ラクダエンさんがまとめてくれている。
https://x.com/catfist/status/1878619326011629849
Tecseeのオリジナルブレンド素材HPEは、
摩擦係数が少ないことで知られるウムピエよりも、
さらに小さいらしい。
実際、100%ウムピエのステムを採用した、
Zeal PC Pearlioより具合よくツルツルな気がする。
ただこれはグラツキも込みかもしれないのだ。
グラつけば擦りは少なくなるからね。
Lofree GhostはフルPOMだけど、
あのクリーミーさは、「常に擦っている」感触だ。
POMの造形精度が高いので、
あのような隙間のない構造が作れるのだろう。
(ちなみにPOMの自己潤滑性ってどういうこと?と調べたら、
削れた粉みたいな状態のPOMが、
平たく延ばされてくっつくことで、
滑りがどんどんよくなるんですって。
だから昔1億回エイジングしたKailh Creamとか作ってたんよな)
対してウムピエは、造形精度が悪いことで知られる。
最初のInkvrのウムピエステムは、
半分も使い物にならなかったと聞く。
2ndロットは改善したらしいが、
その後聞かないから量産を諦めたのだろう。
ウムピエ自体は高分子のポリマーらしく、
長い分子なのでそれが揃うと、
畳の目のように滑るらしい。
その代わり、ある方向に収縮しやすいのだと推測する。
なのでウムピエ含有ステムは、
なんらかの混ぜ物を使って造形精度を安定させているそうだ。
そのかわり摩擦が増すこととトレードオフだろう。
そんな中で登場したPearlioは、
100%ウムピエをうたい、ツルツル打鍵感を実現した。
だけど一個当たりの値段が高くて、
石油王スイッチと言われたよね。
(ハウジングを研磨して接触面を平らにしてるらしい)
造形精度のほうはどう、と観察すると、
ステムの太い、いわゆるCAPSハウジングを採用している。
つまり通常のMXステムの細さでは造形精度が出なかったのでは、
という推測ができる。
(そのおかげで太いバネしかはまらず、軽量化には苦労した。
偶然太いバネのTecsee 2stage 37gが入ることがわかったが、
このバネ現在終売。
なおメーカーにメールで問い合わせたが、再販予定なしだそう)
そこに現れたのがHPE。
一時僕はTecsee Blue Sky(ハウジングHPE、ステムPOM)を、
メインスイッチにしていたが、
HPEは折れ曲がりに弱いのだろうか、
ポキポキと噛み合わせの爪が折れるのよね。
高分子で割れの方向性があるのかもしれない。
何度かバネやスイッチフィルムを試すと結構折れる。
なので多めに買って折れたら交換みたいにしていた。
Tecsee Puddingも同じ構成なんだけど、
Blue Skyほど滑りを感じないのは、
フルトラベル自体が短いからかもしれない。
さて。
で、HPEステムを採用してるTecsee RAWにたどり着いたのだが、
こいつは思ったよりグラつく。
ウムピエ系ならではの造形精度の悪さだろうなと納得してたし、
結果Pearlioより滑ってるので実用上ヨシとしてたんだけど、
先日「戻りの振動が気になる」と思い、
トップハウジングを何かとキメラしたろ、
と思いつき、
PCのTecsee Honey Peachと交換したらシンデレラフィットであった。
(余ったパーツでつくった、RAWトップ+残りHoney Peachは、
Honey Peachのメタルステムの振動をナイロンの柔らかめの戻り吸収があって、
むしろオリジナルより良くなったと感じる出来だ)
戻り振動が元のナイロンよりもクリアになり、
濁りがなくなったのがとてもよい。
副次的効果として、RAWの弱点のグラツキがなくなったので、
よいのでは?と思ってるのが現在地点。
ちなみに、すべてsprit designsの30gバネで統一した感覚。
(PearlioのみTecsee 2stage 37g)
軽量バネにすると、
スイッチって急にアラが見えるのよね。
擦れ感、ぐらつき、振動の安っぽさ。
スペック通りの50g前後で良くなるように調整してるから、
まあ当たり前と言えばそうなんだけど。
ということで、30gにしてもアラが見えず、
めちゃくちゃすべり、かつ戻り振動がクリアで、グラつかない、
Tecsee Honey Peachのトップハウジング(PC)と、
RAWのステム(HPE)とボトム(ナイロン)の、
キメラはいいぞ。
さて、では別のキメラがありえるか?
は次の問いになってくる。
経験上、同じ素材同士よりも、
異なる素材を組み合わせた方が摩擦係数は減る。
目の粒度の最小公倍数が、同素材同士よりも大きくなるため、
接触点が減ると考えられる。
昔パーツを組み合わせるWSのスイッチで、
ウムピエステム+ウムピエハウジングを試したが、
全然摩擦があってびっくりした記憶がある。
また、Tecsee Jaditeも、ウムピエステム+ウムピエトップハウジングで、
出た当初はダイヤモンドと呼ばれて珍重されたけど、
結構ぐらついてカタカタしてたなーという印象。
造形精度が悪く、革命的に滑るわけでもなかった感。
(それでもPearlio登場前は一番滑ってたか)
なので、
HPEステムを使うならば、PC、ナイロン、POMあたりが、
候補になってくると考えられる。原理的にはウムピエもありか。
PCは一般的にポピュラーで、
ナイロンだとVertex V1あたり?
POMはKailhが力を入れてる印象だけど、
独自ハウジングなのでキメラは無理と。
で、手持ちのTecseeのスイッチでキメラしてみた。
Tecsee Ice Grapeのトップ(PC)と、
Jaditeのトップ(ウムピエ)と、
RAW+30gをキメラしてみると:
Ice Grapeトップ:
グラッグラ。カタカタいうくらい。元の金型がよくない?
Jaditeトップ:
滑りは悪くないが、PCに比べると静止摩擦係数がでかい。
つまり動き出しにヌッてなるところがある。
動き出せば結構いいんだが。
それとカタカタの鳴りがうるさくなり、
そもそも振動を減らしたい目的に対して逆行。
という結果で、あまり芳しくなかった。
ていうか、元のがマシまである。
戻りの振動が抑えられ、グラツキが劇的に減るHoney Peachのトップは、
偶然にしては出来すぎている。
その他のスイッチでも試してもいいが、
これ以上あるんかな。面倒なのでやらなさそう…
摩擦の正体は、ボコボコしてる表面同士の擦れ合いなので、
表面処理にもよると思う。
なので予測より実測よりのものになってしまう。
つまり試すまでわからんという世界。
これ以上いいキメラができたら起こして。
なお、ウムピエ以降ルブはしていない。
油の摩擦抵抗のほうが大きくなるからだ。
POM同士とか、滑りの良くない素材では、
ルブも効果的なんだけど、ウムピエにはルブは逆効果だと思う。
試してないのはフッ素系のボナンザルブ。
フッ素系樹脂は摩擦係数が一桁落ちるデータも見たので、
やってみてもいいんだが、
正直今で十分かもなー…
2025年01月13日
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