ピアノは88鍵ある。
我々の指は88本ないので、自由に弾くことになっている。
一方ブラインドタッチの基本は標準運指で、
どのキーをどの指で押すかが決まっている。
このことが、新配列を打つための前提になっている。
標準運指をしている我々から見ると、
ピアノに標準運指がないことにびっくりする。
見ずにどうやって弾くんやと。
天才かと。
(まあ、だから長い訓練期間が必要なのだろう)
真ん中のあたりはよく使うから、
おそらく空間把握が出来ていて、
端のほうは見ながら打つんだと思う。
そもそも楽譜なんて大体暗譜してるだろうし、
キーを見ながら打った方が正確だろうしね。
でも時々、楽譜をめくる係の人いるよな。
全部は覚えきれてないのだろうな。
ピアニストはどこを見てるんだろ、ちょっと知りたいね。
我々キーボーダーは、
出来上がる文章だけを見ている。
手元を見る時は最初に手を置く時だけだ。
極論一回しか見ない。
その辺がピアノと事情が違うところだ。
ピアノは次に打つ音が決まっているが、
我々執筆はアドリブでやってるのも違うね。
で、Twitterで以下のようなものを見つけたので。
---以下引用
黒川幸司とそのグループ@kurokawa_group
以前の職場が親指シフトでした。
入力速度はJISかなと同じくらい早いんですが、
親指シフトは2本の指を同時押しが多くて指が疲れるんですよね…
同じスピードでタッチタイプすると快適さは
JISかな>親指シフト>>ローマ字です。
なかなか3種類ともマスターして比較出来る人がいなくて通じにくいけど
例えるなら、親指シフトは1オクターブの鍵盤しかないピアノを、
シフトで切り替ながらチマチマ弾いている感じ。
JISかなは88鍵をフルに使ってのびのび弾いている感じです。
パッセージの速度が増すように移動距離の長さが加速を生むんですが、
そのあたりに言及している人を見たことがありません
---引用ここまで
この人はJISカナを自在に弾きこなせるピアニスト並みの腕を持っている。
それが出来るならそうしてる。
いろは坂を使える指があれば使いたいわ。
僕らはその能力がないから、
標準運指でなんとか30キーで頑張るしか出来ないのだ。
親指シフトは、その為の配列だ。
もしJISカナが自由に打てる指があれば、
この感覚は理解できる。
ちなみにパッセージというのはピアノ用語で、
主題のメロディとメロディの繋ぎの部分のことで、
多くは高音と低音を大きく行き来するらしい。
なるほど勢いづく手の動きになろう。
恐らくだけど、ロールオーバーしまくりの、
単打配列の一番美味しいところを使えているのだろう。
だけど僕がそれを可能なのは、
QPTYを除く、26キーまでだな。
46キーも指が伸びないね。
もし26キー単打カナ配列があるとしたら、
この感覚はとてもわかるよ。
薙刀式の単打部分だけの時は、
こんな感じになるものね。
標準運指に縛られない、
独自の運指法によるカナ配列は、
たまに夢見ることがある。
サイトメソッドに戻ればあり得るかもなー、
などと夢想することもある。
ATCのはんそくカナ打ちは、
独自すぎるホームポジションが興味深く、
あんな感じなら行けるのかなー、
いややっぱ無理かー、などと想像する。
パッセージ加速論は、
ホームポジションから動かない新配列よりも、
運指が飛び飛びのqwertyの方が速いという事実から、
推論することは可能で、
「qwertyの方が指の運動があるから快適だ」
とまでいう人がいることから、
多分そうなんだろうなとも思う。
でもそれじゃあ疲れませんかね。
ピアノやダンサーはせいぜいコンサート時間まででしょ。
僕らはフルタイムとか、数ヶ月とかだからね。
ここでも、短距離と長距離の議論が抜けがちだ。
走ることでは、
使う筋肉も体型もペースも違うと分かってるのに、
ことタイピングとなると、
パッセージなんていう刹那の話になってしまうのはなぜか。
ひょっとして、
人は10万字を書かないからかしら。
2000字ブログを日々書かないからかしら。
もし飛び回る運指で小説など書いてる人がいたら、
ぜひその作業の様子を見せてほしい。
疲れないんだろうか、
というのが僕の疑問だ。
2024年12月10日
この記事へのトラックバック
私の言うJISかな入力とは、増田忠氏が考案した増田式ホームポジション(左右の中指が「す」と「ら」に来るもの)を使ったものです。中指が動きの軸になるというのも、練習方法を含め増田式独自の発想だと思います。
これは、アルファベットのホームポジションの一段上の段に指を置くもので、実際に置いてみると分かりますが、このポジションのまま手を上下の段に移動させると、左右のキーは人差し指と小指を1つ隣のキーに伸ばせばキーボード全体をまんべんなくカバーできます(加えて親指も、変換という日本語事情を考慮していないアルファベットの窮屈なホームポジションより自然に変換キーやスペースキーに届きます)。
正直、このホームポジションでなければ、JIS配列のキーボードで快適にかな入力するのは不可能だと思います。アルファベットのホームポジションでは、ポジションを崩さないと右の方のキーに指が届きません。そう、もうお察しかも知れませんが、増田式ホームポジションとは、JIS 配列のキーボードでかな入力の標準運指を実現させるためのものなのです。JISかな入力の悲劇は、この増田式のホームポジションと練習方法が普及しなかったことだと感じています。私は何人かにこの方法を教えたことがありますが、皆2週間程度でマスターし、その後は加速が進んでいます。(私の3種類の入力方式に対する評価は、習得時間、習得後の効率、思考を妨げない気持ちよさをトータルに判断したものです)
とは言うものの、タイピングスピードが速いことは、20年前は大きなアドバンテージがありましたが、フリック入力と共に予測変換が高度に進化した現在では、それに合わせた新しいキーボードやタイピング方法が生み出されてもおかしくないと思います。そういった意味で薙刀式の記事、大変興味深く拝見しました(実は貴HPも以前から何度か拝見したことがありました)。私も元々文学部の文芸学科で小説を、自主映画で脚本を書いていましたので、言葉がダイレクトに指先から画面に表示させる快感にはこだわりがありまして、その結果、増田式のかな入力に行きついたという次第です。
ちなみに私が36年前、練習に使った本はこちらです。
https://x.gd/o6AySj
「す」「ら」に中指というのは初めて聞いたのでキーボードを確認したら、
「かにホームポジション」(人差し指が「か」「に」になることから)と、
同一とわかり、これは聞いたことがあるので理解。
でもこれ、
最上段が打ちやすくなる代わりに、
最下段(Z段)が打ちにくくないですかね。
動詞終止形「る」が遠いし、
句読点は小指シフトもしないといけないし、
かなり面倒な予感がします。
新配列の中に龍配列という4段配列があるのですが、
Z段は「親指で取る」ことになってて、
それはそれで疲れるなーと思った記憶。
JISカナのかにに戻ると、
断定や過去形に使う強い「た」(だ)が左小指伸ばしは、
かなり嫌な気がします。
気持ちが乗らない感じ。
「気持ちと分離して、道具として書ければ良いのだ」
という合理があるのは認めるとしても、
僕はもっと道具と気持ちを一致させたいですね。
ということで新配列たちの共演が見れる、
Alternative Typing Contestはご覧になりましたでしょうか。
https://m.youtube.com/watch?v=iKSnUOVDimM
測定サイトであるATCテスターはまだ生きてるので、
試しにプレイしてみてください。