2025年04月07日

構成とリライト

以前書いたものの第一稿は、131分だった。
これを120分以内に縮めなければならない。


詳しく見る。
当初の計画とのずれ。

第一ターニングポイント 30分→40分(10分遅れ)
ミッドポイント     60分→85分(25分遅れ)
第二ターニングポイント 90分→106分(16分遅れ)

うーむ、遅れまくった夏休みの宿題みたいになっている。
これをリライトするときに考えたこと。


二つやり方がある。
当初の第一ターニングポイントなどを、
計画通りに収められるように、
各場面を削っていくこと。

これは王道のやり方である。
計画通りにやるべきだ。
プロットが完璧なほどね。

今回はもう一つの方法を考えた。
当初第一ターニングポイントだと思っていたところは、
ほんとうの第一ターニングポイントではなかった、
ほんとうの第一ターニングポイントになるべき箇所を特定し、
そこが30分になるように、
書き換えれば済むのでは?と。

この話はコメディなので、
プロットのときよりも随分キャラクターたちがお喋りになり、
とても生き生きしている。
その生き生きを削って、
ストーリー計画通りにすることが正解か?
と思ったわけ。
じゃあ、なるべくこの楽しい生き生きを削らずに、
ストーリーの結節点をきちんと探して、
それがいい場所に来るようにすればいいのでは?
ということだ。

コメディだから、というのが大きいかもしれない。
流れがおもしろいほうが優先だよな、
ということだからね。

これがミステリーのような、
プロットから外れると計画が狂うようなジャンルだと、
難しいかもしれない。
キャラが走っているようなコメディだからこそ、
そっちを重視するべき、という判断が出来たようなものだ。

で、結果、リライト後の第二稿は、

第一ターニングポイント(変更)30分
ミッドポイント(変更)    65分
第二ターニングポイント    96分
という常識的な尺配分になった感じだ。

当初の第一ターニングポイント、ミッドポイントよりも、
だいぶ前の箇所をそれである、
と再定義して、
第一ターニングポイントの役割、ミッドポイントの役割になるように書き換えることで、
全体の構成がよくなった感じがある。

ちなみに、
第一ターニングポイントの役割を整理しておくと、

・センタークエスチョンの提示(明示でも暗示でも)
・ストーリー上大きなターニングポイントであり、
 ここからストーリー本編に入る
・序盤が終わって中盤に幕が変ったと感じさせる
・主人公たちが行動を起こして、引き返せないポイントになる

などがあげられよう。

ミッドポイントの役目は、

・ストーリーの前半後半の境目として機能する。
 つまり、「前半戦は〇〇な展開で後半戦は〇〇の展開」などのように意味で分けられる
・かりそめの勝利または敗北で、
 ストーリー上の大きなターニングポイントになっている

などがあげられようか。
あと、両者に共通するのは、
「絵的に印象に残る場面であること」
が、あるべきだ、ということかな。

もとの第一ターニングポイント、ミッドポイントは、
そこまで大きな役割にせずに、
新結節点をよりビッグビジュアルに変更して、
目立つような場面であり、
かつ幕の境目になるような、
新たな緊張感を得たり、
弛緩するような場面にしてみたので、
それが新ターニングポイントとして、
機能するようになったかと思う。


当初のターニングポイントを、
三幕構成理論に当てはめて、
ストーリーが詰らなくなるのなら、
それは理論が間違っているか、
理論の適用の仕方が間違っているのではないか。

僕は、理論というのは柔軟に応用するべきだと思っているので、
(なぜなら、理論というのは過去の分析にすぎず、
未来をつくるものではないから)
理論にしたがっていることよりも、
おもしろい話であることを優先した感じだね。

自然と、30分付近、60分付近、
90分付近に、
結節点が出来始めているのて、
これはやってよかったなあ、
と思っているので記事化してみた。


いや、プロット厳守なのだ、
と思うならば、
二つ直しをやってみてはどうか。
厳守したほうがおもしろくなれば、
それも別にありだと思う。

理論(あくまで経験則)が大事なのではなくて、
目の前の原稿が大事なのだ。

まあ、理論通りにやれる方法が見つかったら、
つまりキャラクターの生き生きを削っても、
テンポ良くできる方法が見つかったら、
理論通りのリライトをするかも。
(でも当初40分を30分に削るのは、
ずいぶん無理があるものになるよなー)


二通りの方法が目の前にある時、
一方で解決したら万々歳。
しかしその先に行き止まりがあったら、
この分かれ道に戻る勇気があるか、
がその先を分けることになる。
4稿まで直したものを1稿に戻すのは、
結構勇気がいるが、必要ならやるしかないよね。
posted by おおおかとしひこ at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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