためらったが、
エエイと買ってみた。

まだ序盤なんだけどすでにqwertyの勝勢は決まった。
qwertyが普及した理由はその配列の合理性ではない、
では何だったのかに迫る記事であった。


答えを先にいうと、
「qwertyが普及したのではなく、
小文字も打てるシフト機構が先に普及して、
それについてたのがqwertyだったから」
に尽きる。
えっ、そっち?



普及機レミントンタイプライターNo.2は、
論理配列を試行錯誤している途中のqwertyで売り出されたが、
プラテン機構を移動させて、
大文字と小文字を打ち分けられる、
シフトキーによるレイヤー機能を備えていた。

これを他社も真似すればよかったのだが、
このプラテン機構で特許を取ってたので、
レミントンがシフトを独占できたのだ。

他のシフトの物理機構の発明を待つ前に、
勝勢が決まったといえる。

プラテン機構を使えないがために、
あまりよろしくないシフト機構を使う、
ないし大文字のみのタイプライターしかなく、
別の「効率良い配列」を搭載することで、
他社は対抗したが、
レミントンが操作的によかったのだろう。

で、それぞれの技術が拮抗し始めて、
合理的な配列が出始めて、
配列と物理機構のカンブリア期があるのだが、
「配列を変えるとキツイ」というのが認識され始め、
レミントンタイプライターへと、
トラストが組まれることになる。

これで事実上qwertyに統一された。


そして、これを使う人々には二種類いて、
それはすなわち、
サイトメソッド派とブラインドタッチ派だ。
当然サイトメソッド派のほうが優勢で、
だからqwertyは、
「サイトメソッドとして、
目で探すための配列」の評価をされたわけ。

で、「多少ブラインドタッチもしやすいよ」
というだけの配列だと、
この本から理解できる。



キーボードの悲劇は、
キーに印字したことかも知れない。

だから目で見て打つ人と、
目で見ずに打つ人の、
ものすごい断絶を産むことになったのだ。

というわけで、
話は中盤に入るのでまた読む作業に戻る。




すでに「他の配列のタイプライターがない状態」で、
qwertyが普及したという点では、
「JISキーボードという統一規格からはじまった日本」
という同一な状況だね。

つまり、
「人々がたくさん触れる前に、
qwertyがフィックスしてしまっていたから」
が、
qwertyが動かなかった理由だ。

そしておそらくだけど、
qwertyの微妙さに気づいた人がいたとしても、
「タイピストが打ちやすくなっているのだろう」
「仮に新配列を提案しても、
タイプライターに実装する発明力、量産力がない」
ことで、
qwertyの対抗馬ができなかった。

これは、
109キーボードの普及の80〜90年代の日本と、
まったく同じ理由だ。
OADGは一種のトラスト、カルテルだろ。


つまり、
qwertyをそれ以上動かすのが面倒だったから、
qwertyは今に至る、
という、怠慢主義の結果がここにあるわけか。
posted by おおおかとしひこ at 13:10| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック