例の動画群によって、多くの人が大西配列をほぼ同時に練習してる現象があり、
色々な困難や感想が広まっていて面白い。
その中でも客観的に自分を見ている、
「配列を変える時の3つの壁」の分析が興味深かった。
> キーボード配列を変えたあと
> 1つ目の壁は恐らく「キーの位置を覚える」ところにあって、
> この壁は2~3時間で越えたみたい
>
> 2つ目の壁は「アルファベット1文字1文字を考えずに打てる」
> ところにありそう
>
> 今この壁と、3つ目の「ひらがな1文字1文字と運指が紐づく」
> 壁の境辺りにいる
2の壁は途中で迂回して、さっさと3の壁に登ったほうがいいのだが、
まあ2をクリアしないと3は無理って思うのも無理もない。
実は2をクリアしなくても先に3に取り掛かることになる。
なぜならローマ字ではqcxを使う必要はないので。
また、
あらゆるアルファベットの組み合わせの中で、
日本語ローマ字で使う組み合わせはとても小さい領域で、
そこだけをマスターすればいいからだ。
句読点と長音こみで29要素だとすると、
29×29=841の運指をマスターする必要はなく、
子音(kstnhmyrwgzdbp)×母音(aiueo)=14×5=70、
母音×子音=70、
子音×子音(促音と拗音、nn)
=(kk、ss、tt、hh、gg、zz、dd、bb、pp、拗音11、nn)=21、
母音×句読点と長音=5×3=15、
句読点と長音×子音と母音=3×19=57、
母音×母音=25、
の集合、
計258しか使わないのだ。
(ただし外来音は除く)
実に258/841=31%しか使っていない。
ちなみに英語の場合、
句読点込みアルファベット28とスペースの29要素として、
全運指は同じく841だが、
句読点が連続しないので-2、
スペースが連続しないので-2、
スペースの後に句読点は来ないので-2、
qのあとにはwかuしか来ないので-27、
とすれば841-33=808通りの運指をマスターする必要がある。
ここに英語とローマ字の分岐点がある。
僕は日英共用の配列は本質的に相入れないと思うのがここだ。
英語が日本語を包含するわけでもないし、
共通の配列で打つにはお互いが違いすぎると思う。
つまりそれぞれの言語に特化した配列を2個やる方が良い。
この組み合わせをスムーズにするのが第4の壁だろう。
ローマ字と英語は第4の壁が全然違う。
そしてさらに、
第5の壁があるよ。
「日本語でよく使うフレーズをスラスラと打つ壁」だ。
基本単語をスラっと打てるかどうかで、
筆記具としての実用性が決まるよね。
何単語やればいいのかはわからん。
日常用語は3000語という話もある。
ただ日本語の場合、英語のように固定単語ではなくて、
活用語尾がたくさんあったり、
助詞や助動詞がくっついたり、
すぐ複合語になったりする。
(たとえば複合語=複合+語)
「られる」を一個マスターするだけでは足りなくて、
られない、られます、られて、られた、なども出来ないとだめだ。
そこまで越えて、
やっと実用なんじゃね?
と思うのだ。
整理しよう。5つの壁がある。
第1…頭による文字の位置の記憶
第2…無意識にそこに手が伸びるか
第3…無意識にカナをつくれるか
第4…すべての運指組み合わせ
第5…日常フレーズ
実のところ、
合理的なローマ字と合理的なカナを比較した場合、
ローマ字は第1、第2、第3の壁が低いのだが、
第4、第5の壁が高いと思う。
カナは第1の壁が高いが、
第2と第3の壁は同じで、
第4の壁は清濁同置ならローマ字と同等で、
第5の壁がかなり低い。打鍵数が少ないので。
完全にトレードオフなのか、
ローマ字がカナより簡単といえるのか、
実はカナのほうが簡単なのかは、
まだわかってない。
ただ運指の合理性を考慮に入れると、
qwertyローマ字は、薙刀式より難しいと思うね。
ローマ字特化でいえば、
カタナ式は大西配列より簡単だ。
そして日英共用は、
僕は精神安定剤程度の安心材料なんだなと思っている。
3つの壁さえ越えれば…ハアハア…
と思ってる人に、
さらに高い壁を示すのは気が引けるが、
事実なので誠実に示しておく。
しかもこれは、越えられない壁ではないことも、
書き添えておこう。
何千人というほどではないが、
今続々と増えている。
でね、
薙刀式は実は第5から始めるのよね。
4321をすっ飛ばして、
打ちやすい場所のよく使うフレーズからやる。
だからマスターが早いのよ。
1なんて最後だもんな。
それくらい、合理を学びやすくなってるのさ。
2024年12月10日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック